第84話 お爺ちゃん、また新たなイレイザーの痕跡を見つける
翌日火曜日、源三郎は何時ものように朝食を済ませて掃除など家の用事を終わらせると、ギャラクシースターオンラインにログインする。
「さて、今日も稼ぐかの」
日課になり始めている交易と貨客マラソンで金策をして彼方が達がログインするまで時間を潰す源三郎。
稼いではコツコツとステーションや惑星開拓に投資をして彼方達のゲームプレイをサポートする。
「ふむ? 惑星にアノマリー反応じゃと?」
源三郎が投資など作業をしていると、惑星ドーマンに建てた探索施設から惑星にアノマリー反応があったとメールがくる。
「気になるが………彼方達がログインするまでお預けじゃな」
メールには惑星の何処で反応があったか座標が表示されており、源三郎は覗きに行きたい気分だったが、彼方が来るまでと我慢する。
「ヤッホー、お爺ちゃーん!」
「おお、お帰り彼方」
そんな風に時間を潰していると、彼方達がログインしてカンパニールームに顔を出しに来る。
「彼方や、探索施設からメールがきてるぞ」
「あ、本当だ。えーっと、アノマリー反応?」
「探索ミッション受けなくても見つけてくれるんだ」
「本日の配信は決まりですね」
彼方達も惑星調査施設からのメールを見てきゃいきゃいと騒ぎながら今日の配信についてミーティングを始める。
「またお爺ちゃん、いっぱい稼いでくれたね」
「それでもデューティーミッションと比べると安いがな」
彼方はカンパニーの税金徴収で溜まった金額をみて驚いたような顔になる。
「お話だけ聞いていますけど、以前教えてもらった貨客マラソンより時給換算はいいんですよね?」
「うむ、TR4のデューティーミッションだと、
ドロップ品にもよるが、一回の報酬額が貨客マラソン数回分になる」
「彼方のお爺ちゃんのテック4船が完成したら挑戦してみたいな」
「それもいいね」
そんな風に今後の配信でやっていきたいこと等話し合う彼方達と、それを見てほっこりしている源三郎。
「よしっ! それじゃあ配信始めるね。ハーキュリー、カメラの用意して」
「了解しました」
彼方が自分のサポートロボットに声をかけて撮影用のドローンカメラを呼び出すと、配信を開始する。
「皆さん今晩は、彼方てす!」
「ヤッホー、ノエルだよー」
「皆様今晩は、鈴鹿でございます」
何時ものように彼方達三人が挨拶して配信が始まる。
「今回は研究プロジェクトのアンロックのお知らせはありません」
「安くて簡単なやつはほとんど全部アンロックしちゃって、高くて手が出せないのと、現在研究中でアンロック待ちのプロジェクトだけなんだよね」
「新たにアンロックしましたら改めてお知らせさて頂きます」
ここ最近は日課になっていたアンロックした研究プロジェクトの報告だが、今回はタイミングが悪く告知できなかった。
「惑星開拓の方なんだけど、探査施設から惑星上にアノマリー反応があるってお知らせがきましたので、それを調べに行きたいと思います!」
「この惑星のアノマリーの正体はなんなのか、凄く楽しみ」
彼方とノエルが惑星のアノマリー反応についてお知らせすると、配信視聴者達も盛り上がってコメントを書きこんでいく。
「また凄いクレーターが……」
源三郎達は六輪装甲車ウォーカーに搭乗してアノマリー反応があった座標に向かうと、前回イレイザーと戦った惑星のクレーターよりも巨大だった。
「反応はクレーターの中心部だけど、どうやって行こう?」
「装甲車で降りれそうにはないよね?」
「あ、ここから行けそうじゃないですか?」
クレーターの外周部分を回って降りれる場所を探していると、スロープのような下り坂を鈴鹿が見つける。
「行けるが………道幅がギリギリじゃな」
装甲車はトロトロと徐行しながらスロープを下っていく。
彼方は配信用のドローンを操作して車幅と道幅、上空から見下ろすように撮影してどのような場所を今下っているか映すと、配信を視聴してる視聴者達がタマがヒュンとなるとか、スリル映像を見ているようだなどとコメントを書き込んでいく。
「ここが中心部だが、深さは………約78キロメートルじゃと!?」
「クレーターの広さは直径800キロメートル!?」
源三郎達が中心部に到着するとスキャンでアノマリーの正体を調べ始め、最初のスキャン結果でクレーターの深さと広さが判明する。
「因みに現実世界での最大規模のクレーターは南アフリカ共和国にあるフレデフォートドームと呼ばれれるクレーターです」
スキャンでアノマリを調査中、鈴鹿が視聴者に向かって蘊蓄を披露し、Wikiなどで調べたと思われる視聴者がフレデフォートドームと惑星ドーマンのクレーターとの対比をコメント欄に書き込む。
「む? アノマリー調査していたら考古学と地質学、それに採掘スキルが要求されたぞ」
「地質学と採掘スキルはわかるけど、考古学?」
「取りあえずチーム組んでるお陰で要求スキルの条件は満たしていますので、調査を続けましょう」
クレーターの中心部でスキャンを続けると、システムメッセージで幾つかのスキルを要求される源三郎達。
「これは………遺跡か?」
まず、採掘スキルのお陰でクレーターから建物の残骸が発掘した体で地上にポップする。
「お爺ちゃん! こっち側はアダマンティンの鉱床だよ!!」
彼方はクレーターの壁からアダマンティンの鉱床を見つける。
「年代測定から、この遺跡は約600万年前の物………って、イレイザーとサイブリックが戦ってた時代の遺跡!?」
ノエルが遺跡の年代を測定すると一気に配信のコメント欄が盛り上がる。
「あ、考古学スキルによるクレーターの調査結果が出ました! サイブリックとは違うこの星にあったエイリアン文明がイレイザーによって滅ぼされたようです」
「えーっと、なになに? イレイザーがこの星に超巨大隕石を落として、かつてあったエイリアン文明を滅ぼした。しかも滅ぼされたエイリアン文明は地球で言うところの14世紀前後の文明だった!?」
鈴鹿と彼方が調査結果を読み上げ、結末に驚く。
配信のコメント欄でもイレイザー容赦ないとか、有機生命体絶対殺すマンだとか、滅ぼされたエイリアン側からすれば天災に見えたかもななど色々コメントが書き込まれていく。
「隕石の衝突によって衝撃と熱で水が蒸発、衝突の衝撃による地殻変動や巻き上げられた粉塵で氷河期など、隕石の衝突から生き延びた生命体も滅亡………」
「つまり、この惑星が今のような環境になったのはイレイザーの隕石落としが原因と言うことか………アダマンティンの鉱床は隕石に含まれていたのが飛び散って永い年月で地層になったと」
健三郎達はアノマリー調査結果の続きを視聴者にもわかるように読み上げていく。
「うーむ………個人的にはレア鉱石のアダマンティン鉱床があるのは喜ばしいが………出来た理由を知ると素直に喜びにくいのう………」
源三郎は微妙な顔をしながら発見されたアダマンティン鉱床を見つめる。
「これでアノマリー調査は完了です。なんと言いますか、イレイザーの驚異と容赦の無さがわかりましたね」
「連邦に報告したら、クレジットとこのアダマンティン鉱床が報酬としてもらえたよ」
「惑星アノマリーってひとつの惑星にひとつだけかな?」
アノマリー探索が完了したことを彼方達が報告し、ノエルが疑問を口にすると、コメント欄では惑星開拓を始めたカンパニープレイヤーと思われる人から複数あったと報告が書き込まれる。
「今後も惑星アノマリーが見つかるかも知れないんだね」
「ストーリークエストになるようなアノマリーだとよいのう」
「まだ時間あるし、アノマリー探索ミッションやらない?」
「そうしましょうか」
惑星ドーマンのアノマリーはあっさり調査が終了してしまい、彼方達は余った時間をアノマリー探索ミッションに費やすことにした。
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