第66話 お爺ちゃん、惑星開拓に着手する

「ハウジングルームの紹介はここまで! 私達フリージアカンパニーは惑星開拓に着手します! はい、拍手!!」


 フリージアカンパニーメンバー全員のハウジングルームの紹介をおえると、彼方は惑星開拓に着手したことを配信視聴者達に告知する。


 視聴者達も惑星開拓システムが気になっていたのか、テンションの高いコメント書き込んでいく。


「フリージアカンパニーの皆で話し合って、この惑星の開拓権を購入します!!」


 彼方は惑星開拓権購入画面をカメラに映し、どの惑星を購入するか指差す。


「惑星ドウマン、赤茶色の岩砂漠に覆われた不毛の惑星です。重力は地球を基準とした1Gとしてたったの0.38G、平均気温は氷点下ー30°が当たり前の寒冷、大気は地球の1000分の6と言う薄さ、惑星サイズは地球の2.25倍と言う惑星です」


 彼方は購入予定の惑星ドウマンのデータを読み上げる。


「もっといい惑星は他にもあったけど、購入したら暫くは金策に走らないとなにも出来ないから、ある程度は研究プロジェクトとかに投資できる資金残したかったの」


 配信視聴者からの質問でもっと良い惑星があると言う指摘に対して彼方が返答する。


「それじゃあ開拓権を購入したら何が出来るか見てみましょう!」


 彼方はそう言って惑星ドウマンの開拓権を購入すると、カンパニー管理画面に新たに惑星開拓の項目が現れる。


「まず、惑星の現状などのデータを確認する項目ができました。それから………あ、惑星開拓用の研究プロジェクト投資の項目が出来てる!」

「全体的に値段が高いが、惑星に氷の小惑星落として海を作るとかなんかすごい項目があるの」

「ほかには………惑星に色々な建物が建てれますね。鉱脈を見つけないといけませんが、採掘施設や居住者用の建物があれば定期的に税金としてNPCから収入を得られるようです」


 彼方と一緒に覗き込んだ源三郎と鈴鹿が惑星開拓で出来ることを説明する。


「でも居住者呼び込むには快適な環境であること、住居と働く場所、それから娯楽施設が必要って、なんだか都市運営ゲームっぽいね」

「流石に今の環境では誰も来てくれんのう」


 ノエルが惑星に居住者を呼び込む方法を読み上げ、源三郎が惑星開拓画面にある移住予定の住人0を指差して述べる。


「それから企業スポンサーと言うのがあるね。企業からクレジット融資して貰う代わりに指定期間の間に企業が求める建物を建てたり、惑星で手に入れられる資源を納品したりとかしないといけないって」

「期限を過ぎるとペナルティとして投資分のお金を強制回収だとか」

「惑星開拓でなにやれば良いかわからないのでしたら、この企業スポンサーの指示を聞きながら開拓していくのもありかもしれません」


 彼方が企業スポンサーの項目を説明する。

 100を越える様々な企業一覧が表示されており、どういった指示をだすことが多いかテキストで説明されていた。


「何をするにもまずは発電施設と探索ドローン施設を設置して、この星の資源状況を確認しないと」

「貴重な埋蔵資源の上に都市とか建てたら損じゃからのう」


 源三郎達は惑星管理画面で何が出来るかあれこれ確認しながら開拓計画を練る。


「今の段階でわかったことは購入した惑星を居住惑星にしてNPCを誘致して税金などで収入を得る」

「もしくは資源惑星として採掘施設などを設置して資源を採取、または畑などを作って天然食材など交易品を作るとか」

「後は沢山の企業から融資を受けて、企業からのクエストで建築物を建てたりかのう?」

「一応、惑星にも建材もちいて自分達の建物も作れるので巨大なハウジングゾーンとしても使えますね」


 源三郎達は現段階でわかっている惑星開拓内容を配信視聴者達に伝える。


「せっかくだし、発電施設を作ろうか」

「アーキテクトラスキルがあると建築費用押さえれるし、特定のレベルまで育てたら特殊施設を作れるって!」


 彼方が惑星管理画面から建築物キューを選んでいると、配信視聴者からアーキテクトと言うのスキルがあるとボーナスがあるとコメントが書き込まれて、ノエルが読み上げる。


「それじゃあ、3レベルまでとっておこうか」


 彼方はアーキテクトのスキルを3レベルまで育て上げてチップを装着すると改めて建築物キューを開く。


「少し安くなって、ジェネレーター発電所と言うのが新しく増えたね」

「発電量は低いけど100万クレジットで建てれるのは安いの」

「他のは500万からだもんねえ」


 彼方は惑星ドウマンにジェネレーター発電所を設置すると、建築完了までの時間が表示されてカウントダウンが始まる。


「惑星開拓も時間がかかるっぽいね。建築完了するの待ってたらログアウト時間過ぎちゃう」

「サポートロボットが、課金アイテムで時間短縮できるっていってるけどどうする?」

「ジェネレーター発電所が完成するのに現実時間で2時間弱ですね」

「あ、無理にスパチャしなくていいから!」


 いざ惑星開拓を始めたら一昔前の都市運営アプリゲームのように建築完了まで時間がかかると判明した。


 ノエルが時間短縮系の課金アイテムの話をすると視聴者の何名から無言でスパチャが送られてきて、彼方が慌てて止める。


「ええっと、せっかくだから好意に甘えて課金します」


 視聴者の好意を無下には出来ないと彼方は送られたスパチャを使って時間短縮の課金アイテムを使う。


「うわっ!? 早送りみたいに一瞬でジェネレーター発電所が建った!」


 彼方が時間短縮の課金アイテムを使用すると、建築予定地だった場所に一瞬でジェネレーター発電所が建てられて稼働を始める。


「とりあえず発電所が建てられると発電量と影響範囲が表示されるから、電力を必要とする建物は発電所の影響範囲内に建てないといけないって」

「大抵の都市運営ゲームでよくあるシステムですね」


 彼方が建てたばかりのジェネレーター発電所のテキストを読み上げて、視聴者に発電所の効果を知らせる。


「あ、建築物にはカンパニーメンバーを管理責任者にすることが出来て、管理責任者を設定すると該当スキルを所持してたら色々なボーナスがあるみたい」

「メンバー1人に最大で3つまで施設管理が出来て、マルチタスクと言うスキルがあるとレベル分追加で施設管理が出来るようじゃな」


 彼方と源三郎がテキストの続きを読むと管理責任者と言うシステムとマルチタスクと言うスキルがあることに気づいて知らせる。


「管理責任者になったプレイヤーがカンパニーから退職しない限りはログアウトしていても効果があるのは嬉しいですね」

「改めてカンパニーメンバーを増やすか、マルチタスクスキルを覚えて貰うか悩むなあ」


 鈴鹿とノエルが管理責任者システムについて話し合い、今後は管理責任者のためにメンバーをどうするか話し合う。


「それじゃあ次に探索ドローン施設を建てるね。エネルギーが供給され続ける限り、探索ドローンが惑星の資源やアノマリー、生物など調べてくれるって」

「ドローンアビオニクススキルがあるプレイヤーが管理責任者になると探索範囲拡大などのボーナスがあるので、これは私が管理しますね」


 彼方がジェネレーター発電所の範囲内に探索ドローン施設を設置し、また課金アイテムで建設時間を短縮すると、巨大なパラボラアンテナとドローン離着陸滑走路がある建物が完成し、次々とドローンが惑星各地へ飛んでいく。


「さて、惑星開拓は色々気になるけど、そろそろログアウトしないといけない時間だから、今日の配信はここまで」

「スパチャしてくれた皆様ありがとうございます」

「この配信が面白かったら、チャンネル登録と高評価よろしくね!」


 彼方達は締めの挨拶をした後、スパチャをくれた視聴者の名前を読み上げてお礼を述べてログアウトする。


「さて、明日は定期メンテナンスじゃし、昼のうちに買い物終わらせるかの」


 彼方達のログアウトを見送った源三郎はそう独り言を呟くとログアウトした。




 

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