第71話 お爺ちゃん、ウォーモンガーカンパニーとミーティングする
翌日の金曜日、源三郎は彼方達が帰ってくるまで日課となった金策マラソンで資金を稼ぎ時間を潰す。
「もう少しでカジノが解禁されそうじゃのう」
合間合間に源三郎もバベルステーションに投資して新商品をアンロックしていき、あと数回で総額5000万クレジットに到達し、カジノがアンロックされる。
「お爺ちゃん、ログインしたよ」
もう一回金策してカジノをアンロックしようかと思っていたら彼方達がログインしてカンパニーチャット経由で連絡がくる。
「明日のお楽しみにとっておくか」
源三郎は金策マラソンを止めて、カンパニーオフィスへと向かう。
「彼方のお爺さん、こんばんは」
「やほー!」
オフィスルームには彼方達がログインして待機しており、源三郎が顔を見せると挨拶してくる。
「お爺ちゃんも来たし、ウォーモンガーカンパニーの皆さんが来るまで今後の配信の話をしようか」
彼方はハウジング家具のホワイトボードを設置してミーティングを始める。
「今日は配信をお休みして装備を整えるんだっけ?」
「うん、土曜日の地上戦闘タイプの大規模戦闘に備えて、あと昨日のストーリークエストのリベンジも兼ねてね」
「車両は強化できますけど、私達の地上戦闘装備はステーションで購入できる最高品ですよ?」
最初の議題としてカンパニーの戦力増強の話から始まるが、鈴鹿が言うように車両はともかく地上戦闘装備は今の見せ売り装備だと頭打ちだった。
「地上戦闘系の研究プロジェクトも次のレベルにあげるのに時間かかるよ」
ノエルが言うようにカンパニー投資でアンロックできる地上戦闘系の研究もあらかたアンロックしており、時間短縮の課金アイテムでも使わない限りレベルもなかなかあげられない状態である。
「それに関してはウォーモンガーカンパニーのアドンさんが打開策持ってくるってメールで言ってたよ。内容は見てのお楽しみって教えてくれなかったけど」
「アドンさんが?」
「うん」
地上戦闘装備に関してはウォーモンガーカンパニーのカンパニーマスターであり、彼方のファンであるアドンがなにか打開策を持ってくると彼方は言う。
「ふむ………それならアドンさんの案を聞いてから考えるか」
「地上車両もアドンさんと話し合ってから作った方がいいかな?」
地上戦闘装備の強化はウォーモンガーカンパニーのカンパニーマスターであるアドンの話を聞くまで一旦保留となった。
「わしから報告よいかの? あと数百万投資したらバベルステーションにカジノがアンロックされるぞい」
「いつのまにっ!?」
「カジノがアンロックされたら土曜日の配信で紹介しようか」
「どんな遊びができるのでしょうね?」
源三郎が手を上げて彼方達にもうすぐカジノが開設されると報告すると、配信で紹介する話になる。
「あ、そうそうお爺ちゃん。日曜日は私達学校のボランティア活動で教会で炊き出しするから1日ログインできないよ」
「ん、わかった」
そこからは彼方の学校での過ごし方やリアルの近状などを聞いて源三郎はほっこりしている。
「あ、ウォーモンガーカンパニーの人達きたみたい」
個人メッセージが着たのか、彼方は急に立ち上がると一旦外に出てウォーモンガーカンパニーの人達を迎えに行く。
「どうも、お邪魔します」
「お、おじゃましふひゅ………ふひひ」
ウォーモンガーカンパニーのペロペロさんと挙動不審で少々不審者気味の笑みを浮かべるアドンの二人がフリージアカンパニールームへやってくる。
「土曜日の大規模戦闘誘ってくれてありがとうね。でも、12人って人数制限あるけど私達本当に参加してもよかったの?」
「もっもろち───もぶっ!?」
「言わせねえよ」
ウォーモンガーカンパニーの二人が着席したのを見て彼方はまず誘ってくれたことにお礼を述べ、本当に参加していいのか聞くと、緊張したアドンが失言をこぼしかけて、ペロペロがアドンの口をふさぐ。
「こっちは色々あって当日のアクティブメンバーが4人しかいなくてな。野良だと希望者多数で色々トラブりそうだし、フリージアカンパニーなら知らない仲だし、4人で活動しているみたいだからちょうどいい。最悪源三郎さんさえ来てくれたら文句ない」
「お爺ちゃんがいれば?」
「トッププロゲーマーに近いRTP値とリアルでの戦闘経験で動ける人だぞ。十二分に戦力になるよ」
ペロペロはフリージアカンパニーを誘った理由を述べ、源三郎だけでも来てほしいと頼んでくる。
「ん? あと4人足りないが、8人でやるのか?」
「あ、残りは今北産業と言うカンパニーに声かけています」
話を聞いていた源三郎がウォーモンガーとフリージア合わせても8人しかいないことを指摘すると、アドンは今北産業の名前を出す。
「ああ、メタボーマンさんとこか」
「知り合いで?」
「わし個人がメタボーマンさんとフレンドで、お世話になっとる」
「そっちとも知り合いなら問題ないかな?」
源三郎とメタボーマンが知り合いだとわかるとペロペロはほっとした顔になる。
「私個人としては彼方さんが来てくれると嬉しいです!」
「お前ちょっと黙ってろ」
アドンは口を塞ぐペロペロの手をはねのけたかと思うと、彼方に向かって前のめりになるように机にのって、彼方の参加を希望してくる。
ペロペロは頭痛を押さえるような仕草をしながらため息をついてアドンを引っ張って椅子に座らせる。
「頼られるのは嬉しいが、昨日はなす術なくやられたからのう」
「そりゃ、あれはテック4の装備か、エイリアンテクノロジーアイテムでもなきゃ無理だわ」
源三郎は昨日の敗戦を思い出して苦虫を噛んだ顔をしていると、ペロペロは苦笑しながら呟く。
「ん? なにか知ってるのか?」
「あー、俺らそのクエスト一応クリアしてあのロボットがなんなのか知ってる。ネタバレ回避して伝えるなら、あのロボットと互角に戦うなら、マスターの見立てでテック4装備と戦闘系のスキル5レベルはいる」
源三郎がペロペロに聞き返すと、ペロペロはネタバレしないように気を付けながらアドバイスをする。
「あ、配信見てくれたんだ!」
「はいっ! 毎回見て布教していますっ!!」
昨日のストーリークエストの話題になると彼方が笑顔で配信視聴のお礼を言うと、アドンはその場で直立不動の立って鼻息荒く最敬礼する。
「普段はこんなんだけど、戦闘の指揮に関しては問題ないから」
「そこは前回の大規模戦闘で見ていますから」
ペロペロはため息をつきながら親指でアドンを指差す。
「でだ、明日の大規模戦闘の話なんだけど………おい」
「明日の大規模戦闘ですけど、タワーディフェンスタイプです。ソロモン自由同盟にある惑星ランドの採掘プラント施設を現地動物から守ります」
ペロペロに促されてアドンはブレスレットを弄って複数の画像を表示させる。
画像には大規模戦闘の舞台となる惑星や採掘プラント施設などが写っている。
「我々が守るのはプラント施設の3つのエネルギータワーてす。4、4、4で別れてそれぞれ担当したタワーを守って貰おうかと」
「ふむふむ」
アドンは採掘プラントを空から見下ろした写真を表示してポインターでエネルギータワーの場所とどこに誰を配置するか説明する。
「3ウェーブ凌いだらこちらの勝ちです。拠点防衛兵器や兵器車両を持ち込めるので、持っているなら経費は払うので使って貰えませんか?」
「兵器車両はわかるが、拠点防衛兵器とはなんじゃ?」
アドンが説明を続けると、聞きなれない単語を耳にした源三郎が手を上げて質問する。
「そちらはまだアンロックしてないのですか? 惑星開拓の研究プロジェクト項目で拠点防衛というのがあって、アンロックすると兵器工場と陣地設置型の迎撃兵器など置けます。今後のカンパニー同士の戦争とかで相手の惑星襲ったりできるので、それで対抗します」
「あ、あったあった! 今からアンロックして間に合うから投資しとくね」
源三郎の質問にアドンが答えると、彼方が惑星管理画面を開いて研究プロジェクト一覧を確認してアンロックの手続きを行う。
「よろしければ幾つか設計図お譲りしようと思うんですけど」
「えっと、いくらですか?」
アドンはそう言ってアイテムトレードを彼方に申し込むと、彼方は遠慮がちに値段を聞いてくる。
「スパチャです!」
「ペロペロさん、いいの?」
アドンはキメ顔でスパチャと発言すると、彼方は即座に相談相手をペロペロに切り替える。
「被ってる設計図だし、今後もお付き合いお願いしますって意味で受け取ってくれ」(あと、アドンはあんたにいい顔したいんだ。ファンサービスだと思って、あいつの自尊心満足させてやってくれ)
ペロペロは被ってる設計図だからと言って、彼方への個人チャットで裏事情的な話をばらす。
「そういうことなら………」
ペロペロから裏事情を個人チャットで聞いた彼方は困ったようにアドンを見たあと仕方ないといった感じでトレードを承諾する。
「大規模戦闘の報酬は山分け、双方ほしいものが被ったらオークションかダイスで決めるでどうでしょう?」
「うん、私はそれでいいよ!」
「なるべく揉めないようにお互い気を付けよう」
その後は細かい部分を話し合って、ウォーモンガーカンパニーとの大規模戦闘に関するミーティングは終わった。
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