第5話 強くなるために

(ねむい……)


 酷く眠い。

 何故だ?

 そして俺は意識を手放した。



 数週間が過ぎた。


 俺は窓の外の木の葉を見ていた。

 季節はもう秋だ。

 それも体感温度から察するに、晩秋だ。

 生まれた時、窓の外に見えたのは桜の気だった。

 だとすると、俺が生まれてからだいたい半年以上たったことになる。


 ゲームの世界でも四季はあった。

 そして、この世界でも同じだった。

 ちなみに、時間は、一年は十二か月で一日は二十四時間である。


 俺は木の魔法剣に頬ずりしていた。


 春から秋にかけての間、俺の中にある気付きがあった。


 俺は毎日、あることを確認するために魔法剣スキルで、木の魔法剣を出現させてきた。

 その度に極度の眠気に襲われた。

 だが、何度も繰り返した。

 そしてある日、木の魔法剣を出現させても眠くならなかった。


「やっぱりだ!」


 俺は確信した。

 そして、自分の立てた仮説が当たったことに歓喜した。

 三度、四度と繰り返し木の魔法剣を呼び出す。

 日に日に魔法剣を呼び出す回数を増やしても眠くならない。


 そう、つまり--


(魔力が上がった!)


 ゲームの設定と同じだった。

 スキルを使うには魔力がいる。

 そして、スキルを使えば使う程、魔力の上限値が上がる。

 魔力切れを起こしたキャラクターは一時的にステータスが低下する。

 だから俺は眠くなったのだ。


 体力や攻撃力もそうだろう。

 限界まで体力を消費して成長させたり、強い敵と戦うしかないのだろう。


 つまり、攻撃力を上げたいなら、それこそ限界まで身体を酷使するしかない。


 努力が重要だった。

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