第4話 ストーカーと呼ばないで

突然だが、王城である。

婚約打診があった翌日、4人の少女はそれぞれの父親から婚約打診の旨を告げられた。少女達の心境は離れていても皆一様に同じであった。


「・・・な・・・なん・・・だと・・・」


そして、二週間後に顔合わせと称して王城のまたもや庭園でのお茶会に招待されたのだ。それも四人一緒に。何故?

第一王子と、その側近候補なんだから一緒にやりゃーいいじゃん、とかなんとか誰かが言ったのかもしれない。


「こちらで少々お待ちください。公爵様方はこちらへ」


侍従にそう言われ、早々に共に登城した父親から離されてしまった。こんなのありか?そう思いながら少女達は用意してあった椅子に腰掛け庭を眺めた。


「ねえ、婚約ってこんなに早かったっけ?てか、私達あの日挨拶以外、微笑み達と話してないよね」


口火を切ったのはやはりイザベルである。


「うん。これって強制力ってやつ?」

「えー、じゃもう逃げられないじゃん」

「いや、ほんまどこで目つけられた?」


ヴィオレッタ、エリーゼ、オリビアが答える。

四人の少女は考える、考える、考えて・・・放棄した。


「もうこうなったら仕方ないから、無難にいこう。猫50匹くらい被って、ニコニコ笑って当たり障りない話しよ」

「いいね、それ。んで“なんだコイツつまんねー女だな”って思わせる作戦でいこう」

「せやな。こういうのってだいたいが“おもしれー女”って奴に食いつくんだよ。てか、なんだよおもしれー女って。自分と考えが違ったらおもしれーですか、そーですか、なんやねんそれ」

「オンちゃん、落ち着け」


上から、イザベル、エリーゼ、オリビア、ヴィオレッタである。

大きくため息をつく四人の少女達。

ここでの振る舞いが今後を決めるといっても過言ではない、それぞれが思っていた。

強制力が働いて候補になったが、ここでつまんねー女だな作戦が成功すればワンチャンあるのでは?と思っていた。

早々にゲームから離脱し、攻略対象者以外のイケメンと交流するのもいい。本命に似たイケメンがどこかに生息しているかもしれない。探しに行きたい。その為にもつまんねー女だな作戦は必ず成功させる必要がある。


「ねえ、裏切り禁止ね。一人だけ候補から外れるとか無しだから」


イザベルが三人をじっとり睨む。

イザベルはわかっていた、王家と公爵家、国内だけでいえばこれ以上ない家格のバランスである。思わず3人は怯んだが、ヴィオレッタが答える。


「いや、決めるのはあっちだし私たちにどうこう言われても・・・嘘!わかった。裏切らないから泣くな」


どんどん涙目になるイザベルに三人は大きく首を縦にする。合言葉は、断罪ダメ!絶対!である。


「とりあえずニコニコしてお茶飲んで、お菓子食べる。受け答えは一言で終わらせて会話を広げない!」


エリーゼがつまんねー女だな作戦の具体案を提示する。


「「「 了解! 」」」

「「「「 頑張るぞー、えいえいおー! 」」」」


少女達は拳を握りしめ小さく掲げた。

そして、クスクスと笑う。


「やっぱりまだ声高いのかな?」

「高いんじゃない?」

「ちょい楽しみよね」

「わかるー」


両手を口に当て顔を見合わせてクスクス笑う少女達。


「お待たせしました。準備が出来ましたのでこちらへどうぞ」


侍従について歩きだす。どんどん花の濃厚な香りが漂い、着いた先は薔薇が咲き誇っていた。







────見てる、見てたよ・・・・・・

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