2話 他人じゃないでしょう?

 新幹線のグリーン車は閑散としていた。


 春休みとはいえ、グリーン車は高いからな……。


 おれ達五人だけで、一車両を占領していた。


 白鳥、おれ、優(弟)、勝也(弟)、恵美(妹)の五人だ。


 おれの家は両親が共働きのため、長男のおれが弟たちの面倒を見ている。


 旅行中、弟たちだけの留守番が不安だったので、一緒に連れて来ることになったのだ。


白鳥は「だったら、連れて来れば良いじゃない」の一言だった。


全資金提供、迅速対応の白鳥に感謝。


白鳥家はプチセレブなのだ。


「別に、お金のことは気にしなくて良いわよ。三人増えたくらい、どうってことないわ」


「お前にとっては、はした金かもしんないけど……」


 他人に金を払ってもらうのって、少し後ろめたいんだよな。


「……他人じゃないでしょう?」


「え?」


 まあ、一緒に旅行へ行くくらいだから、他人ではないよな。


 ていうか、心読むなよ。


「御主人様でしょう?」


 ――――――こういう奴なのだ。


 白鳥美和子、美人だが性格に難あり。


「へいへい、ありがとうございました、御主人様」


 まあ、もう慣れたけど。

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