第4話秘密の対価

 今日僕は朝、明城さんと登校した。そのことにクラスの全員が僕たちに目を向けた。

なぜ明城さんと登校してきたのかというと昨日に遡る。

 「まったく今まで、誰にもバレてなかったのに寄りにもよって君にバレるなんて思わなかったよ。」

「僕もクラスメートが廊下で倒れているなんて思わなかったよ。」

 本当に倒れている明城さんを見たときは、今までで一番誰かを心配してたと思う。僕は自分でもこんなに誰かを心配できるぐらいの人情はあったんだと内心驚いていた。

「私の秘密を知った君には責任を取ってもらいます!!」

「何の責任?そもそも君の秘密は君自身が勝手に教えてくれただけで僕は別に教えたくないないなら教えなくて良いていったでしょ」

 これは本当のことだ、嘘は言っていない。

「確かにそうだけどさ、あの場面で‘‘何でもない’’なんて言っても言い逃れできそうもなかったし、あの事誰かに話すかもしれなし、それは私が困るし、だからあえて秘密をバラしてその責任を取ってもらおうと思ったんだ」

 何と計算高い人だ。あれだけ苦しんだ後にそんなことを思いつくなんてやばいなこの人。怒らせたら多分、滅茶苦茶怖いだろうなと思った。

 「はぁもういいよ。で、その責任て何?」

 明城さんの顔が急に明るくなった。

「私の残りの2年半、君と一緒に私の死ぬまでにやりたいことをやる。」

 めんどくさそうだなぁ

 「あ、今めんどくさいと思ったでしょ」

 僕はそんなに顔に出ていたかなと思った。僕は感情が顔には出さないようにしているんだけどな。なぜか明城さんにはバレてしまう。そんなことを思いながら僕は

 「それはそうでしょ。僕には何のメリットもないから。明城さんは僕が君の秘密をバラすと思っているんだろうけど、僕に人の秘密をバラす趣味はないよ。それに僕には秘密を話せるような人はこの学校にはいない」

 「なんかごめんね」

と明城さんが言った。絶対に悪いと思ってない謝罪を受けた。

 「別に良いけど具体的にどんな事をしたいの?」

 「う~ん具体的にかそうだね二人で遊園地に行ったり、買い物したり、放課後に寄り道したりしたい。」

 「それて本当に僕じゃないとダメなの?」

 僕は本当にこの責任を取らなければいけないとは思わない。

「別に君じゃなくてもいいんだけど、君が本当に言い触らさないか見たいのと、君と今まで一緒にいて楽しかったから。これで納得してくれた?」

「納得はできてないけどまぁ理解はしたかな。」

 まったく僕の休日はこれから明城さんといることが増えるんだろうなぁ。さすがに毎日ではないとは思うが、いや思いたくはないが、その辺はしっかりと伝えることにしよう。

 「やりたいことて言っても高校生のできる範囲でね。金銭的にも余裕がお互いにあるわけではないし、学業を疎かにならないようにしよう。」

「うん!!」

 明城さんが嬉しそうに頷いた。

 「じゃまず初めに君には偽彼氏になってもらいます!!」

 「は??」

 この人は何を言っているんだ?偽彼氏、だと?

 「何?偽彼氏って?」

 「私はもう長く生きられないから彼氏とか作る気はなかったんだけど偽彼氏ならいいかなって」

この人は本当に馬鹿なのか?良いわけがないだろぅ

 「良いわけないでしょ。もし僕が君を好きになったらどうするの?」

 「君は好きにはならないでしょ。」

 「……」

 確かに僕は今まで人を本気で好きになったことがないけど、明城さんは僕と趣味が似ていて話も合って一緒にいて楽しい、そんな相手を好きにならな男子はいないだろう。でも叶わない恋と分かっていたら好きになったとしても、その気持ちは僕は絶対に伝えない。

 「……そうだね僕は多分君を好きにはならないよ。でも多分だからね、断言はできない。」

 「そっか。それでいいよ。それとあと一つ勝負をしようよ。」

 「勝負?何の?」

 「うん勝負内容は———」

 


 「はぁなんてひどい勝負内容だ。こんなの僕が勝てる見込みなんて‘‘0’’に等しいじゃないか」

 「勝てる見込みを‘‘0’’から大きくするのが君の役目だよ。私に勝てるように頑張って。決着は私が死んでから。」

 「……死んでからじゃ答え合わせができなくない?」

 「だから私が死ぬ前に君宛に手紙を書くか、話せる内に話すよ。」

 「そっか分かった」

 なにが分かったんだ、こんな勝ち目のない勝負最初から明城さんは僕に勝たせるつもりはないと分かるぐらいの明城さんが勝つことが決まった出来レースだ。僕は勝ち目のない勝負はしない主義なんだけど少し勝ってみたいと思ってしまった。

 それからすぐ明城さんの体調も少し回復し下校できるぐらいなったので、帰り支度をし少し心配だったので僕は明城さんを家まで送る

 「明城さんの家って僕の家と結構近いんだね。」

僕の家と1キロも離れていない場所に明城さんの家があった。

 「え?そうなの西川君の家てどこなの?」

家の場所を聞かれて僕は教えるのを躊躇した。僕は自分の家をあまり知られたくない。……でも明城さんとはこれから色々なことで付き合っていくと思うから教えてもいいのかな?と思った。

 「ここだよ。」

と僕はスマホで開いたマップを見せる

 「え~こんなに近いんだ」

 「うん。でも中学違うよね?」

 「うん私中学に上がる春休みに引っ越してきたんだ。中学も私立の女子中だったし」

 「ヘぇ~そうなんだ中学私立だったんだ。僕は公立中だったから会わなかったんだ、でもそこの私立中って中高一貫じゃなかったけ?」

 「そうなんだけど癌が見つかったから、女子だけの空間じゃなくて男子もいる共学に高校は通いたいなって思って。」

 「親御さんよく受け入れてくれたね。」

 明城さんは人を本気で好きになったことがない僕の目からしても、そこそこに顔が整っていると思う。かわいいとかはよく分からない。

 「うん癌が見つかってから親は何でも言うこと聞いてくれるようになったんだ。それが私には辛かった。」

 「……」

 だからあの時気を遣われるのが嫌だと言ったのか。明城さんの苦労が少し分かってきた。それから明城さんを家に送り僕も家に帰った。


そして今を迎える

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