第13話 騎士とは
「では、やるぞ!」
クラウスが構える。
俺はわくわくして来た。
「こい!」
「せや!」
俺の一撃をクラウスはスレスレでかわす。
「そや! てや!」
俺は木剣を振り回す。
それを、クラウスは紙一重でかわす。
しかも涼しい顔で。
(相当な実力差だ)
さすが。
王宮の騎士だけだったことはある。
当たりそうになるのをギリギリでわざとよけている。
俺をもてあそぶかのように。
「ははは。セリス」
「何だよ!?」
「悪いが、俺は人に剣術を教えたことは無い」
「え?」
このオッサン、今、何て言った?
訓練の最中、まさかの告白。
俺の驚きに構わず、俺の攻撃をよけながらクラウスは続ける。
「騎士にだって色んな奴がいる。自分は強くはないが人に教えるのがうまい奴。自ら戦わず作戦を立てるのがうまい奴。権力に媚びて逃げるのだけがうまい奴」
俺の攻撃は激しさを増した。
それに反比例するかのようにクラウスは余裕さを増していき、饒舌になる。
その態度が、俺を苛立出せる。
「じゃ、パパはどんな騎士だったんだよ!?」
俺は怒りをぶつける。
それは父にぶつけたというよりも、一撃も攻撃を当てる事すら出来ない自分に対してだった。
「俺は、弱くて優しい騎士だ」
え?
どういうこと?
「あ……」
◆
いつの間にか俺は意識を失っていた。
「大丈夫か?」
「うん……」
首の裏が痛い。
どうやらクラウスの一撃で俺は伸びていた様だ。
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