第5話 薔薇のかほり
突然だが、合コンである。
薔薇園の中には長方形のテーブルが置いてあり、四脚の椅子が向かい合わせに用意してあった。
大事な事だからもう一度言おう、これは合コンである。
「てか、遅くない?そっちが招待したのに何待たせとんねん。何様やねん!王子様だよ!」
「オンちゃん、落ち着け」
オリビアは口が悪い。そして、1人ノリツッコミしてしまうくらいに沸点が低い。
と、その時見目麗しい少年達が歩いて来るのが見えた。
「何歩いとんねん。シャキシャキ走らんかい。地球を隕石から救いにでも行くんかい」
「オンちゃん、わかるけど落ち着け」
少年達はゆっくり歩いてくる。
向かって右側はアルフレッドである。サラサラの金髪、長めの前髪から覗く瞳は深い青、薄い唇は僅かに笑ってるように見える。
その隣は銀髪に切れ長の瞳はペリドット、口元は引き絞り少女達を見つめている。
その隣、にっこり微笑みながら歩くのはマットな栗色の髪は所々クルクルと巻き天然パーマを思わせる紫瞳のハルバードである。4人の中では1番背が低い。
最後は、鮮やかな赤髪を短く刈り込み琥珀色の瞳は陽に当たると少し黄みがかって見えた。
「ごめんね。待たせちゃったかな」
オリビアの怒りのボルテージは最高潮、バチバチである。
次はねえからな、その思いでオリビアは他の三人に習って頭を下げた。
「第一王子殿下におかれましてはご機嫌麗しく・・・」
「いいよ、かしこまらなくて。顔をあげてよ。自己紹介しよう」
「アルフレッド・ランドール。第一王子だよ。よろしくね」
「イザベル・シルヴァスタインです。よろしくお願い致します」
「ノクト・コールマンです。本日はお越しいただきありがとうございます。」
「ヴィオレッタ・ブルックスです。よろしくお願い致します」
「僕は、ハルバード・ロイズだよ。みんなよろしくね」
「エリーゼ・フェイマンです。よろしくお願い致します」
「カーティス・リードだ。よろしく」
「オリビア・ミラーです。よろしくお願い致します」
合コン開始である。
テーブルには、一口サイズのサンドイッチやクッキー、マカロンや焼き菓子等が並べられ、カップに芳醇な香りが立ちのぼる紅茶を注いだ後、給仕をしてくれた侍女が頭をさげて下がっていく。
「イザベル嬢は砂糖いくつ入れるのかな?」
「砂糖は入れないんです。甘い飲み物はどうも苦手で・・・」
「・・・そうなんだ」
眉を下げ困ったように微笑みながら紅茶を飲むイザベル。ファーストコンタクトは間違いなく好感度が下がったであろう。イザベルは内心ほくそ笑んだ。
「ヴィオレッタ嬢はお菓子はお好きですか?こちらのマカロン等おすすめなんですが・・・」
「ごめんなさい、お菓子は好きですがマカロンは苦手なんです。こう、なんて言いましょうか、歯に引っかかるような感じがして」
苦笑しながらフィナンシェを自ら皿にとるヴィオレッタ。こちらも好感度下げとしては上々である。内心ニッコリだ。
「エリーゼ嬢の髪は綺麗だね。艶のある黒、僕は好きだなぁ」
「・・・まあ、それはあの、ありがとうございます?」
「なんで疑問形なの?そんな所も可愛いなぁ」
ハルバードの軽さに出鼻をくじかれるエリーゼ。これ、好感度下げできるか?既にロックオンされたようで俯くしかないエリーゼである。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・(なんでお前だけ無言やねん。つか、見すぎ!見すぎやから!穴開いてまうから!)」
無言の攻防を続けるオリビア。内心でのツッコミが止まらない。
四者四様互いに向かい合わせ、顔に笑みを貼り付け茶を飲みお菓子を食べていた。
会話が特に盛り上がることも無い。少女達は、もらった!!!と歓喜の雄叫びを心中で上げた。
これだけ盛り上がらないのだ、つまんねー女だな作戦はもはや成功ではないか?これは明日辺り『やはりこの話は無かったことに・・・』という文が届くに違いない。
よし!イケメンを探そう、本命に似たイケメンが絶対どこかにいるはず。
待ってて!私の本命の推し!必ず、必ず探して見せるからね!少女達は心中そう思いながら、この合コンが終わるのを今か今かと待っていた。
「みんなはどんな男の子が好みなの?」
ハルバードからこの爆弾発言が投下されるまでは・・・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます