第15話 MK5裏

「緊急ミーティングって、なに?」

「「「 ・・・さあ? 」」」


「可及的速やかになにを解決するわけ?」

「「「 ・・・さあ? 」」」


婚約者達に置いてけぼりを食らった彼らは頭を悩ませていた。

一体何をどうしたら、急に帰るなんてことになってしまったのか。

自分たちはこれからどうすればいいのか?

皆目見当もつかないことに、謝ればいいのかそれとも他にあるのか全くわからないでいた。


「とにかく探しに行ってみよう。先にシルヴァスタイン家だ」


一軒目にしてビンゴである。




シルヴァスタイン家の門を潜り、馬車止まりで馬車から降りるとすぐに声をかけられた。


「第一王子殿下!」


庭の方から走ってくるのはイザベル付きの侍女である。

確か名前はマリーだったかな?とアルフレッドは考えていた。

アルフレッド達四人の前に立つと、マリーは頭を下げて話し出した。


「恐れながら申し上げます!私の可愛いイザベルお嬢様達が離れに引き篭ってしまわれました。何があったのでしょうか?今、ヴィオレッタお嬢様達の侍女で、窓の外から様子を伺っておりますが、皆様泣いておられます!どういうことかお伺いしてもよろしいでしょうか!」


「「「「 は? 」」」」


え?私の?ベルって君のだったの?

てか離れなんていつ作ったの?

窓の外からって覗いてんの?

ていうか、なんで泣いてんのーーーー!?

アルフレッドはこんらんした。


「ご案内しますのでこちらへ」


侍女について行く全く状況がわかっていない4人

ここだけの話だが、侍女'sは長い付き合いなので何となく理由がわかっている。

きっと今日の茶会でなにか、お嬢様たちの心を動かす何かがあったのだ。

だから、秘密の離れに案内することを満場一致で決めたのだ。


離れの裏手に回ると侍女が三人そっと窓辺に佇んで様子を伺っていた。

死角に案内してもらい、少年達もそっと中を伺う。


しくしくめそめそと、時折しゃくりあげながら泣いてる声がする。


「は?え?ちょ、な、なま、生足なんだけど」

「ハルバード様お静かに」

「ハイ…」


泣きながら時折ボソボソとなにか話していて所々しか聞こえない。

ただ、何かとてつもなく悲しい事が起こったのだということはわかる。


「うさぎのベルすごい可愛い」


皆、それぞれの婚約者の装いに釘付けである。

クッションを抱え込み惜しげも無く足をさらけ出している。


「花の森?推しってなんだ?」

「ベルは可愛いものが好きだったのか。もっと大人びたものが好きかと思ってた」

「あぁ、やっぱり甘いお菓子が好きなんだ」

「レッドホークのステーキっておい・・・」


「おい、マリー。彼女達はよく城下に行っているのか?」

「はい。暇さえあれば出かけておいでです。もちろん私達もついて行きますし、私兵が陰ながら見守っておりますのでご安心ください」

「そうか」

「では、明日は私達もいこう。もちろん、ベルたちにバレないようにだ」




見守り開始です☆

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る