第82話 お爺ちゃん、リベンジする
翌日の月曜日、源三郎は彼方達がログインするまで交易と貨客マラソンと鉱石採掘を繰り返しながら時間を潰し、ある程度お金が貯まるとカンパニーや惑星開拓の研究プロジェクトに投資する。
「うーむ………一番儲かるのはやはりデューティーミッションか、アノマリー探索ミッションの当たりを引くかのどちらかか……」
鉱石採掘や貨客マラソンの最中、時間潰しにギャラクシースターオンラインのWeb掲示板や攻略wikiなどを見て新しい金策がないか探す源三郎。
現状デューティーミッションが一番時給換算率が高いがチーム必須で平日の昼間はログインする人の少なさでなかなか集まらない。
アノマリー探索ミッションはギャンブルだし、ストーリークエストなどが見つかる可能性があるので、やるなら彼方達の配信ネタにしてあげたいと源三郎は思っている。
「交易は下手に公開するとプレイヤーが殺到して相場が崩れるからのう………」
掲示板や攻略wikiの交易関連は有識者達は相場があるから教えられないと書き込み、楽して儲けようとしているプレイヤー達が情報の独占だと叩いてレスバトルしている。
「お爺ちゃーん!」
「おお、彼方ログインしたか」
そんなこんなで彼方達が学校を終えてログインしてきた。
「あ、お爺ちゃんついにテック4宇宙船作り始めたんだ」
「あ、本当だ。工場フル稼働じゃん。おめでとう」
「おめでとうございます。完成が楽しみですね」
「ありがとう、水曜日に完成する予定じゃ」
ログインした彼方がカンパニーや惑星ドーマンの状況を確認して、源三郎がテック4宇宙船製造中であることに気づく。
ノエルや鈴鹿からもお祝いの言葉をもらい目尻が垂れてにこにこする源三郎だった。
「今日の配信予定だけど、惑星ユトーのリベンジでいい?」
「ウォーモンガーカンパニーさんから折角テック4装備の設計図も貰いましたし、それでよいかと」
「今度は倒して惑星の謎解きたいね」
「このガンブレイドの特性も試してみたいしのう」
配信前のミーティングで彼方は以前アノマリー探索ミッションで見つけたエイリアンのミイライベントの再挑戦を提案し、源三郎達も同意する。
「それにしてもお爺ちゃんこのお金どうしたの?」
「ん? 何がじゃ?」
「今確認したら結構な数の研究プロジェクトに投資してるけど、大丈夫?」
彼方はそう言って、カンパニーや惑星開拓の現在アンロックされたり研究中の一覧を仲間に見えるように表示する。
「ああ、昨日ウォーモンガーカンパニーさんとことTR4のデューティーミッションしたからのう、あれはかなり儲かるぞ」
「自分のことに使ってもいいんだよ?」
「そうは言うが、このゲーム生産材料買う以外あまり使わないからのう………強いて言えばこないだオープンさせたカジノぐらいじゃが、特に欲しいものもないでの」
「お爺ちゃんがそれでいいなら別にいいけど………ハーキュリー、カメラを用意して」
「了解しました」
そんな話をしながら彼方は配信の準備を始める、撮影用のドローンを呼び出す。
「皆さん今晩は、彼方です!」
「やっほー、ノエルだよー! みんな元気?」
「皆様ご機嫌いかがですか? 鈴鹿でございます」
いつものように彼方達三人の挨拶から配信が始まる。
「土曜日の大規模戦闘凄かったね」
「日曜日は配信できなくてごめんねー」
「早速のスパチャありがとうございます」
まずは視聴者達の雑談で場を盛り上げる彼方達。
「それじゃあ、今日アンロックした研究プロジェクトを紹介するね。まずは研究時間を短縮してくれる研究管理AI。やっとプロジェクト完了だよ」
「研究時間を短縮するプロジェクト、値段が高かったり、異様に時間がかかるよね」
「まあ、簡単にアンロックしましたらバランス崩れそうですし」
アンロックした研究プロジェクトの感想を述べながら配信を進めていく彼方達。
「次はモジュール組立工学。惑星開拓の建物の建築スピードが上がるよ」
「以前アンロックしたやつと重複するのがいいね!」
「カンパニー関連の研究プロジェクトは以上です。続きまして、惑星ドーマンの開拓やアンロックした研究プロジェクトのご報告です」
鈴鹿が一礼しながら惑星開拓の状況解説に移る。
「まずは日曜日と今日のお昼の間お爺ちゃんが金策に走ってくれたお陰で、ソーラー発電所を建築、そして惑星開拓の研究プロジェクト! 【巨大宇宙鏡】をアンロックできました! お爺ちゃんありがとう!!」
彼方がそう紹介して、ドローンカメラを操作して惑星ドーマンの衛星軌道上に浮かぶ数キロ四方の巨大な円形の鏡を撮影する。
「効果は効率よく太陽や恒星の光を反射させて地上のソーラー発電所へと集約することで通常の三倍近い発電効率になります」
「惑星開拓だからこそ出来る巨大建造物だね。あと副次効果で惑星の気温を気持ち上昇させるよ」
配信の視聴者コメント欄では宇宙空間に浮かぶ巨大な鏡に興奮したり、源三郎グッジョブや孫活生活など揶揄するコメントが書き込まれていく。
「それから、極寒菌と呼ばれる寒い環境でも生きて繁殖する菌類をアンロック、惑星に散布されました」
「これ単体だと今は意味ないけど、今後惑星に生命を芽吹かせる土台になるんだよ」
「この菌類の開発と散布だけで1700万クレジットもかかるんだよね」
「惑星開拓の初期は本当に金がかかるのう」
ノエルが極寒菌の値段を視聴者に伝えると、高いと言うコメントが大量に書き込まれていく。
「惑星開拓の状況報告は以上です。皆さんは以前エイリアンのミイラから手に入れた惑星の座標データの話を覚えてますか?」
彼方が視聴者に問いかけると、視聴者から覚えてると合いの手のコメントが書き込まれていく。
「はい、前回その惑星を探索して、謎のロボットに全滅しましたが、ウォーモンガーカンパニーさんから装備設計図提供していただき、今回リベンジします! ウォーモンガーカンパニーさん、ありがとう! 頑張るからねー!!」
彼方が今日の配信目標を宣言して、ドローンカメラに向かってウォーモンガーカンパニーにお礼を述べると、テンションが振りきれたアドンだと思われる視聴者のコメントが連続投稿され、AIに荒らしかBOTと誤認されたのか書き込み制限されていた。
「あ、あははは………気持ちは嬉しいけど、落ち着いてね。書き込みは出来なくても視聴はできるはずだから」
「それでは辺境の惑星ユトーへ向かいましょう」
AI側からの書き込み制限告知を見て苦笑する彼方。
何事もなかったように装って目的地である惑星ユトーへとワープを繰り返す。
「取りあえず目的地までは装甲車と多脚戦車で向かいます」
源三郎達は廃墟と化した宇宙船や戦闘機の残骸の間を通り抜けて、以前ロボットが現れたクレーターに向かう。
「レーダーに反応きたよ!!」
先頭をヴァルムのローラーダッシュで走行していたノエルが叫ぶと同時に砂を巻き上げて地面からロボットが現れる。
「応戦じゃ!」
装甲車を停めて源三郎達がが下車すると、彼方と鈴鹿は装甲車を盾にして遮蔽をとりながらテック4アサルトライフル【フォーシーズ】で応戦する。
「凄い! ロボットのバリア削っていくよ!」
前回は相手のバリアが固くてなす術もなく全滅した彼方達。
ウォーモンガーカンパニーから譲られたテック4装備のお陰で対等に戦えてる。
ノエルが操縦するヴァルムは蛇行しながら攻撃を回避して機関砲を撃ち込み、ロボット達を吹き飛ばしていく。
「参る!」
源三郎はソードモードで単騎でロボット達に突っ込む。
ロボット達は突出する源三郎に攻撃を集中砲火させるが………
「うわぁ………お爺ちゃん凄すぎ」
「RTPが500もあると自分に当たるレーザーだけ弾き返せるのでしょうか?」
彼方と鈴鹿が言うように、源三郎は自分に当たるレーザーだけをガンブレードのパリィリフレクトで反射させて、逆にロボットに当てていく。
配信の視聴者達もあり得ねーとか、映画かよとか、RTP500お爺ちゃん無双!とコメントが盛り上がっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます