第73話 お爺ちゃん、カジノに行く


「おっはよーございまーす! 彼方です!」

「皆おきてる? ノエルだよ」

「皆様おはようございます。鈴鹿でございます」


 翌日土曜日、昼前から源三郎達はギャラクシースターオンラインにログインしており、配信を開始している。


「昨日は配信休んでごめんなさい。実は前回の大規模戦闘にお誘い頂いたウォーモンガーカンパニーさんから今度は12人までの参加制限のある地上戦闘タイプの大規模戦闘にお誘い頂いて、それのミーティングや装備の更新していました」


 彼方は最初に金曜日の配信を休んだことをお詫びする。


「うん、今晩21時に大規模戦闘に参加するし、配信もするから見てね!」


 ウォーモンガーカンパニーに大規模戦闘に誘われたことを知らせると視聴者からいつ配信するのか質問コメントが来ていて、彼方が配信予定時間を伝える。


「さて、朝の配信ではカンパニーや惑星開拓で色々変わった事をお知らせするよ」

「まずはアンロックされた研究プロジェクト! ナノ鋼材を開発して宇宙船などのアーマーヒットポイントがアップ! これで墜ちにくくなったね!」


 彼方がカンパニーのアンロックされた研究プロジェクトの説明から始め、1つ目をノエルが説明する。


「次にジェネレーターの改良、これによって宇宙船のバリアヒットポイントと、副次効果でジェネレーター発電の発電量が上昇しました。こちらはレベル制で更に投資することで効率があがっていきます」

「副次効果がありがたいのう」

「昨日惑星開拓であれこれ施設作って電力に悩んだもんねえ」


 次に鈴鹿がジェネレーター改良と言う研究プロジェクトの内容を説明し、源三郎と彼方が副次効果で電力アップがどれだけ嬉しいか語り合う。


「カンパニーの研究プロジェクトはここまでで、次は惑星開拓で追加した施設の報告です!」

「まずは各種装備の製造工場を作りました。建築時間短縮のために皆様のスパチャを使わせて貰いましたことをここでお礼申し上げます」

「待って! ただの報告とお礼だからっ! スパチャのおかわり催促じゃないから待って~!!」


 彼方達3人がスパチャで貰ったお金で時間短縮系の課金アイテムを購入したことを報告すると、なぜか視聴者達が次々とスパチャを開始して彼方達が慌てる。


 彼方達は必死にスパチャをやめるように呼び掛けるが、その顔が見たかった!とか、彼方ちゃん達の動揺する姿でご飯3杯いけます!など彼方達の慌てたり困ったりするリアクションを見たいがためにスパチャを繰り返す視聴者達がいた。


「とにかく、スパチャは皆さんの私生活に支障がない程度でお願いします。改めて報告を再開するけど、原子力発電所と採掘プラントを作ったよ」

「建物には週ごとに維持費がかかって、支払えないと利用停止になっちゃうから気をつけてね」

「送電グリッドで余剰電力をお金に変える研究プロジェクトアンロックしてなかったら維持費が大変なことになっていました」

「視聴者さん達でギャラクシースターオンラインをプレイしていて、惑星開拓やる予定なら発電のエネルギーと維持費には気を配るとよいと思うぞ」


 惑星開拓の説明を再開した彼方達は自分達の経験を元に発電エネルギーと建物の維持費について語る。


「惑星開拓については今のところ以上です。それから、アノマリー探索ミッションで見つけたショゴスを皆さん覚えてますか?」

「覚えてない人は概要欄に発見した時の切り抜きURL置いてるから確認してね」


 彼方は惑星開拓の説明を終えると、以前アノマリー探索ミッションで発見し、時間をかけて調査することになった宇宙空間を漂うアメーバの【ショゴス】の話題をだし、ノエルは用意していた切り抜き動画のURLを張り付ける。


「更なる調査で最低限のコミュニケーションが出来る発光パターンを解析して、フリージアカンパニーメンバーはこちらから攻撃しない限り襲われないこと、ショゴスの細胞を利用してアーマーリジェネを開発しました」

「今はレベルが低いから焼け石に水以下だけど、レベルを上げたら強いかも?」

「ただ、レベルをあげるには………レベル×1000万クレジットかかるんですよね」


 彼方達がショゴスの研究結果内容を報告すると、アーマーリジェネのレベル上げの値段に視聴者達が高いと反応する。


「フリージアカンパニーからのお知らせは次でおしまい」

「バベルステーション施設への合計投資額がついに5000万到達して、カジノが解禁されましたっ!!」


 カジノ解禁の告知をすると、配信は今日一番の盛り上りを見せる。


「と言うわけで早速見に行きたいと思いまーす!!」


 彼方がそう言うと、フリージアカンパニーのメンバー全員がバベルステーションに新たに増設されたカジノエリアへと向かう。


「うわっ、派手!!」


 源三郎達がカジノエリアに脚を踏み入れると、高い天井と派手なネオンにホログラフィック、あちらこちらに様々な国のモニュメントが目にはいる。


「カジノのスタッフは男女共にシャツとベストに蝶ネクタイかあ………」

「うーん、バニーガールはいませんね」


 NPCのカジノスタッフは全員シャツとベストスタイルで動き回っている。

 鈴鹿が周囲を見回してバニーガールがいないことにがっかりしていた。


「まずは入り口中央に換金所があるね」

「右のスタッフがお金をコインに、左のスタッフがコインを商品に変える役割じゃの」

「残念ながらコインからお金には換金できないっぽい」


 まずは中央の換金所にアクセスして、カジノのシステムを確認する源三郎達。


「コインのレートは100クレジットでコインが1枚か………」

「うわっ、交換できるアイテムの中にレアアイテムや一部課金アイテムがあるよ!!」


 源三郎がコインレートを調べていると、交換所を覗いていた彼方達がはしゃぎ出す。


「アダマンティン鉱床の座標データに、課金アイテムより短いが各種時間短縮アイテムに、大規模戦闘のトリガーアイテムもあるのう!」

「このカジノ限定のアバター衣装や装備スキンに、宇宙船に貼り付けられるデカールもあるね」

「ハウジングルームでカジノゲームがプレイできる家具も置いてますね」

「一番気になるのは1000万コインで交換できる採掘船の設計図だね。どんな性能なのかは交換した人にしかわからないとしか説明文がない」


 源三郎達は交換所で手に入れられるアイテムの紹介をして行く。


「え? ステーションによって交換アイテム違うの?」


 視聴者の1人が自分がいるステーションのカジノの交換所とアイテムが違うというコメントが書きこまれて、視聴者達がざわつく。


「宇宙船の設計図がない代わりに、アーマメントや宇宙船装備の設計図、惑星開拓権が交換できるの?」

「大規模戦闘のトリガーアイテムも、名前の違うトリガーアイテムだった?」

「こりゃ他の星系のカジノとか気になるのう」

「取りあえず交換アイテムの話はここまでで、プレイスポットを見ていこうか」


 彼方は交換アイテムの話を切り上げて、カジノで実際に遊べるアクティビティを確認する。


「カジノの定番とも言えるバカラやブラックジャック、テキサスポーカーにルーレットやスロットがあるの」

「ディーラー以外に複数人の参加者がいるゲームでは他にプレイヤーがいない場合はNPCが参加してくれるんだって」


 源三郎達はカジノ内を見て回って、どんなアクティビティがあるか確認していく。


「ほう、カジノウォーにドラゴンタイガーとかもあるのか。ダイスゲームにキノも」

「こっちにはおいちょかぶやチンチロリン、丁半、麻雀にパチンコがありますね」

「ホログラフィックによる競馬レースやゲームセンターのメダルゲームもあるよ」

「古今東西様々なギャンブルゲームを集めた感じだね」


 カジノには様々な種類のアクティビティがあり、テーブルに座るとホログラムのディーラーがゲームの説明をしてくれる。


「ギャラクシースターオンラインオリジナルのカジノアクティビティとしてギャラクシーシューターというのがあるね」

「最大4人で左右に移動するタレットを操作してエイリアンを迎撃して、エイリアンを倒すとコインが落ちてくるから、それを攻撃を避けたり、他のプレイヤーより早くゲットするゲームかあ」

「え? アクティビティもカジノでちがうの!?」


 源三郎達はゲームオリジナルのアクティビティを紹介すると、先ほどの視聴者がオリジナルアクティビティも違うとコメントに書き込む。


「そっちは巨大迷路の中をエイリアンから逃げながら迷路の各地にあるコインを拾ってゴールを目指すゲームなんだ」

「難易度が高いほどエイリアンの数が増えて、獲得コインとゴール倍率が違うのか」


 視聴者達とそんな話をしながら源三郎達は実際にカジノで遊び、カジノゲームプレイ内容を配信して午前の配信を終えた。 

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