第3話秘密

 昨日、明城さんとアニメについて語っている時に学校の完全下校の時間が来てしまい明城さんがまだ話したいと言って連絡先をお互いに交換して家に帰ってからも通話をしながら好きな作品について語り合った。

 僕は初めてクラスメートのしかも女の子の連絡先を交換したことに少し舞い上がりつつも明城さんと話していた。

 今日学校に登校したら明城さんが挨拶をしてくれた。クラスメートはその様子を不思議に思ったのか僕と明城さんに注目していた。

 放課後になり今日も僕は教室に残りラノベを読んでいる。

 今日は最近、毎回来ていた明城さんが来なかった。珍しいと思いつつも久しぶりの一人に充実感と少しの寂しさを感じ今日は読み終え家に帰った。

 明城さんが来たり来なかったりしながら2学期もあと数週間となり 制服もカッターシャツ一枚だったのが上にブレザーを着ていた。

 そんなある日僕はまた放課後の教室に残りラノベを読んでいた。すると明城さんが

「教室の暖房切れてるのによくいるね。あ~寒い」

「仕方ないでしょ。読みたいんだから。」

「まぁそれもそっか。」

 寒いなら帰ればいいのにと思ったがそのことを伝えることはない。

 それから30分~40分くらい経ってから僕があと10ページで読み終わるというところで明城さんが

「今日は……用事がある……から帰るね。」

「……?うんどうしたの体調でも悪いの?」

そう聞くと明城さんが慌てて

「いやいや何もないよ。大丈夫大丈夫。」

 怪しなぁと思いつつも大丈夫と言っているから大丈夫なんだろうと思い

「そっかまた明日。」

「うん……また……明日」

 そう言うと明城さんは席から立ち上がり教室を出ようとしてしているが、その足取りはよろよろと安定しない。本当に大丈夫かと思い明城さんがしっかり教室から出るまで見送る。

 僕も残りの10ページを読み終え帰り支度をして教室を出る。廊下は教室よりも寒く僕はブレザーのポケットに手を突っ込みながら階段を下りる。階段を下りていると、階段を下り終えたところで誰かがうずくまっている。何か落としたのかなと思つつも、いつになっても立ち上がろうとしなくどうしたのかと思って急いで階段を下りるとそこにはなにも落ちていなく、そこには息を荒く過呼吸ぎみな明城さんがいた。

「みょ、明城さん?明城さん大丈夫?どうしたのどこか痛いところある??」

 僕は明城さんの耳の近くで聞く。その声に明城さんは返事をしない。いやできないのだろう。

「ちょっと待てて。今先生呼んでくるから。」

 と先生を呼びに行こうとすると明城さんが僕の制服の裾を弱い力で掴んできた。

「ま……待って……大……丈夫……だか……ら」

と明城さんが絞り出すように言う。

「大丈夫なわけないでしょ。そんな息荒くして、先生呼んでくるから待っててね!!」

と捲し立てる様に言った。それでも明城さんは

「い……や……誰……にも……知ら……れたく……ない」

 何でそんな隠したがるのか分からなかったが何か事情があるあるのかなと思った。

「……分かったでもこれ以上ひどくなったら先生を呼ぶからね。」

 と言い廊下では体が冷めると思い

「明城さん保健室に運ぶよ。」

「うん……ありがと」

 僕は彼女をお姫様抱っこの形で保健室に運んだ。幸い今日は職員会議で保健室の先生も職員会議に主席していて保健室にはいなかった。明城さんをベットに寝かした。それから5分くらい経ってから明城さんは起き上がった。

「大丈夫なの?」

「……うん。助けてくれてありがとう。ごめんね変なところ見せちゃって。」

「いや別に良いけど。それよりも無事でよかったよ。もしまだ何かあったら出来ることなら手伝うよ」

 と僕が心配しているとそれを感じ取ったのか明城さんは

「ううん大丈夫。これ以上西川君に迷惑かけれないし。」

「別に迷惑とかではないよ。ていうか何であんな所でうずくまってたの?明城さん、

持病とかあるの?」

 と結構踏み込んだことを聞いてしまった。

「……」

 明城さんは当たり前のように話そうとしない。もしくは必死で言い訳を考えているんだろうと思い。

「い、いや別に話したくないなら無理に話そうとしなくていいよ。別に無理させてまで聞きたいと思ってないし」

 本当は知りたい気持ちはあったけど明城さんが困った顔をしていたから聞かないことにした。でも明城さんは

「そうだねほんとは隠したいんだけど、あんなとこ見られたら隠すのも無理だし君には私の秘密、話すよ。でも絶っっっっっっっっっっっ対に誰にも言わないでね!!」

 僕は明城さんの真剣さに圧倒されながらもその‘‘秘密’’とやらを黙って聞くことにした。

「私、実は癌でも長く生きられないだ。」

 僕は息を呑んだそんな淡々と話せる内容でもないのに、彼女は何も驚いたりはしていなくただ当たり前に自分の決まっている運命を話してくれた。

「……そっか癌か。でも癌だったら痛み止め的なやつあるんじゃないの?」

とあくまで彼女が死んでしまうことには触れずに話を逸らした。

「あるけど家に忘れちゃって朝に飲んできたから大丈夫かなって思ってたんだけどそんなことなかったよ。それよりも今、西川君私に気を遣ったでしょ。やめてよ私の秘密知ったからって気を遣わなくていいよ。」

 バレていたのかと思い、でも気を遣わないほうが難しだろうと思った。

「そうだね気を遣うのも疲れるからね。もう気は遣わなよ。」

「うん、そうしてくれると私も嬉しかな。」

 それからも明城さんの秘密について話てもらった。色々と今の明城さんの体の状態について教えてもらった。明城さんの寿命はあと‘‘2年半’’だということも教えてもらった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る