day6:アバター


 真砂まさごはるきは、堯之たかゆきがこちらに越してきた――越してくる道程から世話になりっぱなしの、当地に来て最初にできた友人である。

 少し年上の彼は、町内の神社の宮司の孫にあたり本人も神職の資格を得て祖父の補佐を勤め、また神職の常駐しない町内の他の社の世話や若いながら家業からの知識と経験で神楽保存会の相談役も請け負っているようで、後頭部で手のひら程度の長さのしっぽのように縛った髪をぴょこぴょこ揺らして、労を惜しまず駆けまわる姿は快活かつ頼もしい。

「若者、少ないですからね――」

 仕方ないですよ……苦笑して見せはするもの、実際のところ――たまに、体力的に疲れていそうに思うことはあっても、躊躇う素振りを見たためしはない。

 本当に、この地域が好きなのだと――彼を見ていると自然と感じる。


 あけっぴろげで、おおらかで――でも、気遣いの細やかな好青年がしかし、彼自身を語ることのほとんどなかったことに気づいたのは、こがねとしろがねの姿は、常に誰にでも見えるものではないと知った時だった。


 初めて彼らを目撃した夜に、はるきはいて――あまりに当たり前のような振る舞いに、とっさ夢かと思ったそれが現実であると共有することの特異性に思い至らなかった。

 彼はごく自然にふたりと会話しているが――それがいつからだったか、堯之は憶えていない。



 このひとは、いったい――?



 決して、悪意でも恐怖でもないけれど。

 疑問符は、心の隅に細い根をおろした。



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