第95話 お爺ちゃん、密造工場を作ってみる
「へー、惑星をスキャンしていたら新しいストーリークエスト見つけたんだ」
「いやはや、あれはびっくりじゃったわい」
彼方達がログインしてきたので、源三郎は自分が見つけたストーリークエストについて説明する。
「じゃあ、今日の配信はそのストーリークエストをメインにしようか」
「それもいいけど、こっちはどうする?」
彼方は源三郎が見つけたストーリークエストを配信しようと提案すると、ノエルがフリージアカンパニーマスターである彼方宛にきたNPCからのメッセージをどうするか聞いてくる。
「あー、これね………こっちを最初に配信して、残った時間でお爺ちゃんのストーリークエストにする? 最悪明日の昼にすると言うのもあるけど」
カンパニーマスターである彼方宛にバベルステーションにいる密輸NPCからメッセージが届いていた。
メッセージ内容は極寒の惑星で見つかった生物から麻薬みたいなのを作れるらしく、資金出すから開拓中の惑星に製造工場を作らないかと言う話だった。
「こんなイベントまで用意されてるとは思わなかったね」
「密輸システムがあるから、こういうのもあっても違和感ないけど」
「それはいいですけど、彼方のお爺さんはレースの練習があるのでは?」
「別に絶対優勝しないといけない訳じゃないし、ある程度練習はしてコースは把握したから、明日の昼あけれるぞ」
メッセージ内容を再確認しながら配信スケジュールについて話し合う彼方達。
鈴鹿は試合当日の源三郎を気遣うが、源三郎は孫の彼方の配信を優先する。
「じゃあお爺ちゃん、最悪明日のお昼配信で潰れてもいい?」
「構わんよ、わしゃお前と一緒に遊べるのが楽しいし、嬉しいからな」
彼方が申し訳なさそうに聞いてくるが、源三郎からすればレースよりも孫が大事なのでニコニコ顔で返事する。
「それじゃ配信始めようか! ハーキュリー、カメラ用意して」
「了解しました」
彼方達は配信の段取りを終えると、早速配信を開始する。
「皆さん今晩は! 彼方です!」
「やっほー! ノエルだよ」
「皆様今晩は、鈴鹿でございます」
いつもの挨拶から配信が始まり、配信待機していた視聴者達が挨拶のコメントを書き込んでいく。
「今日はちょっとイベントがたくさんあるのでもしかしたら二回にわけるかも? まずは前回の配信で極寒の惑星を見つけたの覚えてる? あの後バベルステーションの密輸ミッションをくれるNPCからメールがきてね、あの惑星の生物から麻薬が作れるから、私達の惑星で密造しないかってお誘いきたの。悪いことだけど、実際に手を出したらどうなるか検証する配信しまーす!」
彼方がバベルステーションの密輸NPCからきたメッセージの内容を視聴者に説明する。
「NPCからのお誘いに同意すると、密造という建築カテゴリーがアンロックされました」
彼方は惑星開拓画面を配信カメラで撮影して、新たにアンロックされた密造系建築のカテゴリーを紹介する。
「作れる工場はたくさんあって、普通の工場と偽装工場の大中小があります」
「違いは偽装工場は見た目は一般的な物を作ってるように見せかけて、万が一連邦や同盟の捜査を受けてもごまかせる場合があるんだって」
「工場責任者の密輸やセキュリティスキルで偽装難易度が変わるそうです」
彼方達は通常の工場と偽装工場の違いを説明する。
「密造系建築をたてる時の注意点として、惑星全体のパラメーターとして犯罪率が上昇して治安が下がります」
「治安より犯罪率が高いと、その都市や惑星は犯罪都市や無法惑星扱いになります」
「全体的にデメリットが大きいですが、悪役ロールするならありかもしれません」
密造系建築を行った場合のデメリットを説明しつつ、彼方は試しに偽装工場の小を建てる。
すると、惑星全体の犯罪率がほんの少し上昇した。
「密造工場を建てても原材料と電力がないと稼働しません」
「本来なら原材料である生物を極寒惑星から輸送しないといけないんだけど、私のクローンデザイナースキルで輸送をはしょれます!」
ノエルはエッヘンと胸を張ってスキルで輸送コストを削減したことを自慢する。
「製造された違法薬品は私達プレイヤーが運ぶか、密輸系ミッションボードを設置して密輸業者ロールしているプレイヤーに運んでもらうか、密造系建築カテゴリーにある密輸業者のシャトルステーションを建てることで自動で輸送してくれます」
「こっちの自動輸送は、惑星がある星系の治安度と施設管理者の密輸スキルで摘発率が変わるそうです」
「因みに収入は週毎にカンパニー資金に振り込まれるぞ」
密造した違法薬品の輸送方法を説明しながら、彼方は密輸業者のシャトルステーションを建築する。
「あ、工場と密輸業者のシャトルステーション建てたらミッションクリアとして報酬もらえた」
「報酬はクレジットと密輸関連のスキルチップ、あと偽造恩赦状が数枚ですね」
「偽造恩赦状は密輸が発覚して指名手配されても、消費すれば指名手配から解除されるんだって」
「指名手配されていなくても使用すれば注目度も0になるので結構便利じゃな」
密造系建築カテゴリーの建物を建てたらミッションクリア扱いとなって源三郎達全員に報酬が支払われる。
「他にもならず者の酒場とか色々あるけど、犯罪率あげたくないから今は保留かな?」
「それじゃあ、アンロックされた研究プロジェクトの紹介にはいるねー!」
「まずは惑星開拓プロジェクトの深井戸暖房でございます。惑星のコア近くまで深い穴を掘ってコアの熱を利用して惑星全体の気温を上げます」
「これまで惑星全体の温度はマイナス30度じゃったが、マイナス28度になったな」
彼方が配信要ドローンのカメラを惑星ドーマンに向けると、とある地区に巨大な穴が掘られコアの熱を利用する機械が稼働しているのが撮影される。
惑星全体の温度が表示されるが、コメント欄では付け焼き刃なんてコメントが書き込まれていた。
「あれ? 一覧に知らないプロジェクトが増えてる?」
「えっ? 本当だ!」
「何か隠し条件でも満たしたのでしょうか?」
次のアンロックしたプロジェクトを紹介しようと惑星開拓プロジェクト一覧を見ていた彼方達が首をかしげて声をあげる。
「因みに増えたのは襲撃計画、盗電、略奪の3つ」
「襲撃計画は、同じ惑星を開拓している別のカンパニーの施設を破壊します」
「盗電は同じ惑星を開拓している別のカンパニーから電気を一定期間盗むと書いておるの」
「略奪は同じ惑星を開拓している別のカンパニーから資源をランダムで盗むだって」
彼方達は突然現れた新たなプロジェクト内容を読み上げるが全体的に他のカンパニーに対する犯罪行為が多い。
「え? 相手側は防げないのかって? えっとね、セキュリティ関連の施設と責任者のスキルで成功率が変わるみたい」
「襲撃側もスキルやならず者の酒場とかで成功率が変わるようです」
視聴者の一人がその襲撃系のプロジェクトは防げないのか質問の書き込みをし、その書き込まれたコメントに気づいた彼方と鈴鹿が質問に答える。
「でも不特定多数が同じ惑星開拓してるならまだしも、1対1だったらトラブルになりそうだよね?」
「まあ、それでもゲームシステムで容認されてるからと言って使うやつはいるじゃろうなあ」
ノエルは1対1ならトラブルになると予想するが、過去にVRではないブラウザタイプのMMOをいくつも経験している源三郎は、それでもやるやつはやると思っている。
「他にも色々妨害系のプロジェクトがあるけど、今は私達しか開拓していないから関係ないかな?」
「それでは続きを紹介していきます」
彼方達は襲撃系プロジェクトの話を切り上げて、アンロックされた研究プロジェクトの紹介を再開する。
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