第70話 お爺ちゃん、機械生命体と戦う


 アノマリー探索ミッションで見つけたエイリアンのミイラから座標データを手に入れ、座標データを元に連邦辺境にある惑星ユトーへとやってきた源三郎達は6輪式装甲車を運転しながら目的地へと向かう。


「何か………大きな戦争があったようじゃな」

「うん………」


 目的地へと進んでいると、戦闘機や宇宙船と思われる残骸でできた山を見つける。

 永い年月で風化しているが、それでもレーザーなど高熱量で融解した装甲の残骸から戦闘があったと予測できた。


「これはまた………」

「クレーターに溶けた建物の残骸とかが混じってるね………」


 クエストマーカーの終着点は巨大なクレーターがあった。

 彼方が言うようにクレーターのあちこちには建物の残骸があり、高熱量を伴う爆発兵器が使われたと思われる痕跡があった。


「彼方のお爺さん! レーダーに敵対反応!!」

「何処からじゃ!」

「ええっと………地下!?」


 装甲車の車載カメラでクレーターの様子を伺っていたら、レーダーを担当していた鈴鹿のが敵の存在を知らせてくる。

 源三郎が敵の居場所を聞くと同時に砂を巻き上げて地面に隠れていた敵が姿を表す。


「ロボット!?」

「きゃっ!? いきなり攻撃してきた!!」

「ちょっ、攻撃力たかっ!? バリアの減りが早いよ!!」

「ええい、応戦じゃ!!」



 地面に隠れていた………と言うか、埋もれていた無数の人型のロボット達が単眼のカメラアイを光らせて手に持ってた武器で攻撃してくる。

 ロボット達は手に持っていた独特のフォルムの光線銃を撃ってきて、ゴリゴリと装甲車のバリアが削られていく。


「敵のバリア固っ!」

「装備が弱すぎる! 逃げるぞ!!」


 源三郎達も車載のガトリングなどで応戦するがロボット達が展開するバリアを焼け石に水程度しか削れず、源三郎達は撤退しようとする。


「こっちのバリアが破られました!」

「アーマーヒットポイントもどんどん削られていく~!!」


 敵のロボット達の火力が高く、装甲車のバリアがあっという間に破壊されアーマーヒットポイントにダメージがはいっていく。


「アーマーヒットポイント0! 車両本体にダメージがきてますー!!」

「最悪車を捨てて逃げるのも考えておけっ!」


 源三郎達もキャノンやガトリングで必死に応戦するが殆どダメージはなく、ついに車両本体にダメージが入る。


「もう持たん! 全員脱出じゃ!!」


 全速力で逃げても、ロボットの射程距離が長く遂に装甲車が大破してしまう。


「きゃっ!?」

「ノエルちゃ───きゃあっ!?」


 大破した装甲車から飛び出したノエルに敵の攻撃が命中し、思わず足を止めた彼方にも攻撃がくる。

 装甲車すら破壊できる攻撃力に生身で耐えれるわけはなく、数回攻撃を受けただけでノエルと彼方は死亡して、登録したクローン再生施設に死に戻りしてしまう。


「ああっ!?」

「くっ………無念」


 生き残った鈴鹿と源三郎も逃げようとするが、惑星の重力によって移動と回避にペナルティーが発生している状況では攻撃を避けきれず、応戦しようにも相手の防御力が高くダメージを与えられず、全滅してしまう。


「ここからリスタートか………」

「お爺ちゃん、お帰り~」

「敵強すぎだったね」

「適正レベルではなかったのですかねえ?」


 死亡して視界が暗転したかと思うと最後に登録したクローン再生施設に死に戻りする。

 先に戻っていた彼方達が雑談していた。


「今回のストーリークエストは難易度が高いみたいで、まだ私達では手におえないっぽいです」


 彼方は配信視聴者に謝罪すると、視聴者達はドンマイと慰めたり、クエストクリアに協力しますと話を持ちかけたりする。


「下手に地上から攻めるより、宇宙船で倒すのはダメなのかな?」

「あー………どうなんだろうね?」

「宇宙船で対地攻撃出来るか試してみませんか? どちらにしろ惑星ユトーまで船を取りに帰らないと行けませんし」

「そうじゃな、検証も兼ねて試してみるかのう」


 ノエルのさりげない一言で今度は地上からではなく、宇宙船で上空から攻撃を仕掛けてみることにした源三郎達。


 予備の宇宙船で惑星ユトーまでワープして、惑星地上にメインの戦闘用宇宙船に乗り換えて、あのロボット達がいた戦場跡上空まで移動する。


「スクラップの山から熱源反応!」

「ぬうううっ!?」


 ロボット達がいた戦場跡に近づくと、警告音と同時に積み上げられた戦闘機の残骸の山を崩しながら砲身が姿を表し、ビーム粒子を発射し、源三郎達の宇宙船にダメージを与える。


「あ、こりゃダメじゃな」

「無理ゲーじゃん!」

「撤退しましょう!」

「全員、全力退避!!」


 ビーム一発は何とか耐えたが、次々と瓦礫や岩砂漠の下から砲身が次々と現れ、砲身の先端にエネルギーが充填されてくのを見て源三郎達は一気に大気圏外へ逃げる。


「何発か食らったが、なんとか生き残れたな………」

「船で行くとこうなるんですね………理解しました」

「ここだけかはわからないけど、地上戦闘に宇宙船持ち込むと迎撃されるんだ」


 大気圏外へ逃げきった源三郎達は惑星ユトーを見下ろしながら、先程の攻撃について話す。


「やばい、惑星スキャンしたら好戦的な勢力に惑星が占拠されていますって表示された」

「特定エリア………多分クエスト目標地に宇宙船で近づくと、攻撃されるって注意書が………」

「彼方さん、このストーリークエストどういたしますか?」

「うーん……視聴者の皆さん、申し訳ないですけどこのクエストは一旦凍結で」


 鈴鹿がストーリークエストの進行の有無を彼方に聞くと、彼方は配信カメラに向かって頭を下げて謝罪する。


 配信視聴者達も文句はなく、逆にあれはしゃーない、宇宙船で攻撃仕掛けるとどうなるかわかったからよかったなどフォローのコメントが書き込まれていく。


「まだ少し時間余ったけどどうする?」

「うーん………アノマリー探索ミッションやろうか」

「こっち方面のアノマリー探索ミッションはまだ受けたことなかったですね」

「アダマンティン鉱石とか見つかるとよいのう………」


 ストーリークエストの配信予定だったが、クエスト難易度が高く、中途半端な時間で中断したので配信を終わらせるには中途半端な時間帯なので、源三郎達は急遽アノマリー探索ミッションに挑戦してお茶を濁す。


 源三郎達は辺境近くのステーションでアノマリー探索ミッションを受けて、早速アノマリー反応のある座標へと向かう。


「この惑星近辺がアノマリー反応があった場所じゃな」

「早速スキャンで探してみよう」

「貨物コンテナじゃありませんように」

「鈴鹿、フラグになりそうだから止めて」


 最初のアノマリー反応があった場所は二つの衛星が周回する惑星だった。

 源三郎達は手分けして惑星や衛星、近辺の宙域をくまなくスキャンしていく。


「この衛星がアノマリー反応元のようじゃな」

「この衛星を集中してスキャンかけていくね」


 惑星を周回する衛星からアノマリー反応があることを発見した源三郎。

 彼方達も衛星に向かってスキャンを行い、アノマリー反応の正体を探ろうとする。


「解析完了! って、この衛星本来は別の場所にあった小惑星なのっ!?」

「別の場所にあった小惑星にスラスターやエンジンとかつけてここまで運んで、衛星軌道を周回させたとかすごい発想ですね」

「資源は堀尽くして、そのまま衛星として放置してるんだってさ」


 アノマリー解析が完了すると、目の前の衛星は本来はどこか別の場所にあった資源小惑星だったことが判明する。

 かつてこの惑星にいたエイリアンが惑星上で採掘作業していた痕跡もある。


「今となってはエンジンやスラスターも朽ち果てて歴史的価値しかないか………」

「取りあえず連邦に報告したら報酬とハウジングルームに飾れる衛星のレプリカ貰えたよ。スイッチいれるとエンジンが火を吹いてラジコンみたいに動かせるよ」


 アノマリーを発見し、連邦に報告するとクレジットと衛星のレプリカが貰えた。


 彼方がレプリカの効果を説明し、軽く操縦してみる。


「この星にもエイリアンの痕跡とかあるのかな?」

「アノマリーを発見するか、ストーリークエストがないと降りれない惑星のようじゃな」


 ノエルが惑星をみながら言うと、源三郎が試しに惑星に降り立とうとするが、システムメッセージで今はこの惑星に降りれないといわれる。


「取りあえず、今日の配信はここまで。途中グダグダしてすみませんでした」

「これからもチャンネル登録と高評価でこの配信チャンネルを応援してね」

「それでは皆さん、よい夜を」


 少し早いが彼方達は配信を切り上げ、いつものようにスパチャをくれた視聴者達の名前を読み上げ、コメントに返信する。


「明日は配信どうしようか?」

「配信はお休みでいいんじゃない?」

「あ、明日はウォーモンガーカンパニーと土曜日の大規模戦闘の打ち合わせがあるからね」


 彼方達はそんな話をしながら少し時間を潰してログアウトする。


「もう少し金策しておくかの」


 彼方達のログアウトを見送った源三郎は現実時間を確認して、夜更かしして金策して惑星開拓の資金を稼ぐことにした。

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