第36話 悪猫ダイジェスト
ある日の魔術師団鍛錬場──
「アリス様の魔力にほんのり色がついてないか?」
「本当ですね。あれは、桃色でしょうか。とても薄いですが」
気づいたのは魔術師団長と副団長。
「聖女の魔力なのか?」
「さぁ、でもアリス様は最近柔らかくなりましたね。肩の力が抜けたような気がします」
ある日のシルヴァスタイン家離れ──
「『モブの俺がヒロインに告白されたんだが原作改変してもいいですか?』っていうラノベが始まった気がするわ!」
「オンちゃん、本当にそんなラノベあったらどうすんのよ」
「それは後で伏字にするしか・・・!」
「メタ発言すな」
「まあでも、最近のアーリンは恋する乙女だね」
「ね、前も可愛かったけど今の方がなんかふわふわしてて可愛いよね」
「さすヒロだわ。あれを見てるのになんでノクト達は私達のこと好きなのかしらね」
・
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「「「「 謎すぎる 」」」」
ある日の魔術師団鍛錬場──
「学園はどうですか?」
「はい、とても楽しいです。でも座学はなかなか・・・じっと座ってると眠くなっちゃって」
「あぁ、ルイス先生の授業?俺もよく眠くなったなぁ。声が眠くなる声してるんだよなぁ」
「ふふっ、ジャンさんもそんな時あったんですね」
「そんな人をおじさんみたいに・・・」
「おじさんじゃありません」
「え?あー、そう・・・そうだな」
ジャンの大きな手がアリスの髪をくしゃりと撫でた。アリスはふわりと笑い、ジャンは口角を上げた。
ある日の国王執務室──
「では出立は半月後で」
「うむ。聖女はどうだ?」
「ええ、肩の力が抜けてとても良いと思いますよ。舞の方も魔力制御の方も問題ないと思います。学園に入ったのが良い方向に向かったのかと」
「イザベル嬢か」
「そうですね。彼女達ですかね。あとは・・・これは聖女様のプライベートですので私の口からは」
そう言って魔術師団長は唇の前に人差し指を当てて微笑んだ。
「そうか、それはきっとわしらも経験した事なんだろうな」
と、国王は喉で笑った。
ある日の恋人達──
「ベル、明日王都を立つよ」
「はい、頑張って」
「あっさりしすぎじゃない!?」
ふふふと笑うイザベルを膝に乗せ、帰ったらご褒美がほしいな、とアルフレッドは腕に力をこめた。
「ご褒美くらいいつでもあげるわよ」
イザベルはそう言ってそっとアルフレッドに口付けた。
「ノクトはいつまでそうしてるの?」
「気が済むまで」
「気が済むの?」
「済まない」
「子どもみたい」
「子どもじゃないよ」
ヴィオレッタを抱きしめる力はそのままにそっと首筋に唇を這わし強く吸い付いた。
「エリー、僕と団長と副団長でメインの防御壁を張るんだ」
「おぉー、責任重大だねぇ」
「そう、責任重大」
「ハルなら出来るよ」
「うん、知ってる」
「知ってたかー」
侯爵家の庭にはダリアが咲き誇り風に揺れている。指を絡め繋ぐ手にギュッと力をこめる。
「ハル、デートの計画たてとくね」
ハルバードは破顔しエリーゼの額に口付けた。
「リビィ、これを俺だと思って・・・」
「死亡フラグたててんじゃねー!」
カーティスの鳩尾にオリビアの一撃・・・がカーティスにきくわけもなく。
指先をチョイチョイと曲げしゃがめと合図するオリビア。ガシッと顔を挟み込めば
「りひぃ、いひゃいいひゃい」
「別に魔王倒しに行くんじゃないでしょーが!最短で帰ってこい!」
そう言うと強く強く口付けたオリビア。
「やっぱりリビィは最高だ!」
と、カーティスはオリビアを抱き上げぐるぐる回る。
馬鹿っぷる誕生の瞬間である。
ある日の恋人???──
カードに書いた言葉はたった一言
『好きだ』
カードを開いて目に入った言葉はたった一言
『好き』
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