第6話すれ違い
僕と明城さんはカフェにつきお互い頼みたいものを頼んだ。明城さんはオレンジジュースと食べたたいと言っていたパンケーキを頼んだ。僕はコーラと明城さんと同じパンケーキを頼んだ。
「ねぇ、このままでいいの?」
と僕が今思っていることをそのまま聞いた。
「何が?」
明城さんは分からないふりをした。
「何がって、南さんとことに決まってるでしょ」
「あ~そのことなら心配しなくていいよ。」
一瞬その言葉の意味を理解できなかった。でもすぐに分かった。
「まさかとは思うけどこのままでいくの?仲直りしないまま?」
明城さんは視線を落とした。多分、図星だったのだろう。それから
「仲直りって簡単に言うけどさ私にどうしろって言うの?私は鏡佳に気を遣わせるのが嫌なの、でも鏡佳は私に多分無意識で気を遣っている。それが私にとっては辛いの」
「もしかして南さんも明城さんの秘密知ってるの?」
秘密を知っているなら気を遣うのは友達としては多分当然なのだろう。でも明城さんは首を横に振った。
「ううん、知らない。私は秘密のことを誰かに話したことはないよ。それを言ったら多分誰でも気を遣っちゃうから言わないようにしてる。」
だとしたら何で南さんは明城さんに気を遣ってしまうんだ?
「あ……」
もしかしたら南さんは―――
「どうしたの?なんかわかったの?」
「うん。あ、ありがとございます。それ僕のです。」
店員が僕たちが頼んだものを持ってきた。
「それで何が分かったの?」
明城さんが食い気味で聞いてきた。多分明城さんも南さんと仲良くしたいのだろう。
「分かったていうか推測なんだけど、多分南さん無理してあのキャラしてるんじゃないかな。」
「無理してるってどういうこと?」
明城さんは分からないといった様子で僕に聞いてきた。
「そう南さんと仲良くなったのって高校から?」
「?うんそうだけど、入学したての座席が隣で仲良くなったよ。」
「それから南さんの中学時代とか聞いたことある?」
これが一番大事な情報だから聞いておかないといけない。
「中学時代かぁ一応あるけどあんまり話してくれなかったかな。なんか言いにくそうだったから聞かないようにしてる。」
やっぱりか
「多分南さん中学時代何かされてそれがトラウマで一人にならないように気を遣って遣って自分を取り繕って、時には自分の考えを口にして、でも違う考えの人がいたらそっちに合わせる。それが南さんが自分を最大限に守れる戦略なんだよ。」
僕は明城さんを見た。その姿は今までに見たことがないくらい落ち込んでいた。
「そっか私知らない間に鏡佳に悲しい思いさせてたんだ。」
そう、悲しそうに言った。
「いやあくまで僕の推測で本当かどうかは本人に聞かないと分からない。」
「そうだけど。そうさせてた可能性もあるてことだよね。」
「まぁそうなるね」
「だったら謝らないと。2学期中に仲直りしないともう絶対に仲良しに戻れなくなっちゃう」
「確かに2学期中には終わらせたほうがいいね。2学期もあと1週間しかないから早めにしたほうがいいと思う。それに今日は金曜日だから最速でも月曜日になるね。」
それからは、話も盛り上がらず二人とも帰宅した。まったく2学期の終わりは慌ただしくなってしまった。明城さんの秘密を知って南さんと明城さんのケンカに巻き込まれてもっとゆっくり2学期を終えたかった。ほうがいいと思う。それに今日は金曜日だから最速でも月曜日になるね。」
それからは、話も盛り上がらず二人とも帰宅した。
月曜日
明城さんと南さんが仲直りすると思ていたが、あいにく今日は明城さんが風邪を引いてしまい、仲直りすることができなかった。僕は本当に風邪なのか心配だったのでメールで聞いてしまった。その結果、明城さんは本当に風邪を引いていたことが分かった。
僕は南さんの明城さんへの思い込みをなくしたいと思い南さんと落ち着いて話すことにした。
放課後
「南さん、ちょっといい?」
南さんが嫌そうな顔した。
「何?私帰りたいんだけど。」
「うん。ごめん手短に終わらせるから。」
僕は南さんを放課後の教室に呼び止めた。
「で何?」
「単刀直入に何で南さんは明城さんにこだわるのかなって。」
僕は前置きもなく聞いた。
「べ、別に私は美桜にこだわてなんかない」
南さんはそう言ったけど明らかに動揺していた。
「そっか。でもじゃぁ何で僕と明城さんの関係に口を出したの?」
「そ、それは美桜が急に私に冷たくなったから……」
そうか、明城さんは僕と偽恋人になったことを南さんに話さなかったんだ。それで南さんは明城さんが急に冷たくなったと思うようになったのか。
「じゃぁ南さんは僕と明城さんが付き合い始めたことは知らなかったてこと?」
「そうだよ全然知らなかった。教えてもらってない。」
「そっか。でも何で少し冷たくなったぐらいであんなに怒ってたの?」
そういうと南さんが怒っていた。
「何、君私にケンカ売ってるの?」
「い、いやそういうわけではないけど。南さんって明城さんの他にもたくさん友達いるのになと思って。」
「確かに私は美桜以外にも友達はいるけど、なんか距離を感じるんだ。でも美桜だけがその距離を感じなかった。」
「じゃぁ南さんにとって明城さんは本当の友達だったてことか。」
「うん、だから西川君に美桜取られたら私一人になっちゃう。もうあんな思いはしたくない。」
南さんが少し怯えたように言った。
「あんな思い?」
やっぱり南さんは過去に何かあったんだなと思った。
「うん。私、実は中学時代いじめられてたんだ。」
やっぱりか。
「だから、一人にならないように僕と明城さんを引き離そうとしたの?」
「うん。私が間違ってるってことは分かってるだけど、また一人になるのが怖くてあんなことしちゃったんだ。あんなことしても余計に嫌われるのにね。」
南さんが少し寂しそうな顔をしながら言った。
「ホント馬鹿な事しちゃた。きっと……美桜にも嫌われちゃてる。西川君もごめんね……色々ひどいこと言っちゃて。」
南さんが泣きそうになりながら最後の力を振り絞るように言った。
「ううん、気にしないで明城さんもきっと仲良くしたいと思ってるよ。」
僕は一般的な答えしかできなかった。南さんは首を横に振った。
「思ってないよ……きっと。美桜は私以上に友達も多くて、男子にもモテるし。なにより……いい子だから。本当なら私なんかと関りなんて持たない……はずだたんだよ。」
「……」
僕は南さんにかける言葉を探していた。
「もう、話は終わり?私帰るね。ホント色々ごめんね。」
南さんはそう言うと、足早に帰っていてしまった。
それから3日後。雨が降る2学期最後の日。
明城さんの体調も良くなり今日から復帰した。
終業式が終わり、大掃除も終わりあとは帰るだけになった。
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