第21話 頼んでやってもいいわよ
約一時間後。
「おい、終わったぞ。……さっさと昼飯にしようぜ」
「そうね。じゃあ、これでコンビニに行って何か買ってきなさい」
そう言って、二千円を渡してくる白鳥。
「コンビニに買いに行かなくても、お前ん家にある食材で作ればいいじゃん。ほら、コンビニばっかじゃ健康に悪いだろ」
「……私、料理はしないのよ」
そういえば、学校でもいつもコンビニ食だった。
「じゃあ、おれが何か作ってやるよ。こう見えても料理は得意だぜ?」
小四から料理はしているから、それなりの自信はあった。
「ほら、食べたいもの、言ってみ」
白鳥は少し考えてから、言った。
「……ハンバーグ」
意外と子どもっぽいものが好きなんだな。
「OK。任せとけ」
白鳥の家の冷蔵庫にハンバーグの材料が無かったので買いに行き、慣れた手つきでサッサと作り終えた。
それから、カメラの見張りをしている白鳥の所に出来立てホヤホヤのハンバーグを持っていった。
「へい、お待ち」
「ここは、寿司屋じゃないわよ」
そう言って、ハンバーグを小さく切って、口に入れる。
「!!」
途端、白鳥の顔がほころぶ。
とても美味しかったらしい。
「ま、まあまあね。……思っていたより美味しいわ」
これは、多分、照れ隠し。
「よかったら、お前の分の弁当も毎日作ってやるけど? コンビニ食よりは、健康にいいだろ」
朝、作るのを一人分増やすくらいどうってことない。
「まあ、頼んでやってもいいわよ」
「じゃあ、早速、次の月曜から作ってやるから、楽しみにしとけよ」
そして、今日も何も進展はなく、終わってしまった。
おれは、白鳥が後で食べるように夕食も作っておいた。
朝御飯用に米も炊いておいた。
おれは、白鳥の使い魔兼料理係になっていた。
「明日も来なさいよ」
「ああ、分かってる」
休みはないらしい。
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