第74話 お爺ちゃん、二回目の大規模戦闘に参加する。その1


「皆さん今晩は~! 配信後半ですよー!!」


 源三郎達は午前の配信を終えて一旦休憩を挟み、夕食後に配信を再開する。


「大規模戦闘が開始されるまではカジノで遊んでいきたいと思います!」

「せっかくなのでエイリアンシューターで遊びまーす!」


 彼方が大規模戦闘参加時間までカジノで過ごすことを配信視聴者に伝え、ノエルがバベルステーションのカジノにしかないエイリアンシューターと言うアクティビティを紹介する。


「1プレイは10コインと100コイン。違いは100コインの方は倍率レートが違うのとアイテムが貰える場合もあるんだって」

「せっかくじゃし、100コインの方で遊んでみるかのう


 ノエルがエイリアンシューターの参加費と報酬を配信視聴者に伝えて、100コインの方でプレイする。


「ふむ、例えるならVRでインベーダーゲームをやるようなものか」


 エイリアンシューターゲームに参加すると、源三郎達は各自タレットに乗り込み、ヴァーチャルで再現された宇宙空間に出撃する。


「私たちは左右に動けるけど他のプレイヤーのタレットを通り抜けることはできないっぽい」

「敵の攻撃を避けようとしたり、コインを拾おうとしてお互いにぶつかる可能性がありますね」

「相手の邪魔をしたり、協力してゲームをする感じかな」


 彼方達は自分が搭乗するタレットを操縦して左右に移動するが、別プレイヤーのタレットとぶつかると、それより先には進めない。


「そろそろゲームが始まるようじゃぞ」

「取りあえず今回はぶつかっても怒らないで行こう」


 宇宙空間に巨大な数字が現れてカウントダウンが始まる。

 カウントが0になると、対面にエイリアンの宇宙船が現れて左右に動きながら攻撃を仕掛けてくる。


「えいっ! えいっ! 攻撃は連射性の低い単発攻撃だけど、エイリアンからゲットできるアイテムでマシンガンやツインバレル、ショットガンと射撃方法が変わるみたい」

「お互いにぶつかるかと思ったけど、ある程度ゾーン決めたら問題無さそうかな?」

「コインを貪欲に求めない限りは他のプレイヤーは問題にならなさそうですね」

「ぬう………エイリアンの攻撃を受けると、拾ったコインが半分になって一定時間動けないのか」


 実際にゲームが始まると源三郎達は特に支障なく遊べている。

 彼方はエイリアンからドロップしたアイテムで攻撃方法を変えてスコアを伸ばし、ノエルと鈴鹿はお互いにテリトリーエリアを決めて、そのエリアでコインを稼ぐ。

 源三郎はわざと攻撃を食らうと、これまで貯めていたコインが半減して、一定時間タレット。操作を受け付けなくなる。


「む? 金色のアダムスキー型円盤じゃ!」

「あれ絶対ボーナスエイリアンだよ!」

「うわ、一発でおちないっ!?」

「すみません、ちょっと端によって貰えませんか?」


 ゲーム中盤になると、金色のUFOが現れて、ボーナスエイリアンだと認識した源三郎達が優先的に狙おうとしてお互いにぶつかったりする。


「よっしゃ! 倒したぞ!!」

「コインは貰った~っ!」

「あ、こりゃ!!」


 ボーナスエイリアンのUFOを源三郎が撃墜して喜んでいると、落ちてくるコインを彼方が奪う。


 源三郎達も配信視聴者も大いに盛り上がり、気がつけば配信をみたのか、たまたま寄ったのか、カジノ内にちらほらと源三郎達以外のプレイヤーがそれぞれのテーブルで遊んでいた。


「そろそろ集合時間だね」

「ふむ、つい夢中になってしまったのう」

「私のテーブルも今終わったし、ちょうどいいタイミング」


 源三郎達はカジノでのアクティビティに熱中していたが、セットしたアラームでもなったのか、彼方がプレイをやめて時間だよと仲間達に知らせる。


「あれ? すずちんは?」

「そういえばどこ行った?」

「なんか、あそこのテーブル人集りができてるのう?」


 ウォーモンガーカンパニーとの待ち合わせ場所に向かおうとして、鈴鹿の姿がないことに気づいた一行。

 源三郎が沢山のプレイヤーが1つのテーブルに集まって盛り上がっていることに気づき、覗き込む。


「………すずちん、なにやってるの?」

「あら、皆さまどうしました?」

「それはこっちの台詞だよ」


 人集りができていたのは麻雀卓で鈴鹿と3人のプレイヤーが卓を囲んでいたが………鈴鹿以外のプレイヤーは全員パンツ一丁だった。


「何でこの人達はパンツ一丁なんじゃ?」

「負けが混んで装備や衣服まで賭けまして………」

「うわぁ………」


 鈴鹿が言うにはメンツが足りないと言われて誘われて、遊んでいるうちにこうなったと言う。

 ただ、カメラ画面を分割して鈴鹿のプレイを見ていた配信視聴者達は鈴鹿のプレイに対してえげつないとか、牌運おかしいとコメントしている。


「取りあえずそろそろ集合時間だから」

「もうそんな時間でしたか? あ、それロンでございます! えーっと、全部で18000点ですね」


 彼方が腕時計を指先で叩くジェスチャーをして待ち合わせ時間が迫っていることを知らせると、鈴鹿は待ち合わせ時間を思いだし、慌てながらも他のプレイヤーが捨てた牌を見てロンと叫び役を数える。


 卓に参加していた他のプレイヤー達は配点を聞いた瞬間、燃え尽きたように真っ白になったり、ギルドチャットかフレンドにお金を貸してくれと頼み込んだり、泣き叫びながら黒服に連れていかれたりする。


「とても楽しい時を過ごさせていただきました。また機会がございましたらお誘いくださいませ」


 鈴鹿は席をたち、深々と頭を下げてお辞儀をして礼を申すと彼方達と合流すると、ウォーモンガーカンパニーとの待ち合わせ場所に向かう。


「おー、源三郎さんおひさー!」

「コロッケそばさんお久しぶりです」


 源三郎達がソロモン自由同盟にある惑星ランドに着陸すると、先に来ていたウォーモンガーカンパニーメンバーのコロッケそばが源三郎に挨拶する。


「源三郎さん、今日はよろしく」

「メタボーマンさん、宜しくお願いします」


 今北産業のメンバーは全員集まっており、メタボーマンが源三郎に挨拶する。


「彼方さんだ! 配信見てます!!」

「ありがとうございます。これからも応援宜しくお願いしますね」


 今北産業のYTが彼方に挨拶して握手してはしゃいでいる。


「うちの他のメンバーは今向かって来てるんで、自己紹介はそのときに纏めてしますね。すいませんね、時間にルーズなやつばっかで」

「普段はお前が一番ルーズなんだけどな」


 ウォーモンガーカンパニーマスターのアドンがペコペコ謝りながら彼方にまだメンバーが揃っていないことを謝罪すると、ボソッとペロペロが呟く。


「いえいえ、全然気にしていませんから」

「あ、朝と夕方の配信も見ていました!」


 アドンは憧れの彼方と話せることに舞い上がっているのか、ペロペロの呟きには気づかずフリージアカンパニーの配信を見ていたことをアピールする。


 そんな風に雑談で時間を潰していると、ウォーモンガーカンパニー側の残りのメンバーと思われる宇宙船が次々と着陸していく。


「全員揃ったみたいなんで改めて自己紹介しますね。フリージアカンパニーマスターの彼方でーす!」

「ノエルです!」

「鈴鹿と申します。本日は宜しくお願いします」

「源三郎じゃ」


 まずはフリージアカンパニーから自己紹介する。


「ウォーモンガーカンパニーマスターのアドンですっ!」


 スキンヘッドの黒人ゴリマッチョな外見のアドンが自己紹介を始める。


「サブマスター的ポジションのペロペロだ。改めて宜しく」


 長髪オールバックの目付きの鋭いロングコート姿のペロペロが挨拶する。


「どうも、コロッケそばです」


 温和な糸目メガネの男性姿のコロッケそばがにこにこ笑いながら挨拶をする。


「俺はたかやん、源三郎さん以外とは初めまして、よくアドンから配信の話を聞いてます」

「お、たかやんさんもガチャのアバター衣装当てたんですか?」

「かなり散財しましたよ」


 銀のロングヘアーに色白の肌の乙女ゲーに出てくるようなイケメン顔に、源三郎と同じゴシックスーツ姿のたかやんが自己紹介する。


 源三郎は自分と同じアバター衣装姿のたかやんに声をかけ、たかやんは苦笑しながらアバター衣装当てるのにかなり使ったと話す。


「今度はこっちだな。今北産業のメタボーマンだ」


 ウォーモンガーカンパニーメンバーの自己紹介が終わると、今北産業カンパニーメンバーの名前の通り中年太りしたおっさん姿のメタボーマンが自己紹介を始める。


「私はYTよろしくね!」


 赤毛のショートカット、褐色肌、首からゴーグルをぶら下げてるメカニックスーツ姿の少女が挨拶をする。


「次はワタシかしらん? ハプシエルよん、ヨ・ロ・シ・クねんっ!」


 ゴリマッチョのドラァククイーン姿のハプシエルがくねくねとシナを作りながら自己紹介して、最後にウィンクする。


「みなさん初めましてですね。今北産業のカンパニーマスターをやらせて貰っているオミナです」


 最後に自己紹介したのは今北産業のカンパニーマスターのオミナ。

 スモーク入りで顔が見えないフルフェイスにだぼだほの宇宙服、声も中性的でどちらともとれる声と性別のわからないプレイヤーだった。

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