第5話クラスの注目
昨日明城さんの家を知って僕の家を教えて僕たちはそれぞれの家に帰った。その日の夜中に明城さんからメールが来た。
『彼氏なら彼女と登下校すべし』
僕はこのメールに
『彼氏といっても偽だよ。』
と返した。その返しに明城さんは
『偽でも彼氏は彼氏に変わりはないから彼女と一緒に登下校すること』
こう言われたら僕に勝ち目はない。
『分かったよ。いつも何時に家出てるの?迎えに行くよ』
『いつもは7時30分に家出てるよ』
『分かったその時間に迎えに行くよ。遅かったら置いていくから準備しておいてね』
『はぁーい』
と昨日はこれでメールが終わった。
そして今日僕はいつもより10分早く家を出て明城さんを迎えに行った。明城さんの家に着いてインターフォンを押した。
「はぁーい」
「あ……あの明城さん、いや美桜さんいますか?」
と母親らしき人に言った。すると1分もしない内に明城さんが母親と話しながら出てきた。
「まぁそんなとこー。じゃ行ってきまーす」
と明城さんが母親に挨拶した。
「行ってらっしゃい」
と母親が返す
「何の話をしてたの?」
「ん~秘密~」
「君は秘密が多いね」
20分ぐらい歩いてから学校に着き、靴を履き替え教室に向かう。教室につき扉を開け明城さんが
「みんなおはよ~」
と元気よくクラスにいる人に挨拶した。だがその挨拶よりもクラスメートは明城さんの隣を歩く僕に注目が集まった。僕は注目されていることに居心地の悪さを覚え目線を下に落としそそくさと自分の席に着いた。明城さんも同じく僕の隣に座る。
「西川君みんなに注目されてたね」
と僕にだけ聞こえる声で言ってきた。
「誰のせいだと思っているの?」
と冷たい視線を送りながら言う。
「さぁ~誰だろうね~」
と茶化すように明城さんが言ってきた。
それからも僕と明城さんは授業が始まるまでの間話した。10分休みも昼休も一緒に話たし一緒に弁当も食べた。今日これまでずっっっっとクラスの注目の的になって高校生活一疲れた日になった。それに今日は一日中、明城さんと話していたのでラノベを読む暇がなかった。明城さんがずっと一緒にいてくれたのでクラスメートから質問されることはなく帰れた。と言っても、帰りも明城さんが誘ってきたので一緒に帰ることにした。断りたかったが明城さんはクラスでも人気で惚れている人は多いと噂で聞いたことがある。本当かは知らないが人当たりがよく、誰にでも優しい明城さんは好かれていてもおかしくない。
そんなクラスの注目の的になる生活が1週間くらい続いたある日の昼休み明城さんが席を外した時に明城さんの友達の南鏡佳(みなみきょうか)さんがやって来た。
「ねぇ、西川君って美桜とどういう関係なの?」
「どういうって言われても……」
と僕が言えないでいると、南さんが
「あ~もぅだから何で美桜と仲良くなってんのて聞いてるの!!」
南さんの怒りの籠った声で言ってきた。僕も急に怒りを向けられ少し腹が立って
「なんでって言われても、話しかけてるのは明城さんで僕ではないよ。何で仲良くしているのか知りたいなら明城さん本人に聞きなよ。」
と冷たく言い放ち南さんはもっと怒りを露にしながら
「何その言い方。この際だから言わせてもらうけど、西川君と美桜とじゃ全然釣り合って—―—」
「鏡佳?何してるの?」
と南さんの言葉を遮りながら言う。すると明城さんを見た南さんの様子が逆転した
「い、いや何か最近美桜と西川君の仲が良いからどうしたのかなぁ~て思って。」
「ヘぇ~そうなんだ。でもそんな風には見えなかったな」
と明城さんが疑いの目を向けると。
「やだな~本当だよそんなに怒んないでよ」
南さんは必死で誤魔化そうとしていた。
「……」
明城さんが何か言いたそうな顔をしていた。その時昼休みが終わる5分前の予冷が鳴った。南さんは明城さんの視線に耐え切れずに次の授業の準備があると言って自分の席へと戻っていった。
「……よかったの?」
「何が?」
その言葉に少しの怒りが籠っているように感じた。
「何がって、あんな言い方しなくてもよかったんじゃないかと思って。少し悲しそうだったし、あの人友達でしょ。」
「そうだよ。友達だよ。友達だけど鏡佳って何か私に気を遣いすぎるっていうか何か遠慮がち何だよね」
「遠慮がち?どこが?気が強そうだけど」
遠慮がちだったら僕に明城さんとの関係を問い詰めたりしない思うんだけどなぁと思いながら質問した。
「確かに気が強いってよく言われてるし、自分の考えとかもしっかり話すんだけど私がこうしたいて言ったら必ず合してくれるんだよね。」
「ヘぇ~少し意外だね」
「さ、私たちも次の授業の準備しようか」
明城さんが無理をしたような元気な声が言った
「そうだね」
と言い僕たちは授業の準備をした。
放課後になり僕たちは帰りの準備をし帰ろうとしていた。その時
「美桜一緒に帰ろ」
と南さんが明城さんに言っていた。今日の放課後は明城さんが行きたいと言っていたカフェに僕と行く予定だった。でも僕は女の子が多い場所に行きたくないと、ずっと明城さんに言っていたので南さんと一緒に言ってくれればいいなと内心思っていた。それでも明城さんは
「ごめんね今日は予定あるんだ。ね、西川君」
明城さんがそんなことを口にした瞬間クラス中の視線が僕に集まったのが分かった。
「な、なんでそのこと」
「また西川君?なんなの美桜って西川君と付き合ってるの?」
「うん。そうだよ私西川君と付き合ってるの。だから西川君と帰る予定があるんだ」
「はぁ~」
と僕は額に手を当てながら首を横に振った。
「なにそれ。彼氏ができたからって友達はどうでもいいの?メールの返信も遅くなったし、学校でも全然話してくれなくなったし彼氏ができたら私はどうでもいいの?」
「ううん、そうじゃないよ。でも付き合ってまだ日が浅いから少しでも一緒に居たいだけだよ」
「もういいよ」
と南さんが走って教室を出て行った。昼休みの一件から少し考えたが、南さんはきっと困惑しているのだろう。今までの日常がある日突然奪われたのだからそのことに困惑しているのと急に友達だった人が全然知らない男にとられたということに怒っているのだろう。普通に考えて友達がぽっと出の男に取られたら誰だって怒るだろう。そんなことを思いながら僕たちも帰りの準備を終えお目当てのカフェに向かった。
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