第96話 お爺ちゃん、開拓惑星に都市を建て、ストーリークエストに挑戦する。


「今回は、惑星開拓の研究プロジェクト項目にある不活性ガスの解放をアンロックしました!」

「テキストによると、地下にある不活性ガスを惑星上に排出させて大気圧を高めるんだって」


 鈴鹿が新たにアンロックした研究プロジェクト名を読み上げ、彼方がプロジェクトのテキスト本文を視聴者達に伝えると、視聴者の一人がガスとか危なくないのかとコメントを書き込む。


「取りあえず今回のは問題ないね。効果も惑星価値を二段階あげるとしか書いてないし」

「惑星価値というのは開拓中の惑星の総合評価じゃな。高ければ魅力的な惑星として入植希望者や旅行者が増えて、税金などの収入が増えるぞ」

「今回のは大気圧が増して住みやすくなったから価値が上がったって感じかな?」


 彼方がガスには悪影響がないことを伝え、源三郎が惑星価値について惑星開拓項目のQ&Aページを見ながら説明する。


「そしてっ! 2億クレジットもするクレータードーム型都市をアンロックして、ついに私達の惑星に都市が出来ました! はい、拍手!!」


 彼方は新たにアンロックした研究プロジェクトを報告して拍手をする。

 源三郎達も同じように拍手して、コメント欄でも拍手のアイコンや拍手を表す88888と数字を書き込んでいく。


「都市を建てると電力と食料を消費する変わりに入植者がやってきて税金を払ってくれてね、これが毎週水曜日のメンテ明けにカンパニー資金に振り込まれていくの。赤字になると逆にカンパニー資金から天引きされたりするけど」

「完全に都市運営シュミレーションじゃな」

「因みにクレータードーム型都市は読んで字のごとく、クレーターにドームタイプのバリアを張って、内部に酸素など生活できる環境を作った都市だよ」


源三郎達は視聴者達に都市を建築すると何が出来るか説明する。


「ドーム都市と通常都市の違いは、都市内部に建てれる建築物の数の違いかな? ドーム都市は土地の広さが決まってるけど、通常の都市はそのきになればメガストラクチャーと呼ばれる惑星全土を一つの都市にも出来るってさ」

「多分実現しようとしたら年単位の事業になりそうじゃな」


 源三郎達が都市の違いを説明し、メガストラクチャーについて話すと視聴者の一人がうちのカンパニーがそれ目指していると返事を書く。


「都市を作ると人口や犯罪率、市民幸福度など都市運営シュミレーションゲームみたいなシステムが追加されます」

「人口には戸籍がある人口と密航や密入国と言う二種類の人口があり、密入国側が増えると犯罪率が増えます。戸籍がある人口は増えたら税収が増えるよ」

「市民幸福度は市民がこの都市でどれだけ快適に暮らしているかなどのパラメーターで、低いと出ていったり、暴動起こしたり、先ほど紹介した襲撃系プロジェクトに市民が内通して成功率を変動させたりするんじゃとさ」


 源三郎達は都市のパラメーターを紹介していき、コメント欄ではもう別ゲーじゃんと言われている。


「都市を建てたことで、都市用の研究プロジェクトも表示されるようになったけど………コンピューターに市民が幸福であるか監視させたり、人口が減りやすくなるけど定期的に幸福薬を投与して強制的に幸福にさせるプロジェクトとかある………」


 彼方は都市用研究プロジェクトの一部を紹介するが、ディストピア過ぎる内容の研究プロジェクトもあってドン引きしている。

 そして、コメント欄では偉大なるコンピューター様万歳!私は幸福です!と一部の視聴者達が書き込んで悪のりしていき、元ネタを知らない他の視聴者がドン引きしている。


「内輪ネタはそこまでね。都市専用の建築カテゴリーもあって、警察署を建てれば犯罪率が抑えられるなど、良くある街作りゲームみたいなことが出来るね」


 少々コメント欄が荒れてきたので、彼方が指で✕を作って注意しながら都市建築カテゴリーを紹介する。


「こういう土地の広さが決まってる場合は何を建てるか良く考えないとダメっぽいですね」

「でもメガストラクチャーも区域ごとの特色とか考えないと、凄いことになりそう」


 鈴鹿とノエルが都市について視聴者達と感想を言い合い、内輪ネタでギスギスした空気を緩和していく。


「建築物にはこんな感じでプレイヤーに恩恵があるのもあるんだって。今後そういうのも建てていくから、よかったら私達の惑星に遊びにきてね!」


 彼方は都市建築カテゴリー一覧を視聴者に見せる。

 建築一覧には、値段と完成までの時間、完成後の効果と、どれだけ土地を占拠するか書いてある。


「せっかくなので一つの建物を建ててみたいと思います! 建てるのは2200万クレジットもする総合研究所! 研究プロジェクトの代金を電力で支払う事ができます。ただし、電力1で50万クレジット換算だから、電力だけでプロジェクトアンロックしようと思ったらかなり電力がいるね!」


 彼方がウィンド画面を操作して総合研究所の建築を開始すると、ドーム都市の端っこで建築が始まり、完成までの時間が表示される。


「さて今回はちょっと長くなったけど、以上です。この後はお爺ちゃんが見つけたストーリークエストに挑戦します!」

「惑星にスキャンしてたらいきなり救援要請の通信がきたんじゃよ。惑星の名前はズィープ」


 彼方は源三郎をカメラに撮してストーリークエストを始めることを視聴者に告知し、源三郎は自分が見つけたストーリークエストの発見時の状況を報告する。


「あれ? お爺ちゃん、惑星の名前あってる? 視聴者さんからそこスキャンしたけどクエスト始まらなかったっていってるよ?」

「うん? いやメモでは間違ってないが………うん、実際に現場にいった方がはやいな」

「ですね」


 視聴者の一人がスキャンしたけどストーリークエスト始まらなかったと言うコメントが書き込まれ、源三郎達は実際に確かめるために件の惑星にワープする。


「うん、座標も名前も間違っとらんし、クエストも表示されとる」

「視聴者さんもその惑星だっていってるね」

「違いはなんだろ? バグ?」

「取りあえず私達もスキャンしてみましょう」


 目的の惑星にワープアウトした源三郎は自分のクエスト一覧に件のストーリークエストがあり、惑星名前も間違ってないのを確認する。


「私もクエスト発生した!」

「あ、私も~」

「私もです。となると、何かストーリークエストが始まるための前提条件があるのかもしれません」


 まだクエストを受けていない彼方達が惑星をスキャンすると源三郎と同じコロニーがロボットに襲われて救援を求める通信が入り、ストーリークエストが発生する。


「それじゃあ、早速惑星に───って、なんか襲ってきた!?」


 彼方が惑星に降下しようとすると、降下を阻止するように惑星から鉄アレイとも落花生とも思える形のアンノウンとネーム表記された戦闘機が四機現れる。


「スキャンの結果、敵はイレイザーです!」

「もしかして、イレイザー関連のイベントがストーリークエストの前提条件とか?」


 鈴鹿が敵の戦闘機をスキャンすると、アンノウンネームがイレイザー戦闘機と表記され、それをみたノエルが視聴者がストーリークエスト始まらなかった理由を予測する。


「まずは前哨戦といったところかっ!」


 源三郎はグラップラーシップモードのまま大太刀を抜刀する。


「お爺ちゃん! 配信の映え的にも変形してよ!」

「むう………仕方ないのう」


 グラップラーシップモードのまま戦おうとすると彼方からダメ出しが入り、ロボットモードに変形する。


「よし、改めて───」

「駄目っ、口上がない。やり直し」


 ロボットモードになって仕切り直そうとすると、再度彼方からダメ出しが入りずっこけそうになる源三郎。


 配信コメント欄では彼方ちゃん厳しいとか、コントかよwwwとか、お爺ちゃん諦めて決め台詞をなど彼方と源三郎のやり取りで爆笑している視聴者達の書き込みが次々と表示される。


「聞けっ! そして刮目せよ! 大いなる善の牙よっ、今こそその力を示し現す時なりっ! チェエエエエンジ! 大善牙ァァァァーッ!!」


 源三郎の叫びと同時にグラップラーシップから鎧武者の人型ロボットに変形してポーズをとる大善牙。


 コメント欄ではロボットキターーーッ!と興奮する書き込みが滝のように流れていった。

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