第30話 合コン大作戦

ミッション『情報収集』


アリスから気になる人の話を聞いたエリーゼはすぐさま行動を開始。

-戦を統べるは敵を知るべし-

そう、合コンとは戦である。


「ハル、鍛錬前にごめんなさい。少しだけ話がしたいのだけれど・・・」


放課後、鍛錬場に向かうハルバードをつかまえる。


「エリー!もちろん、大丈夫だよ。どうしたの?」


胸の前で指を絡ませ首を少し傾げる。

そっと上目遣いで


「お願いがあるの」

「なに?何でも言って!何でもするよ!」

(よっしゃ、言質とった!)

「魔術師団にいるジャンって人のこと調べてほしいの」

「・・・なんで?」

「さっき何でもするって言った」

「言ったけど!理由くらい教えてよ」

「女の秘密よ」

「・・・なにを調べるの?」

「生年月日とか基本情報と、あとこれが一番大事よ、恋人の有無」

「・・・エリーは僕のこと好きなんだよね?」

「もちろん。好き、好き、大好き」


はぁ~と大きなため息をひとつ。ハルバードはエリーゼをギュッと抱きしめ、わかったよ、と観念した。

エリーゼも背中に手をまわしそっと撫でた。


「鍛錬、頑張ってね(・・・ミスターチョロ助)」



ミッション『予定管理』


愛するアルフレッド様


    ~前略~

結界修復に向けて大変頑張っておられると思います。

しかし、急いては事を仕損じる、明日やれることは明日やれ、休息無くして成功無し、とも言います。

ここはひとつどうでしょうか?

任務にあたる皆様に二日ほどお休みを与えられては?

    ~中略~

私の大好きなアルならきっと私のお願いを聞いてくれると信じています。


        あなたのベルより


(私の大好きなアル・・・大好きな・・・)


アルフレッドは、国王や魔術師団長に休息の大切さを説いた。休息は一日では足りぬ、せめて二日はないと休まらない。

伝家の宝刀『聖女も言ってた(言ってない)』も惜しげなく抜いた。

こうして、結界修復メンバーは二日の連休を獲得した。



ミッション『情報開示』


アリスのジャンが気になる発言から一週間。放課後、学園内サロンにはアリスとレオナルドを除いた八人が集合していた。いつメンというやつである。


「と、いうわけで合コンをすることになりましたの」


紅茶をコクリと一口飲み、イザベルは切り出した。


「うん。意味がわからないね」

「あら、アルは合コンご存知ない?私達もしましたでしょ?」

「は?」

「ほら、十歳の時に薔薇園で皆で会ったではありませんか。合コンとは同じ人数比率の男女が出会い、仲を深め、あわよくば恋に発展させる。そういう会でしてよ」

「あぁ、あれかーなるほどって、待て待て待て」

「もしかして、ジャンを調べてこいってこういうことだったの?」


ハルバードが一枚の紙を取り出す。

エリーゼが受け取り、皆で調査報告に目を通す。



ジャン・ウィーズリー(19)誕生日11/18

ウィーズリー男爵家三男

王立学園魔術科卒

魔術師団第三部隊所属(属性:水)

婚約者、恋人、共に無し

酒は嗜む程度

賭事、借金無し

魔術師団第二寮に居住

人間関係は狭く深い傾向

好きな食べ物『シチュー』

嫌いな食べ物『香草』

学園時代、魔術師団入団後も目立ったトラブルは無し


「「「「 はぇー、詳しすぎる 」」」」


四人はハルバードを感心の眼差しで見つめた。照れるハルバード。


「これは、なかなか真面目で良さそうな人ね」

「明日、早速アーリンに報告しなくちゃ」


うふふ、と笑い合うイザベル達。

置いてけぼりのアルフレッド達。


「お休みは今週末とれたのよね?」

「ハル、あと二人魔術師団から誰か誘って」

「あと二人誰が行く?」


「ちょ、ちょっと待って!ヴィオが行くのですか?」


ノクトがいち早く帰還したようだ。


「この中の誰か二人が行く予定よ?」


「「「「 そんなの絶対駄目だ!!! 」」」」



わかっちゃいたが前途多難である。

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