第68話 お爺ちゃん、新たなエイリアンの痕跡を見つける


「とりあえずステーションまで曳航すればいいみたい」

「トラクタービームで引っ張れるようじゃな」


 アノマリー探索ミッションで見つけたのはレトロなアダムスキー型円盤の宇宙船だった。


 ミッションが更新されて、現れたアダムスキー型円盤を最寄りのステーションまで曳航すれば調査を開始することが出来るので、源三郎達はトラクタービームでバベルステーションまで曳航する。


「さて、解析が始まったがしばらく時間がかかるようじゃの」

「解析が終わるのは私たちがログアウトする少し前ぐらいですね」

「じゃあ、その間残りのアノマリー探索ミッション続けようか」

「そうだね」


 源三郎達が見つけたアダムスキー型円盤はバベルステーションのハンガーデッキに固定すると早速解析調査が開始されるが、2時間ちょいかかるため、源三郎達は残りのアノマリー探索ミッションを再開する。


「今度は宇宙生物か」

「襲ってこないから、ノンアクティブかな?」


 次のアノマリー反応があった宙域に到着すると、宇宙船サイズの巨大なアメーバーの群れが宇宙空間を回遊していた。


 ある程度近づいても、巨大アメーバーの群れは源三郎達に反応せず、回遊を続ける。


「発光して交信してるのでしょうか?」

「とりあえずわしがスキャンするから、彼方達は少し離れておれ」

「はーい、お爺ちゃん気をつけてね」


 巨大アメーバーの群れはゲーミングパソコンみたいに七色に光り、交信しあっているように見える。


 源三郎はゆっくりスキャン有効範囲まで近づくと、スキャン開始する。


「………どうやらスキャンは敵対行為にはならないようじゃな」


 スキャンを照射しても巨大アメーバーの群れは此方に反応することはなく回遊を続ける。


「お爺ちゃん、私たちも手伝うね」


 巨大アメーバーがスキャンされても何もリアクションを返してこない事がわかると、彼方達もスキャンに参加してアノマリー解析に協力する。


「全員宇宙生物学スキル持ってるから解析がすぐに済みそうだね」

「ソロもいいけど、チームで活動したり、カンパニーに加入した方がゲームは有利っぽいね」

「ソロでも遊べなくはないぞ」


 彼方達がスキャンに参加すると、解析時間が短縮される。

 短縮された解析時間をみて、彼方達がチームやカンパニーでゲームプレイするのが有利だというと、コメント欄ではボッチを拗らせた視聴者がハードル高いなどコメントを書き込まれ、解析が終わるまで視聴者と雑談をする。


「む? 解析が終わったようじゃな」


 解析中は視聴者と雑談していた源三郎達は巨大アメーバーの解析が終了したとテキストメッセージのお知らせを貰い、解析内容を確認する。


「ふむ、この巨大アメーバーは【ショゴス】と言う名前で、単細胞生命体のようじゃな」

「宇宙空間を生身で生命活動できて、主食は宇宙空間に漂うガス、それを求めて遊牧民族のように宇宙空間を回遊するんだって」

「更なる調査として戦闘で倒して死骸を持ち帰るのと、調査ドローンで観察して時間をかけて解析すると2つの選択肢が現れましたね」


 アノマリー解析が完了し、ショゴスの生態系テキストを読み上げていくと、更なる調査として死骸を持ち帰るか、ドローンで時間をかけて調査するかの2つの選択肢が現れる。


「うーん、わたしはドローンがいいな。ゲームとは言え殺すのはちょっと……」

「私もドローンでの調査を希望いたします」

「寿命とかで死んだ死骸があるならそれを持ち帰りたいけど、流石に殺すのは………」

「時間かけてドローンにしましょう」

「そうじゃの、無益な殺生は好まん」


 2つの選択肢を前に彼方達は話し合う。全員殺すのは嫌だと言ってドローンでの時間をかける方を選択する。


「ショゴスの追加調査は現実時間で2日後じゃな」

「別のアノマリー探索ミッションいこうか」

「今日は今のところ当たりばかりで調子がいいですね」

「次も何か面白いものが見つかるといいな」


 ショゴスの群れに向かって調査用のドローンを飛ばすと解析までの時間が48時間と表示され、源三郎達は次のアノマリー反応があった宙域に向かう。


「今度は惑星か」

「うわっ!? 惑星をスキャンしたらあり得ない放射能濃度だよ!」

「船から降りられませんね」

「惑星上から探索する感じかな?」


 次のアノマリー反応があった場所は大気も重力もない死の星。

 彼方が試しに星に向かってスキャンすると、測定不能レベルの放射能濃度が検出される。


「とりあえずこの惑星の何処かにアノマリー反応があり、ピンポイントで特定しないと解析できないようですね」

「なら手分けしてスキャンしていく?」

「そうだね」


 源三郎達はそれぞれ東西南北に別れて異常な放射能濃度を検出する死の星をスキャンしていく。


「おーい、アノマリー反応を特定したぞ!!」

「わかったー、今合流するー!」


 調査をして5分ほどで源三郎がアノマリー反応を特定する。

 アノマリー反応があったのは巨大なクレーターがあった。


「このクレーターの中心部からアノマリー反応があるぞ」

「スキャンが届かないね」

「宇宙船でも防げない深刻な放射能汚染で近づけないね………」

「私のドローンも電磁波の乱れで途中で操縦不能になってしまいます」


 源三郎達はアノマリー反応を特定したが、スキャン射程外でこれ以上の調査を行えずにいた。


「もう少し装備をよくしないとこれは調査できんの」

「もしくは研究プロジェクトでスキャン距離か宇宙船の放射能体勢をあげるかですね」

「とりあえず座標メモして次にいこうよ」

「ここは一旦保留で」


 源三郎達は死の惑星の座標をメモすると、次のアノマリー反応があった宙域に向かう。


「今度は貨物コンテナかあ………」

「クレジットや交易品が手に入るので赤字ではないのですが………こう、ワクワク感がないのがちょっと………」

「連続で当たり引いた分がっかり感があるよね


 次のアノマリー反応は宇宙空間に漂う貨物コンテナで、少額のクレジットを手に入れるが、少々テンションが下がる。


「残りも貨物コンテナばかりでしたね」

「とりあえずさ、あのUFOの調査終わったみたいだし、ステーションに戻ろうか」

「何かストーリーミッションが起こるような調査結果があるとよいのう」


 残りのアノマリー探索ミッションは残念ながら外れ枠の貨物コンテナばかりでなんとも言えない空気に包まれるが、アダムスキー型円盤の解析調査が終わったお知らせが届き、源三郎達はバベルステーションへワープする。


「宇宙人のミイラがあったの!?」


 バベルステーションに帰還して解析調査報告を聞くと、あのアダムスキー型円盤の中から宇宙人のミイラが発見された。


 発見された宇宙人は地球人類に酷似した外見で、現在解剖して生態を調べているとのこと。


「アダムスキー型円盤にはワープ機能や長距離航行に適した機能がないので、脱出挺と思われるか………」

「内部のコンピューターなどを調べたら座標データが出てきたと言う流れでストーリークエストが始まったね」


 調査報告書を受け取ると、座標エリアに向かってエイリアンの痕跡を調べると言うストーリークエストが開始する。


「今日はそろそろ落ちないといけないから、このクエストは明日だね」

「スターマップでストーリークエストの座標位置調べたけど、かなり遠い連邦の辺境宙域だね。今の私達の船でも数回ワープ繰り返さないとたどり着けないね」


 ノエルがスターマップを開いて視聴者にも目的地が何処かわかるように見せる。

 座標が示す宙域はスターマップで連邦南西部の画面の端にあたる宙域だった。


「それじゃあ、今日の配信はここまで! みてくれてありがとう!!」

「明日はこのストーリークエストに挑戦したいと思います」

「この配信が面白かったらチャンネル登録と高評価宜しくお願いしまーす!」


 彼方達は締めの挨拶と、スパチャしてくれた視聴者一人一人にお礼を述べて配信を終了する。


「それじゃあ、また明日」

「おやすみなさーい」

「お疲れさまでした」

「うん、お疲れさま」


 彼方達がログアウトするのを見送ると、源三郎もログアウトした。


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