day6:アバター
少し年上の彼は、町内の神社の宮司の孫にあたり本人も神職の資格を得て祖父の補佐を勤め、また神職の常駐しない町内の他の社の世話や若いながら家業からの知識と経験で神楽保存会の相談役も請け負っているようで、後頭部で手のひら程度の長さのしっぽのように縛った髪をぴょこぴょこ揺らして、労を惜しまず駆けまわる姿は快活かつ頼もしい。
「若者、少ないですからね――」
仕方ないですよ……苦笑して見せはするもの、実際のところ――たまに、体力的に疲れていそうに思うことはあっても、躊躇う素振りを見たためしはない。
本当に、この地域が好きなのだと――彼を見ていると自然と感じる。
あけっぴろげで、おおらかで――でも、気遣いの細やかな好青年がしかし、彼自身を語ることのほとんどなかったことに気づいたのは、こがねとしろがねの姿は、常に誰にでも見えるものではないと知った時だった。
初めて彼らを目撃した夜に、はるきはいて――あまりに当たり前のような振る舞いに、とっさ夢かと思ったそれが現実であると共有することの特異性に思い至らなかった。
彼はごく自然にふたりと会話しているが――それがいつからだったか、堯之は憶えていない。
このひとは、いったい――?
決して、悪意でも恐怖でもないけれど。
疑問符は、心の隅に細い根をおろした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます