第19話 ほら、あそこにも。

そして、あっという間に土曜日になってしまった。

 それまでの間、白鳥とは普通に話したりしていたが、さすがに訪問前日には少し緊張していた。

 今、おれは白鳥の家の前にいる。

 普通にインターホン押せばいいよな。

 ピンポーンと音がして、白鳥が出てきた。

『……高村君?』

「あ、うん、おれおれ」

『オレオレ詐欺みたいなことは止めなさい。今、出ていくわ』

 白鳥はすぐに出てきた。

 うわっ、私服だ。

 黒いワンピースを着ている白鳥はかなり綺麗というか、女の子っぽい可愛い服も着るんだな。前に見た、黒ずくめの服とのギャップも大きかった。

「何よ、私の顔に何か付いているかしら?」

「ななな、何でもない」

 動揺しまくるおれ。

「とにかく、入りなさい」

「ああ、分かった」

 庭を越え、大きな扉を開くと、大きな階段とシャンデリアが見えた。

「……すっげ」

 そう言うしかなかった。シャンデリアなんて、実際に見るのは初めてだった。

「さあ、ジロジロ見てないで、早く来なさい」

「あ、ああ」

 白鳥はおれを地下室に案内した。

「地下室もあるのか」

「ええ」

 地下室の中は全く光が通らず、懐中電灯がなければ進めなかった。

 白鳥が地下室にある机の上を照らした。

 その上には、張り込みの時と同じように、黒歴史とペンがセットされていた。

 机の隅には、カメラも一台セットされていた。

「このカメラで霊を撮るのか」

「これだけじゃないわ」

 白鳥が地下室の上の方を照らした。そこにもカメラがあった。

「ここにも、……ほら、あそこにも。……ああ、あれもそうよ」

 この部屋には、計五台のカメラが取り付けてあった。

 果たして、五台も必要なのだろうか。

「私たちは別室で待機よ」

 それで、おれたちは移動した。

「……ここが、作戦本部よ」

 2画面のパソコンには監視カメラの映像が映し出されていた。

「何か、かっこいいな」

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