第67話 お爺ちゃん、新たなエイリアンの痕跡を見つける
「今週はバグや細かなバランス調整だけか」
翌日の水曜日、ギャラクシースターオンラインの定期メンテナンスが終了し、源三郎は更新内容を確認していた。
「彼方達がログインするまでは鉱石でも貯めておくかのう」
ギャラクシースターオンラインにログインした源三郎は現実時間を確認して、採掘船【リーパー】に搭乗して採掘クエストをマラソンしながらアステロイドベルト帯で採掘をしては納品したり、余った鉱石を自分のハウジングルームの倉庫に収納していく。
「いつもより鉱物資源のスキャニング範囲が広いと思ったら鉱物資源系の研究プロジェクトがアンロックされておったか」
採掘の途中でいきなりスキャニング範囲が広がったことにバグかなにかと思った源三郎はカンパニーステータス画面を見て納得する。
「お爺ちゃん、ログインしたよー」
「はいよー」
そんな風に採掘ミッションを続けていると、カンパニーチャットに彼方達がログインした報告が入り、源三郎は彼方達と合流する。
「配信前にお知らせです。ウォーモンガーカンパニーから土曜日に大規模戦闘のお誘いが来ました。今度は12人までの人数制限のある地上戦闘だって」
カンパニールームの会議室で彼方がウォーモンガーカンパニーからの連絡内容を他のカンパニーメンバーに通達する。
「どういうタイプの地上戦闘か聞いておるか?」
「ええっと、タワーディフェンスタイプだって」
源三郎がウォーモンガーカンパニーから誘われた大規模戦闘の内容を聞くと、彼方はメール画面を確認しながら大規模戦闘の内容を伝える。
「彼方さん、それも配信予定ですか?」
「うん、向こうも今回も任せますって言ってたよ」
鈴鹿が配信について聞くと、彼方は前回と同じだと答える。
「とりあえず、装備とアイテム準備しておかないと」
「地上戦闘の大規模は初めてだからね。ちゃんと明細残してくれるならカンパニーウォレット使ってもいいよ。それじゃあ今日の配信活動についてだけど、今日はアノマリー探索ミッションしない?」
彼方は今日の配信予定の行動を提案してくる。
「今度はちゃんとロマンのある発見物みつけたいね」
「歴史やエイリアン研究からみれば、あのエイリアンの愚痴も大発見なんですけど、ノエルさんの意見に同意します」
ノエルと鈴鹿が前回のアノマリー発見物であるエイリアンの愚痴を話題にして苦笑する。
「学者を探すストーリーミッションまであったら期待しちゃうよね」
「まあ、それなりに楽しめたんだから良いではないか、のう?」
彼方も釣られて苦笑し、空気を入れ替えるように源三郎が手を叩く。
「それじゃあ、配信始めるね。ハーキュリー、配信用のカメラを起動!」
「了解しました」
彼方は自身の鳥形サポートロボットのハーキュリーに命令して配信撮影を開始する。
「皆さん今晩は! 彼方です!」
「今週はガチャなくて残念だったノエルです」
「皆様ごきげんよう、鈴鹿です」
配信撮影が開始されると彼方達が元気良くドローンカメラに挨拶する。
「あ、スパチャありがとうございます! はい、惑星開拓頑張ります!」
配信開始と同時に視聴者の一人が惑星開拓を始めたことに対するご祝儀としてスパチャを贈り、彼方がお礼を言う。
「まずはアンロックが完了した研究プロジェクトの報告から。今回アンロックしたのは二つで、まずは長距離鉱物スキャナーをアンロックしました。効果は鉱物資源のスキャニング範囲の拡大です!」
「惑星に設置した探索ドローンにも鉱物資源限定じゃがボーナスがのるので悪くないの」
まず彼方はカンパニーの研究プロジェクトスキルの報告から始める。
「それから組み立てパターン効率化と言うのをアンロックしました。テキストでは構築シミュレーションを高速反復させることで効率良く物を組み立てられるようになったことになります」
「生産と建築時間がレベル分短縮されるようになったよ。これも生産系や惑星開拓をするなら必須とも言える研究プロジェクトだね」
鈴鹿とノエルが組み立てパターン効率化と言う研究プロジェクトの効果を説明する。
「惑星開拓専用のスキルプロジェクトも1つアンロック出来たので解説するよー。今回アンロックしたのは送電グリッド、惑星に設置した発電所の余剰電力を売却してクレジットに変えてくれるの」
「発電所の余剰電力が多いほど売却額も変わるから、安い小惑星購入して大量の発電所作って送電グリッドでもうけれるかも?」
「ただ、送電グリッドの研究プロジェクトを開始するのに1200万クレジットも必要だから、元取れるのは大分先かもしれんのう………」
彼方達は惑星開拓専用の研究プロジェクトである送電グリッドの効果を説明する。
源三郎が着手金を視聴者に伝えると、高いと言うコメントの書き込みが続く。
「探索ドローンからデータ送られてきてるけど、惑星ドウマンは鉱石資源が多いみたい」
彼方は惑星マップを表示してドローンの探索範囲を黄色で、鉱石資源の反応があった場所を赤色で表示する。
「この資源反応があった場所に採掘用の建築物やドローン、プレイヤーが宇宙船で直掘りすると鉱石資源が手に入るよ」
補足するようにノエルが採掘の仕方を話す。
「惑星開拓は始まったばかりで何が出来るか手探りだけど、見守ってね。さて、今回はアノマリー探索ミッションをやっていきたいと思います」
彼方が今日の配信予定を告知し、源三郎達はバベルステーションのミッション端末からアノマリー探索ミッションを限界まで受ける。
「あれ、お爺ちゃん今日は戦闘船で行くの?」
「うむ、この間アノマリー探索ミッションやってたら小惑星に擬態した結晶生命体の巣が見つかったことがあっての。無警戒に採掘していたら襲われるところじゃった」
「じゃあ、今日は彼方のお爺さんは私たちのボディガードだね」
「頼りにしています」
アノマリー探索ミッションを受けて宇宙に飛び立つと、彼方達は探索用の宇宙船だったが、源三郎はテック3グラップラーシップの【ヘカトンケイル】だった。
「それじゃあ、最初のアノマリー探索開始っ!」
彼方の号令にあわせて最寄りの座標へと向かう源三郎達。
「最初は小惑星だね」
「外れ枠のコンテナじゃなくてよかった」
「アダマンティン鉱石が取れる小惑星だといいですね」
「結晶生命体の可能性もあるからわしは警戒するぞ」
アノマリー反応の座標にあったのは小惑星だった。
幸先の良い出だしに盛り上がる源三郎達。
一斉にスキャンを開始してアノマリーの正体を解析し始める。
「自動探索プロトコルの効果であっと言う間に解析完了したね」
「今回のアノマリー解析に必要なスキルを所持していたのも大きいですね」
「アノマリー探索はチームでやった方がいいかも?」
スキャンを開始して3分ほどでアノマリーの解析が終了したとシステムメッセージが表示される。
「へー、この小惑星から水棲生物の化石が発見されたって」
「この小惑星は元々は惑星の一部で、惑星が砕けるほどの衝撃を受けてここまで飛んできたとか」
「この小惑星の元となった惑星はどこにあったか不明か………」
「あ、レプリカですけどハウジング家具として化石が手に入りました」
解析されたアノマリーの正体は遥か彼方の宇宙にあった崩壊した惑星の欠片だった。
発見報告すると、報酬としてクレジットとレプリカの化石が手に入った。
「それじゃあ、次のアノマリーを見つけに行こう!」
1つ目のアノマリー探索ミッションを終えて、次のアノマリー反応がある座標へと向かう。
「この宙域ですけど………みる限りでは何もないですねえ………」
「スキャンをしてみたら何かわかるかも?」
次のアノマリー反応があったのはほぼ何もない宙域。
彼方達はスキャンを始めるが、何も反応がない。
「バグ?」
「それかわしらのスキャン範囲が狭いのかもしれんの。ちと乗り換えてくる」
「いてらー」
「その間に私はお花を摘みに行ってきます」
何度がスキャンを繰り返すが反応がなく、彼方がバグの可能性を口にすると、源三郎が自分の探索特化船に乗り換えに行く。
「ただいまー、早速スキャンを始めるぞ」
「おかえりー」
「よろしく」
「私も戻りました」
急いでステーションで探索特化船に乗り換えた源三郎が彼方達に合流すると、スキャンを開始する。
「むっ? 反応があったが………要求されるセキュリティスキルが高くて、わしでは手が出せん」
「反応があった場所教えて! わたしがスキャンする」
源三郎がスキャンすると反応があるが、セキュリティスキルが要求され、変わりにノエルがスキャンを開始する。
「よし、セキュリティ解除! あっぶな、暗号解読がなかったらスキル足りなかったかも」
「どうやらステルスで宇宙船が隠れていたみたい」
「えーっと、UFO?」
「もしかしたらエイリアンシップかもしれんの」
ノエルのセキュリティスキルが要求スキルを何とか超えて、アノマリーを解析完了させると、何もない空間からいきなり宇宙船が現れる。
現れた宇宙船はレトロな感じのアダムスキー型円盤だった。
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