第20話 心臓に悪いんだけど

「おわっ、びっくりした~。……あ、白鳥、何か変化あった?」

「まだ、何もないわ」

 今、白鳥は地下室に設置してある高性能暗視カメラに霊が映るか見張っている。霊が映るといっても、実際に映ることは滅多になく、オーブという光の塊が映るか、霊が起こした現象のみが映るそうだ。

 で、おれはというと、ホラー映画を見ていた。白鳥曰く、心霊やオカルトに慣れるためだそうだ。さっきの変な声は霊の顔が突然画面上に現れたことに、驚いたおれが出したものだ。

「なあ、この映画、心臓に悪いんだけど」

 寿命が何年か縮まりそう。

「これくらいで、怖がってもらっては困るわ。もっと怖い映画は、まだ山ほどあるんだから」

 これから一生こんなのが続くのかと思うと、泣けてくる。

 おれが早死にしたら、絶対こいつのせいだ。

「なあ、そろそろ昼飯にしようぜ?」

 少し早いけど、一度、ホラー映画から逃げたかった。

「じゃあ、それを見終わったらね」

「まだ、半分以上あるんだけど」

「それくらい我慢しなさいな」

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