第61話 お爺ちゃん、埋蔵金を探す その2
「警告、下層エリアからこちらに向かってくる生命反応多数!」
「は? ここ空気無いのに生命反応じゃと!?」
下層エリアに向かう搬送用エレベーターに乗って移動していると、サポートロボットのロボから警告が入る。
「まじで下からなんか来てるよ!!」
エレベーターの縁から下を覗き込んだノエルが叫ぶ。
源三郎も刀を抜いて下を覗くと、多数の蝙蝠のような皮膜の羽を持った蛭のような生物がこちらに向かって飛来してくる。
「気持ち悪っ!?」
「ディアキンと言う宇宙空間でも生息できる生物です! 鉱物資源や電気エネルギーが主食です!」
「わしらがステーションに足を踏み入れて起こしてしまったか?」
「取りあえず迎撃!!」
飛び回る無数のディアキンを源三郎達が迎撃する。
1匹1匹は銃弾1発で死ぬが、数が多く宇宙服のバッテリーからエネルギーを吸いとろうと纏わりついてくる。
「ええいっ! 鬱陶しいっ!!」
「ダメージはないけど、宇宙服のバッテリーが吸われてライトとか維持できない!!」
「やばっ! 宇宙服の酸素循環が壊された!?」
源三郎は群がってくるディアキンを刀で切り払うが1匹切れば、10匹は纏わりついてきて宇宙服のエネルギーを吸い取る。
「だっ、だめ………窒息ダメージでヒットポイントが一気に減っていく………」
ついには全員宇宙服のエネルギーを全て吸いとられて窒息死して最寄りのクローン私設に死に戻りしてしまった。
「うーん、全滅しちゃいました」
「落とすようなアイテム持ち歩いてなくてよかった」
「1匹1匹は強くないけど群れられると」
「今の装備だと火力不足かの?」
死に戻りした源三郎達は今回の敗因を話し合う。
<ソロモン自由同盟に地上戦闘用のドローンや設置型のタレットとか売ってますよ。どちらも使い捨てですが>
どうやってディアキンを攻略するか話し合っていると、配信視聴者の1人から地上戦闘用のドローンやタレットの情報を貰う。
「うーん、それと装備も更新しようかっ!」
「そうだね」
「今後を考えてそれがよいかもしれません」
「なにか良い刀があればいいのう」
源三郎達は一旦ストーリークエストを中断して地上戦闘用のドローンやタレット、新しい宇宙服などを買いに行く。
「ドローンもタレットも私が持ってるドローンアビオニクススキルがあると強くなるようですね」
「スキルがないとドローンかタレットどれか1つしか展開できないのか」
「使い捨てでこの値段はちょっと高いなあ………」
ドローンはプレイヤーの周囲を飛び回り、エネルギーが尽きるか破壊されるまで展開され、タレットは一度設置するとその場所から動けないがドローンよりも火力が高い設定だった。
「暫くは宇宙戦闘ばかりだったから、地上戦闘用の装備とか全然更新してなかったね」
「ドロップ装備で今までなんとかなってたからのう」
視聴者から教えて貰ったソロモン自由同盟領域にある惑星の居住拠点に向かうと、源三郎達は早速装備を購入していく。
「宇宙服はここで購入できるマーセナルアーマー宇宙服が一番防御力高いかな?」
「オプションでボディプレート入れて更に防御力上げてみて………」
源三郎達が購入した防具はボディスーツのように体にフィットした感じの宇宙服で、元々高い防御力を更にオプションパーツで固くする。
「今回みたいな大群に対応して私はこのマイクロガンと言うの買ったよ」
彼方が購入したのは電磁力で弾丸を発射するミニガン。
「私はこのマグシアーと言うやつ」
ノエルが購入したのは彼方と同じく電磁力で弾丸を発射する銃口が蜂の巣のように無数にあり、面攻撃をメインとしたライフル。
「私はドローンとタレットを買い漁りました。オプションで追加バッテリーを装着して展開時間を延長しています」
鈴鹿は多種多様なドローンやタレットを購入する。
「わしはこの花火と言うの名前のショットガンじゃな、着弾すると小規模の爆発を起こす」
源三郎は見た目はポンプアクション式のショットガンを購入する。
「これでだめだと暫くはこのストーリークエストは保留だね」
装備を新調した源三郎達は再度放棄された採掘ステーションに戻り、下層エリアに向かうエレベーターを起動させる。
「警告、下層エリアからこちらに向かってくる生命反応多数!」
「来るぞっ!」
「ドローンとタレットを展開します!!」
またある程度エレベーターが進むと下層エリアからこちらに向かってくるディアキンの群れ。
鈴鹿がドローンとタレットを展開して迎撃準備を整え、源三郎達は新調した武器を構える。
またエネルギーを求めて群がってくるディアキン達。
だが、範囲内にはいるとタレットやドローンがディアキン達を迎撃して数を減らしていく。
「えーい!!」
ブゥゥゥンと言う独特の発射音で彼方のマイクロガンが火を吹き、ディアキンを肉塊に変えていく。
「よいしょっ!!」
ノエルが四方八方あちらこちらを向きながらマグシアーの引き金を引いてディアキンをミンチに変えていく。
「ほっ! よいしょっ!!」
源三郎も花火と言うポンプアクション式のショットガンでディアキンの群れを迎撃すると、ショットガンの名前通り小規模の爆発が花火のように見える。
「なんとか凌げたね」
「適度に装備は更新しないと行けませんね」
ほとんどなす術なく全滅した一回目とはうってかわって、装備を更新して挑戦した二回はほぼ問題なくディアキンの襲撃を押し退けて下層エリアに到着する源三郎一行。
「うへっ! 気持ち悪い………」
下層エリアは長年放置され続けたせいでディアキンのコロニー化が進んでおり、廃材と粘液で作られた巣や分泌液で作られたクモの巣のような物で通路が侵食されていた。
「取りあえず先に進もう」
「うう………歩きにくい」
「こんなところに本当に祖父の隠し財宝があるのでしょうか?」
クエストマーカーに従ってディアキンのコロニー化した下層エリアを進んでいく。
「巣がコンテナ代わりか」
「気持ち的に回収したくないなあ………」
道中、源三郎がなにげなしにディアキンの巣を調べるとアイテムやクレジットが回収できた。
それを見ていた彼方達はドン引きするように距離源三郎と距離をとっており、源三郎は孫達に距離をとられて少しショックを受けており、配信視聴者は彼方達と源三郎のやり取りをみて笑うものや同情して少額のスパチャでフォローしたりする。
「ここもゲートがあるが………」
「ディアキンに荒らされてるね………」
時折ディアキンの生き残りが襲ってくるが、苦労もなく排除してクエストマーカーに従って歩くと、巨大な搬入用のゲートがあった。
本来は電源が通っていて、カードキーがあればゲートは解放されたかもそれないが、配線や機材はディアキンに荒らされてめちゃくちゃだった。
「これを直すにはディアキンの巣を探索して修理機材を探さないといかんのか………」
「お爺ちゃんガンバ!」
「こういう時、フルダイブのVRだと気持ち悪さが勝っちゃうよね」
「ええっと、その………お願いします」
「いや………仕方ないのう………」
ゲートに到着して故障していることを源三郎達が確認すると、周囲から代用品になる部品を探せと言うクエストが発生し、あちらこちらのディアキンの巣にクエストマーカーが表示される。
彼方達は心情的に巣を触りたくないのか、部品を探すクエストを源三郎に丸投げし、源三郎も仕方ないとため息つきながら巣を探索する。
「うーむ………このクエスト考えたのは誰じゃ? 無駄に粘液とかリアリティーいらんのじゃがのう………」
ゲートを動かすのに必要な部品を巣から探しだすと、全体的に粘液とかにまみれていた。
源三郎はゲンナリしならがらも時折巣に隠れていたディアキンを倒して必要分集めるとゲートに嵌め込んでいき、ゲートを解放する。
「これが財宝かの?」
「これ全てデータストレージに納められたクレジットです!!」
ゲートの向こう側は超巨大なサーバールームになっており、そのサーバールームをみたモルガンが叫ぶ。
「本当に財宝があったとはのう………」
「金銀財宝じゃないからあまり有り難みがないし、実感ないね」
「これはどうやって回収するのでしょうか?」
「報酬は財宝の1割だけど、いくらになるんだろう?」
源三郎達は財宝の回収方法が思い付かず、どうするのか話し合う。
「連邦軍に報告して回収して貰います。財宝は確認できたので一旦帰還しましょう」
モルガンがそう言うとクエスト内容も最寄りのステーションに帰還すると言う内容に変更される。
「ふむ………門番とか出てくるかと思ったのだが………そんなことなかったのう?」
「んー、ディアキンは数が多くて大変だったけどボスと言う感じじゃないよね?」
「まあ、そう言うクエストもあるんじゃない?」
「何事もないのが一番です」
源三郎達はそんな話をしながらハンガーデッキに戻り、宇宙船に乗り込む。
「警告、多数の宇宙船がワープアウトしようとしています」
「なるほど、ラストは宇宙戦闘か」
源三郎達が廃棄された採掘ステーションから宇宙に飛び立つと、サポートロボットのロボから警告が入る。
それと同時にアイオブヘヴンの紋章が描かれた海賊船が多数ワープアウトして、源三郎達の前に立ちはだかった。
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