学校案内
アルシェとメリナは2人で、それなりに静かになった放課後の校舎を歩いている。廊下から、保健室や図書室や魔育館(体育館)。日本にある学校とあまり変わらない。
「いっきに説明しちゃってるけど大丈夫かな?」
「大丈夫。一応は校舎案内の看板は見てきてる」
なるべく温和な雰囲気で語りかけるが素っ気ない態度で返される。正直少しばかりの不快感がある。まぁ、気にしていても仕方ない。
「あら?アルシェ君。その子が例の転校生ね。
「メリナ・ディアウェンです。お願いします」
一時期は無詠唱という技術が一世を風靡したが、無詠唱を行使しすぎると人体にある魔丹と呼ばれる魔力を溜める組織に過大な負荷がかかることが判明したため緊急時以外での使用は原則として禁止されている。
現地人がむやみに模倣した場合は、無詠唱の副作用として全ての魔法行使が出来なくなる可能性もある。食事が喉を通りにくくなったり声がでなくなったりといった障害が残った人達もいる。
学校が建てられ庶民にも魔法教育が浸透したおかげで転生者への憧れから無詠唱を練習して重態になる患者は大幅に減った。
「では、また」
「はい」
アルシェが授業でならったそんなことを考えていたら、メリナとセーレ先生が何らかの会話をしていた。心なしか先生を睨んでるようにも見える。
「続きをお願い」
「あ、はい」
校舎案内を催促されたので、表情を気にするのをやめて案内を続ける。そうして、王都の学園に比べれば断然小さい田舎の学校の案内も終わりを迎えた。
「今日はありがとう」
「ああ、うん」
素直に感謝を述べられると少し照れてしまう。だけど、表情はかなり暗く調子が狂う。
「私は、この後に職員室に用があるから」
「わかった、場所は大丈夫?」
「大丈夫。さっき案内されたばっかりだし」
「そっか」
アルシェはそのまま校庭でメリナと別れて、荷物を取りに自分の教室へと向かう。
「あ、グーギャ先生の詠唱問題の課題の提出。明日までだけど今日のうちにだしちゃうか」
その後、教室で帰りの荷物を整理してると、自分も先生へ用があるのを思い出して遅れながらアルシェも職員室へ向かうことにした。
のんびりと歩いているとメリナとセーレ先生が魔育館に向かうのが職員室の窓から見えた。
(こんな時間になんだろう?)
部活動も終わり誰もいない魔育館なんてエロい展開みたいだけど女性同士なんだよな。
(ちょっと覗くか)
何をするつもりなのかが気になったアルシェは、提出をしたあとに魔育館へ行き何をするのか確認しようとワクワクしていた。
(もしかしたら王都の魔法学園の訓練場を壊した極大魔術を見れたりるのかも)
そんなことを考えながら、胸の興奮を押さえきれずにいた。
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