第72話 お爺ちゃん、次の大規模戦闘の準備をする


「しかし、たくさん貰ったのう」


 土曜日の大規模戦闘に備えてウォーモンガーカンパニーとのミーティングで貰ったテック4設計図の束を見ながら源三郎は呟く。


「大規模戦闘か、バビロン自由同盟エリアでしか受けられないTR3~4のデューティミッションでしかレアドロップしないんだっけ?」


 設計図を貰った時に彼方はどこで設計図を手に入れたか聞くと、ウォーモンガーカンパニーの代表であるアドンは隠すことなく教えてくれた。


「TR3以降から現段階ではチーム必須なバランスらしいから、まだそんなに出回っていないのかもしれないね」

「それに製造には惑星に建築できる工場が必要なのに説明文がないから、人によっては作れないのはバグか未実施と勘違いしてる可能性もありそうてすね」


 ノエルはゲームバランスについて話し、鈴鹿はテック4の設計図に製造には惑星工場が必要で得る情報がのっていないことを指摘する。


「取りあえず、ご厚意に甘えて作っていくかのう」

「そうだね、スパチャから時間短縮系の課金アイテム使って建てていこう」


 源三郎達は設計図を手分けして覚えていくと、惑星ドーマンに時短アイテムを使いながら製造工場を建てていく。


「うーん、電力が足りなくなってきた」

「送電グリッドで維持費を賄っていましたけど、工場を建てて余剰電力がなくなりましたね」

「ジェネレーター発電所は一つしか建てれないから、他の発電施設を作らないと」

「1000万クレジットで作れる原子力発電所はどうじゃ? そこそこの発電量あるぞ」


 テック4装備に必要な工場施設を作っていくと電力が足りなくなり、建築物に関する維持費も上がっていく。


 源三郎達は現段階で製造できる建築物を見てあれこれ話し合いながら惑星開拓を進めていく。


「何とかこれで電力も賄えるし、送電グリッドで維持費も抑えられるね」

「マルチタスクスキルを覚えないとそろそろ管理者枠が足りなくなってきたのう」

「他にも気になる施設はあるけど、まずはウォーモンガーカンパニーから貰った設計図の装備を作ろうか」


 ある程度必要な建築施設を整えると、源三郎達は装備製作に取りかかる。


「へー、テック4から防具は宇宙服からコンバットスーツに変わるんだ」

「その分必要素材も多くなるのう………事前に採掘して溜め込んで正解じゃったわ」


 装備の生産に着手すると、彼方が言うように人間装備のテック4防具の外見が宇宙服からメタルヒーローや戦隊ヒーローのようなコンバットスーツに変わる。


 製造に要求される材料の量も倍近く増えて、源三郎がこれまで掘ってきた鉱石の在庫がなければ買い出しやら採掘やらで完成に時間がかかっていたかもしれない。


「今後のこと考えると採掘プラントも建てないとダメかも?」

「鉱床もありますし、今なら電力も支出も余裕ありますし建てときます?」

「そうだね、こっちは急ぎじゃないから時短使わずに建てるね」


 ノエルと鈴鹿は先のことを考えて採掘プラントを建てることを提案すると、彼方は課金アイテムを使わずに採掘プラントを建てる。


「防具が完成したな。連邦、自由同盟両軍で正式採用されているコンバットスーツのトルーパーじゃ」


 源三郎は生産を完了させて出来上がったコンバットスーツを着用して見る。

 コンバットスーツの見た目は白で統一された身体にフィットするような細い全身鎧のデザインだった。


「軍に採用されてる設定だけあって防御力は全体的に強いのう。特に光学兵器に対して高い防御力があるから、あのロボットとも戦えそうじゃ」

「うーん、私はヘルメットのデザインが気に入らないから、頭防具表示消すね」

「私も~」

「私も少々ゴツい気がしますので」


 彼方達も同じ防具を着用するが、ヘルメットのデザインが気に入らないのか、源三郎以外は頭防具表示を消す。


「このゴツさがいいんじゃがなあ………ん? 武器も完成したようじゃ………おおう!?」


 次に人間武器の製造工場で作っていた武器が完成したシステムメッセージが源三郎に来たので確認しにいくと、工場が七色に光っている。


「何事じゃ? バグか?」

「ガチャてレアが当たった時の演出みたいだね」


 謎の発光現象に源三郎が動揺していると、録画用のカメラを起動して撮影していた彼方がガチャの演出みたいだと口にする。


「彼方のお爺さん、アダマンティン合金使っていませんでしたか?」

「なんかスキルがついたらいいなと使ったが………そういう演出かのう?」

「取りあえず確認したらわかるんじゃない?」


 遠巻きに七色に光る製造工場を見ていた源三郎達。

 製造過程を見ていた鈴鹿が源三郎に声をかけると、源三郎は膝を叩いて自分がアダマンティン合金を使っていたことを思い出し、ノエルが確認を促す。


「これは………すごいの………」


 源三郎が武器の製造工場から取り出したのはハンドガンのようなグリップとトリガーのついた剣だった。


「お爺ちゃん、なにそれ?」

「テック4から作れるようになるガンブレードじゃ。ソードモードで斬って、ガンモードでレーザーをうちだすことが出来るぞ」


 彼方は見たことのない武器の形に興味津々と言った感じで源三郎に武器の正体を聞くと、源三郎は片手で剣を握って素振りしたり、剣先からレーザーをうちだしたりする。


「七色に輝いてましたけど、何か付属効果つきました?」

「うむ、ソードモード限定でリフレクトパリィと言って一定の確率で相手の射撃攻撃を打ち返せるぞ」

「強っ!?」


 鈴鹿が付属効果について源三郎に問うと、源三郎はソードモードに付属した効果を説明する。


「ん? ソードモード限定でってことは、他にもあるの?」

「うむ、ガンモードではラピッドファイアがついてレーザーの連射性が上がっておる。あと両方のモードにバリア半減がついたレジェンド等級の武器になったな」

「流石にバリア無効までついたらチートだもんねえ………」


 3つの付属効果がついたガンブレードを見ていた彼方達3人はため息を漏らす。


「お主らの武器はどうなんじゃ?」

「こっちは勿体無くてアダマンティン合金使わなかったからノーマルだね」

「別に使ってもよかったんじゃがなあ………」


 彼方達の武器も出来上がったのかシステムメッセージで連絡が来て取りに行く。


「3人はアサルトライフルか」

「うん、テック4アサルトライフル【フォーシーズ】、レーザーと実弾と切り替えが出来るアサルトライフルだよ」

「結晶生命体みたいなレーザー反射持ってる敵が出てもこれなら安心!」

「他にも色々ありましたが、使いなれた武器が一番です」


 彼方達3人が持つのは銃口部分とグリップ部分がゲーミングパソコンのような光を放つアサルトライフル。

 射撃モードで光が代わり、今どの射撃モードかわかるようになっている。


「あとは設置兵器じゃが………どうする?」

「ウォーモンガーさんは代金払うと言ってますけど………」

「一度設置したら回収できない。壊れたらそれまでなのがネックだねえ」


 大規模戦闘に備えて設置型の兵器も作ろうとしたが、ゲーム仕様の関係で使いきりタイプだったことが分かり、源三郎達は作るか悩む。


「地雷やタレット、それからバリアウォールだけ幾つか作っておくか?」

「そうだね、大型の設置兵器はコスト的にね………」

「大型設置兵器は課金使わなかったら完成まで6時間前後かかるし、1個か2個ぐらいじゃ焼け石に水かも?」


 取りあえず地雷やタレット、バリアウォールを幾つか製造予約をいれていく。


「あとは車両兵器じゃが………完成するのが大規模戦闘開始時間前か………」

「私達の武器防具製造でかなり材料使いましたから、テック4の車両兵器作れるの一台くらいですね」

「カンパニーウォレットの残高も底が尽きそう」

「折角だからテック4兵器を作りたいけど、このインセクターやガンドッグは一人用なんだよねえ………」


 最後に源三郎達は車両兵器の製造に取りかかるが、材料、資金、製造時間の関係で1台しか作れず、どれを作るかで悩む。


 インセクターは戦車のような車体本体に昆虫のような脚を複数つけた多脚戦車で不正地踏破性能に優れている。

 ガンドッグは戦車のような車体本体に鳥足がついた車両兵器でローラーダッシュによる機動性能の高さを誇る。


「それか今後の惑星探索も視野にいれて新しい装甲車か戦車もいいよね」

「タイヤ式とホバー式でまた悩むよね」


 どの兵器を作るかで源三郎達は話し合い、最終的にインセクターを作ることに決まった。

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