第63話 お爺ちゃん、惑星開拓の話し合いをする


「ふーむ、まだそんなにギャラクシースターオンラインの情報は出揃ってないのう………」


 翌日火曜日、源三郎はギャラクシースターオンラインにログインしながら、ネットでギャラクシースターオンラインの攻略情報を集めていたが………正式サービスが開始してまだ一ヶ月も経っていないため、だいたいは知ってる情報や、ブログ記事作者の憶測が混じった眉唾的な話ばかりだった。


「ふむ、公式サイトの掲示板には大規模戦闘の告知が多いのう」


 源三郎が公式サイトを覗くと、新着書き込み情報の殆どか大規模戦闘の告知で埋められていた。


「わしのサーバーだと、早くて木曜日で、土日はやはりイベントが集中しとるのう」


 大規模戦闘の内容も様々で、以前参加した海賊の襲撃からステーションを防衛するのもあれば、ソロモン自由同盟領域で原種動物のウェーブから居住拠点を守る地上戦闘がメインの大規模戦闘もある。


「人数制限のある大規模戦闘もあるのか?」


 大規模戦闘の募集掲示板を見ていれば、殆ど参加締めきりされているが、12人や50人限定の大規模戦闘の募集もあった。


「PK出没情報もあるのか」


 公式サイトの掲示板をみて回ると各サーバーのPKの目撃や出没情報を報告する掲示板があったが、何処其処で襲われたとか、このプレイヤーネームはPKですといった書き込みがされている。


 PKとしてプレイヤーネームを晒されてる人が弁明の書き込みしていたり、罵詈雑言が書かれていたりと少し治安が悪い。

 中には運営から悪質と認定されて書き込みの削除やログイン禁止処置をされてるプレイヤーもいた。


「ネットで調べるのはこんなものかの、彼方達がくるまで金策でもするかの」


 ネットサーフィンを終えた源三郎は彼方達がくるまで交易や貨客マラソンをして時間を潰す。


「お爺ちゃん、やっほー!」

「彼方のお爺さん、こんばんは」

「ばんわー」


 彼方達がログインしたのを確認すると、源三郎はバベルステーションのオフィスルームに入室する。


 彼方達はオフィスルームで今日の配信スケジュールを話しており、ハウジング家具のホワイトボードに段取りや今後の配信アイデアについて話し合った題材などが書き込まれている。


「とりあえず最初は研究プロジェクトのアンロックされたのを紹介して、それからあの衛星で見つかったエイリアン文字の解析がやっと終わったからそれの説明だね」

「そういえば、そんなのがあったのう………」


 彼方は遅れて合流した源三郎に今日の配信スケジュールを伝える。

 アノマリー探索ミッションで見つけたエイリアン文字のことをすっかり忘れていた源三郎は顎髭をいじりながら思い出す。


「あ、一応開拓権を購入する惑星候補選んだよ」


 彼方はそう言ってブレスレットを操作して候補惑星のデータが表示されたスクリーンショットを空間に展開する。


「1つ目が最安値の小惑星。これならカンパニーウォレットだけで買えるけど、できることも少ないかも?」


 彼方が最初に紹介したのは数千万クレジットで購入できる小惑星。

 主な開拓方法は採掘機材を設置して鉱石を採掘するか、内部をくり貫いて小規模ステーションとしてハウジングするかとテキストで紹介されている。

 逆にテラフォーミングは一切不可能と明記されていた。


「うーん、開拓の練習用には悪くないかな?」

「テラフォーミングできないのが気になりますね」

「残りのもみてみるかのう」


 一つ目の候補を見て源三郎達は話し合う。


「2つ目はこれ。大気が薄く、気温も氷点下、ただ小惑星よりも星は大きくて埋蔵資源も期待できるっぽい」

「全員が金を出し合えば買えるのう」

「ある程度資金も残りますから、初期開拓ぐらいばできるかもしれませんね」


 2つ目の候補地は地球型惑星で、結構なお値段になっているが、買えない値段ではない。


「こっちはテラフォーミングである程度惑星環境変えれるのか」

「広さも最初の小惑星よりあるから色々やれそう?」


 源三郎とノエルはこの星が気に入ったのか、スクリーンショットを見ながらあれこれやってみたいことを口にする。


「三つ目はほぼ地球と瓜二つな環境惑星か………流石に高いのう」

「これを購入するならもう少し稼がないと流石に厳しすぎます」

「て言うか、9割海じゃん。陸地でできること殆どないんじゃ?」


 最後の惑星はほぼテラフォーミングの手間がいらない地球型惑星。

 懸念材料は値段と殆ど海と言うことだった。


「星を決める前に聞いてくれ、わしのフレンドさんで惑星開拓に手を出してる人がいたけど、ちゃんとコンセプト考えないと金と時間がかかるらしいぞ」

「うーん、といっても………惑星開拓で何ができるか公式サイトの説明抽象的過ぎてねぇ………」


 源三郎がフレンドのメタボーマンの話をすると彼方達は悩み出し、公式サイトの惑星開拓の項目をウインドウに表示する。


「とりあえず惑星開拓で何がしたいかだけど、色々試してみたい」

「街を自由に作れるなら作ってみたい」

「色々試してみたいですね」

「ふーむ………なら二番目の惑星にしないか?」


 彼方達は惑星開拓でやってみたいことをあれこれ案を出してホワイトボードに書き込む。

 あらかたアイデアが出尽くすと、源三郎が二番目の惑星の購入を持ちかける。


「お爺ちゃん、二番目の理由は?」

「1つ目の小惑星は安いがコンテンツの売りであるテラフォーミングが出来ないし、できることもほぼ限られている。三つ目もほぼいじらなくていいが、殆ど海なのがネックになりそうだし、あと資金難で当分の間金策に走り続けねばならん」

「二番目はテラフォーミングも試せますし、乾いた大地が無限に広がる感じの惑星ですから色々できそうですね」

「何ができるか試すなら二番目かな? やっぱり」


 源三郎が各候補惑星のメリットデメリットをホワイトボードに書き込んでプレゼンする。

 鈴鹿も二番目の星を開拓したいのか、源三郎の意見に同意する。


「それじゃあ、二番目の惑星を買うから、皆資金カンパして。あと、テラフォーミングや開拓で資金提供またお願いするかも」

「あいよ」

「彼方さんどうぞ」

「意外と早く惑星開拓にたどり着けたね」


 彼方が惑星開拓権の購入資金の提供を呼び掛けると、源三郎達が手持ちのクレジットを彼方に預ける。


「多分運営側は複数の惑星の同時開拓とかを視野にいれてるんじゃない?」

「流石にこの人数で複数の惑星開拓はむりっしょ?」

「今後のことを考えてメンバー増やすのか?」


 フリージアカンパニーの会議は今後のメンバー増加についての話し合いにシフトしていく。


「うーん………新規はどうしよう?」

「身内だけで作ったカンパニーだから、今さら知らない人はいれたくないなあ」

「配信とかの兼ね合いもありますし、チームメンバー上限とか考えますとある程度募集して加入させないと仲間はずれになりません?」


 フリージアカンパニーの新規加入者に関しては彼方達は消極的だった。


「ならアライアンスで人手不足解消するのかのう?」

「それ目的でアライアンス組むのもなんと言うか………」

「とりあえず、手が足りなくなったら改めて考えない?」


 源三郎が別のカンパニーとアライアンスを組む提案を出すがそちらも彼方達は消極的だった。

 結局新規メンバーについては先送りと言うことになり、彼方達は配信の準備に入る。


「ああ、そうじゃ。今後は大規模戦闘とかはどうするんじゃ?」

「大規模戦闘?」

「うむ、公式サイトの掲示板見ていると結構な数のイベント参加者募集する書き込みがあったぞ」


 彼方達が配信の準備をしている時に、源三郎は思い出したように自分の太ももを叩いて大規模戦闘の参加者募集の掲示板の話をすると、彼方達もウィンドを開いて掲示板を確認する。


「うーん………配信の有無関係あるし、人数制限の大規模戦闘イベントは私達4人全員が採用されなかったら揉めそう」

「む? それがあったのう………」


 彼方が苦笑しながら配信関連のトラブルやメンバーの誰かが落選したらと消極的な意見を述べ、源三郎失念していたと額を叩く。


「事前に許可貰えたら配信すればいいし、メンバーがバラバラになりそうだったら配信なしで遊べばいいじゃん」

「そうですね、ゲームなのにあれこれやってはいけないとか決めるのは息が詰まりそうですね」

「それもそうだね」


 ノエルと鈴鹿は配信関係なしに遊べばと言い、彼方も納得する。


「大規模戦闘は事前に相談で、当日フレンドに誘われたとかは臨機応変で」

「おけ」

「それでよろしいかと」

「うむ」


 大規模戦闘に関してはそう言う方針となり、改めて彼方達は配信を始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る