第31話 反省会は最短で

引き続き学園内サロンである。


「よく考えて見てください。僕らがあなた方以外の女性と、その合コンとやらにいったら嫌ではないですか?(嫌って言って!)」


ノクトの言葉にうんうんと頷くアルフレッド達。


「そう、そうね。確かに嫌だわ」


ヴィオレッタの言葉にうんうんと頷くイザベル達。


「考え無しで本当にごめんなさい」


四人揃って謝る。

少し俯いて目線だけあげて、許しを乞う。


「わ、わかってくれたらいいんですよ」


ノクトは思わずゴクリと喉を鳴らし言う。

それにまたもや高速で頷きながら見つめるアルフレッド達。


(((( ・・・ミスターチョロ助 ))))



「はい!じゃぁこの話は終わりね」


パチンと手を叩いてイザベルが仕切り出す。


「え?」

「え?」


何故か腑に落ちない気持ちになるアルフレッド達であった。


「私達が行けないとするとどうしようか」

「リビィの友人はどうだ?」

「あー、サーちゃん達ね。だったら黒騎士団連れて来ないと」

「待って!魔術師団だって鍛えてるよ!」

「細マッチョは範囲外なのよねぇ」

「エリー?エリーは・・・」

「私は引き締まってたら何でもいいから」

「その合コンではなくてアリス嬢とジャンの二人で会わせてあげる、でいいのではないでしょうか」

「いきなり二人きりだなんてアーリンがきっと恥ずかしがるわ」

「では、僕らが参加したらヴィオたちも参加していいですよ?」

「いやいや、上司の息子と王子と一緒に合コンってなんの罰ゲーム」


腕を組み眉間に皺を寄せ考え込むいつメン達。

しばしの黙考の後、オリビアがポンと手を打ちニヤリと笑った。


「Wデートしよう!」

「あー、いいかも」

「誰が行く?」

「じゃんけんしよう」


「ちょ、ちょっと待って。Wデートってなに?」

「二組の恋人同士がデートするのよ」


なに当たり前のこと聞いてんだと言わんばかりにエリーゼが答える。


「Wデートもダメなの?」


しょぼんと眉をさげるヴィオレッタ。


「だ、駄目じゃない」

「よし、じゃんけんしよう」


「じゃんけんぽんっ」

「あいこでしょっ」

「しょっ」

「しょっ」


可愛さの欠けらも無い高速じゃんけんである。

勝ち抜き戦ではなく、誰か一人が勝つまで続けられたじゃんけんはエリーゼの勝利で幕を閉じた。


こうして夏の合コン祭り改めWデート夏の陣の開催が決定した。


楽しそうにキャッキャしてる婚約者達を見て少年達は思う。


『婚約者』じゃなくて『恋人』って思ってくれてるんだ。


自分で思ってる以上に彼女達は想ってくれてるのかもしれない。

その事実に嬉しくなる。

なんだかいつも飄々としていて、振り回されてばっかりで・・・

あからさまな愛情表現はしてくれないけど、それでも恋人って思ってくれてる。

たまに思惑通りに動かされてる気もするけど、それが彼女達の手のひらの上なんだったらそれもまぁいいかって思ってしまう。

なんにせよ、笑ってる彼女達が愛おしい。

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