世界の真実

「あ…あそうだが」


「誰その子浮気?」


「いえいえ……ラルラさんと同郷ってだけで関係はこれっぽっちもありませんよー」


 ラルラと心が外で話してるとシェイナが会話へ参加をしてくる。


「もちろん知ってるわ。地球という世界のことも」


「そうですかーー。でもあの事は?」


「もしかして知ってるのか?」


「え?え?なになに!!なんで2人でわかりあってるのーーー」


 家族には秘密にしてる怪物化の事を知ってるのは同じく神から聞いたのだろうか?


「残念ながら私は皆さんを送り込んだ邪神とは関係ないですーー。私の能力は視天変更といって、この世界の全てを覗き見るだけというしょうもない能力なんですーー。男風呂とかも覗けますよ」


「そ、そうか……」


 あまりにしょうもない能力に顔を思わずひきつらせるラルラ。


「ただですねーーー。私の能力の視天変更のテンという字が小数点の点じゃなくてですねーーー天使の天なんですよーーー。そうしたらなんと天界の図書館も覗けちゃったんですよーーー」


「!!おお!!すごいな役立たずと思ったスキルが役立つというのは王道だもんな!!」


「それで私達の世界にアカシックレコードってあるじゃないですかーー?それの本版がこの世界にあるんですよーー」


「へぇ」


 シェイナは話についていけてないが大事そうな話をしてる2人をモヤモヤとしながらも黙って聞き続ける。


「それでですねーー!!ラルラさんの育ててるメリナさん!!本来の世界線では始めてエリクサーの開発に成功して聖女と崇められるはずの人物なんですよーー」


「なんと!!でもエリクサーって……」


「はいーー。ご存知の通り転生者により普及されたのは地球の科学知識だけでなく魔法があるのだからフィクションも実現させようとエリクサーは既に開発されてますーー」


 心に言われた通りあらゆる武器も薬品も技術も地球人により開発され尽くされてしまい新たな開発が見いだされていない。


「ここからが怪物化と繋がるんですがーーー英雄譚を持つ現地人は邪神に対抗するための手段となるんですよーーー」


「どういうことだ?」


「今から説明しますーーー」


 心の説明によれば本来の世界線では偉業を成し遂げ民から崇められることで世界神とのパスが繋がり英雄の力を授かる。しかし、今の世界線では紡ぐはずの英雄譚は全て転生者が解決してしまい世界神の力は薄れている。転生者が崇められることで神力は全て邪神のもとへと流れてしまっている。


 世界に何人かいる『紡がれざる英雄譚』の保持者は別の世界線の可能性から力を得て邪神に対抗する武器を世界神から授かる事が出来る。そしてメリナもその1人だった。


 その後、転生者達は再び集い説明を聞いた。英雄譚の保持者を探すために学校を建設し死んだときに被害を出さないために超強力な結界を構築した魔育館も設立した。


 そして、ラルラは娘のメリナに父親殺しを命じた。シェイナに何度も謝りメリナも首を横に振り嫌だ!!と何度も言ったが「ごめんな、パパの最後のお願いなんだ。俺が殺されてもメリナのことを大切にしてくれ」という言葉を聞き涙を流しながらラルラは自殺した。


 その後激戦を繰り広げ最終的にメリナは勝つことが出来た。メリナはシェイナと共に愛する人を殺し殺されたショックで数年間の引きこもることとなった。


「……。ってのが現在までの話ーー。でも、君も結界発生中の魔育館に来るなんてねーー」


 心は説明を終えてメリナは父親殺しの記憶が甦り唇を噛みしめ涙を流す。アルシェも真実を聞いてしまい、どう反応すればいいのか全く解らず黙り込んでしまう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る