第6話 空と君と僕との間に
合コン開始数刻前───
庭園に案内され用意された椅子に座る少女達を死角から見つめる4人の少年達。
当然、少女達は気づいていない。
何の話をしてるんだろう。緊張してるのかな?みんな顔が固いように見えるな。あれ?イザベル嬢が涙目になってる。緊張しすぎたのかな?涙目のイザベル嬢も可愛いなぁ。あ、笑ってる。前みたいな大きな笑いじゃないけど小さく両手をあてて笑ってる。可愛い!可愛い!!今日は青いドレスじゃないんだね。僕の瞳の色だったのに。あぁでもそのクリームイエローのドレスもとってもよく似合ってるよ。どんな声なんだろう?可愛らしい声で「アルフレッド様」とか呼ばれたい!いや、「アル様」違うな、「アル♡」って呼ばれたい!対面したら、どんなだろう。頬を染めてはにかみながら「お会いしたかったです♡」とか言ってくれるかな?言ってくれるよね?あぁ、早く会いたい!
思うことは若干の違いがあるが4人の少年達の心中はだいたいこんなもんである。怖い。
あのガーデンパーティからひと月半、少年達の心にはあの時屈託なく笑っていた少女達が離れない。
何事にも優秀な彼らである。脳内妄想の中では既に結婚までの道のりが組み立てられていた。
「どんな育ち方したらあんなゲロ甘台詞吐くんだろうねー」
なんて言ってた少女達だが、こうやって脳内妄想を繰り広げた末の末路である。
薔薇園に用意されたテーブルの脇に佇みこちらを見つめる少女達。
明るい栗色は陽に透けると金になり、深いダークレッドのややつり上がった瞳が僕を見つめている!アルフレッドは歓喜した。
薄茶の髪にやや垂れ目の同じく茶の瞳のエリーゼが僕を見つめている!ノクトはニヤつきそうになる顔を引きしめた。
艶やかな黒髪に深緑の大きな丸い瞳が僕を見つめている!これにはハルバードもニッコリである。
胡桃色の髪に薄茶の瞳が僕を見つめながらなにか呟いてる?なんだろう、少し不安になる。
自己紹介を終え、真向かいに座る少女達に少年達が歓喜したのはここまでだった。
全く、話が盛り上がらない!何故だ、どういうことなんだ。脳内ではあんなに上手くいってたじゃないか!と思う。
それは脳内だからですよ、と誰か少年達に言ってあげて欲しい。
内心ジリジリ焦る中ハルバードが爆弾を投下する。
「どんな男の子が好みなの?」
そうだ!聞きたい。どんな子が好きなの?それは僕?聞きたい!聞きたい!
少年達の目は期待に満ち溢れている。
一瞬虚をつかれたように目を丸くする少女達。
イザベルは人差し指を顎に当て首を傾げながら瞳を閉じ考えている。
か、かわ・・・
「筋肉」
「「「「 え? 」」」」
皆の視線がオリビアに注目した。
俺かな?って思ったカーティスは悪くない。
「あ、あのー、逞しい人が好きかなぁーなんて・・・えへへ」
困ったように笑いながらも目線は残された3人の少女に向かう。
三人が何故かじっとりオリビアを睨んでいるような気がする少年達。
やっぱり俺だ!と思ったカーティスは重ね重ね悪くない。
「す、好きになった人が好みですわ」
うんうん、と顔を見合わせて頷き合う少女達。
「えー、なんか抽象的だなぁ。優しい人とか、頭がいい人とか・・・」
食い下がるハルバード。
「その、なんていいますか。優しいとかかっこいいとか理想を作り上げても、なにかきっかけがあればそれを上回って好きになったりすることもあるかなって。相手はちゃんと実在する人ですしね」
ヴィオレッタは答える。
「そのきっかけってなんだろう。なんかあるのかな?」
ハルバードはしつこかった。
エリーゼは眉を下げ苦笑しながら
「それが分かったら苦労しないと思いますわ。きっとそれは誰にもわからないものだと思います」
「それはそうかもしれませんね」
ノクトが会話を引継ぎその話題はそこで終了した。
筋肉か、俺は父上に似てるからこれから筋肉つくはず!だから俺が好き!と思ってるカーティスはやっぱり悪くない。
爆弾発言からこっち何となくぎこちない雰囲気ではあったが(一名除く)なんとか和やかに茶会は終了した。
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