第2話 風光明媚で、なんにもないじゃん。

 

 

 うん。天気は良いね。高原っぽい。爽やかな風が吹いてて雲がたなびいてる。これでウシとかウマとかヒツジとかを見て、ブタって意外と綺麗好きなんだぜってショボいウンチクたれてる他人ヨソのカレシを横目で見つつ、ウサギを愛でて、アルパカがツバ吐いてるのを目撃してストレス溜まってんね~とか思いつつ、売店でソフトクリームを買ってもらって5歩目で落として泣いてる子供にあ~あと同情し、腹が減ったとさっき見てきたヤツらの仲間をありがたく頂戴し、お土産にジャムとかクッキーとか乳製品とか大量の加工肉を買い込んで帰りのバスか電車で爆睡できたら、もう言うコト無かったね。


「……いや、なんもないじゃんココ。ってかドコ?」


 持ってたタバコの灰がポトリと落ちる。あぁ、うっかりフリーズしてて吸うの忘れてた。1本損したな。


 非常事態だからノーカン! と草むらの土が見えてるトコに押し付けて消火。良い子とちゃんとしたオトナはやっちゃイカンぜよ。


 灰皿無いや……。吸殻コレどうしよ。事務所の屋上うえだから携帯灰皿持ってきて無かったんだよねぇ。もうとっくに休憩終わってんだろーし、仕事どうなってんだ?



 ……ちょいとタバコ吸ってきま~すって言ったまんま失踪扱いだなこりゃ。まあ後はどうとでもなるっしょ。入社しはいった時もロクに引き継ぎなんざしてかなかったもんなぁ、あんのクソババア。こちとら新卒だったっつーのに。余計なイザコザだけ起こして勝手に辞めやがんの。シワ寄せ来んの全部こっちだかんな?


 よし、現実逃避毒吐き終わり。いい加減レッツ・サバイブすっぞ?


『グヒュルルル……ブギーッ! ブギーッ!』


 ファースト・エンカウントにしちゃあ重すぎじゃないっすか? どう見たってあれ、孕ませられる系のじゃんよ。


「こちとらケンカ殺法ぐらいしか知らんし。しかもマンガで読んだやつ!」


 ハイもう確定! ここ日本じゃない! ってか地球でもねえッ!!



「なんか知らんが、らにゃあられんだ。ってやんぞゴラァッ!!!」

 

 

 

 

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