第60話 お爺ちゃん、埋蔵金を探す その1
「お爺ちゃーん、ログインしたよー」
「おう、そっちに向かうぞい」
翌日の月曜日、源三郎は昼の間は連邦と同盟間の交易や貨客ミッションで金策して時間を潰し、学校が終わってギャラクシースターオンラインにログインした彼方達と合流する。
「お爺ちゃん、今日も朝からログインしてたの? カンパニーウォレットにお金かなり貯まってるよ」
「昨日は何だかんだとハウジングで散財したからの。遅くまでログインしてずっと家具配置してたわ」
ログインしてカンパニーオフィスの端末を弄っていた彼方がそんなことを言ってくる。
「私も少々夢中になりまして家族に怒られました」
「私も彼方も寝不足で欠伸ばっかりして先生に注意された」
「わーっ! ノエルちゃん、それは黙っててーっ!!」
源三郎が遅くまでハウジングにハマつていたことを述べると彼方達3人も寝不足になるほどログインしていたと白状し、秘密をばらされた彼方はノエルの口を塞ごうとじゃれつく。
「それよりも、今日の配信で皆のルーム紹介したいけど、お爺ちゃんは大丈夫?」
「うむ、終わらせたが………彼方達は?」
「私たちも昨日で終わらせたよ」
「家具の種類多くてなにを置くか本当に迷った」
「私はテーマを決めていたので、そこまで迷いませんでした」
彼方が今日の配信の大まかな流れを伝え、残りのメンバーで細かいところを整えていく。
「よしっ! それじゃ外で配信開始しようかっ!」
今回の配信内容が決まると彼方はカンパニーオフィスから退出して外に出る。
「君達、ここにいたのか」
声を来てきたのはNPCのモルガンだった。
「あれ、モルガンさんどうしたんですか?」
「以前私設刑務所で祖父の遺品を受け取った時、座標とカードキーを手に入れましたでしょう? 座標の場所がわかったので、ついてきてほしいのです。ただ、財宝は元々はステーションの住民のものですので、一割の謝礼以外は連邦に返還します」
「ストーリークエストの続きが発生したっぽいね」
「どうします?」
「また配信開始してないし、こっちに変えようか」
「わしゃ構わんぞ」
最初はフリージアカンパニーメンバーのハウジングを配信で紹介する予定だったが、NPCモルガンとの再開で急遽ストーリークエストの紹介に配信内容を変更する。
「そのクエスト受けます」
「助かるよ。座標はタスケン星系にあるアステロイドベルト帯にある放棄された採掘ステーションだ。長い間放棄していたから海賊か何かが住み着いてそうで一人でいくには心細かったんだ」
彼方がクエストを承諾すると、ストーリークエストが発生し、目的地である放棄された採掘ステーションに向かえとクエストタスクが表示される。
「それじゃあ、出発する前に配信を開始するね」
彼方は自分のサポートロボットを起動して撮影用のカメラを呼び出す。
「皆さん今晩は! 彼方です!」
「土曜日の大規模戦闘は凄かったね! ノエルだよ」
「皆様今晩は、鈴鹿です」
いつものように配信が始まり、彼方達が視聴者に向けて挨拶する。
「今日は新しく買ったカンパニーメンバーのハウジングルームを紹介しようと思ったんだけど、以前受けた私設刑務所まで行くクエストの続きが始まったので、そちらを紹介しまーす」
「クエストは時間経過で向こうから声かけてくるみたい」
「今回のストーリークエストは前回の私設刑務所で手に入れた座標が何処なのかがわかり、これから向かいます」
彼方達は今回の配信の趣旨と、クエスト内容を解説する。
「その前に、またカンパニーの研究プロジェクトが完了したのがあるから伝えるね」
「まずは【自動探索プロトコル】、アノマリー探索で見つけたアノマリーの解析速度が速くなるよ」
「アノマリー探索ミッションは色々と宇宙の不思議が知れて楽しいですから、このプロジェクトはありがたいですね」
彼方達はストーリークエストを開始する前にフリージアカンパニーがアンロックした研究プロジェクトの解説を始める。
「次は【生命活性剤】と言う物で、プレイヤーキャラクターのヒットポイントを回復するアイテムの回復量が増えます」
「地上戦闘メインのカンパニーならあって損はないかも?」
「わし個人が嬉しいのはこれじゃな。【遺伝子管理健康】、前提条件としてゲノムマッピングをアンロックしてないと着手できぬ。効果はプレイヤーキャラクターのヒットポイントを増幅して、状態異常抵抗を上昇させる」
「カンパニー作った時にプロジェクト開始してやっと今回アンロックされたのが【ハイパースペース航法】、ワープ距離が伸びて、ワープ開始までの時間を短縮するの」
「今回はこの4つだけだけど、徐々にカンパニーが強くなっていく実感を感じるね」
「これまでフリージアカンパニーがアンロックした研究プロジェクトは概要欄とHPに掲載していますので、よろしければご確認ください」
「それじゃあ、ストーリークエストの目的地に向かいまーす!!」
アンロックした研究プロジェクトの解説が終わると、源三郎達は今回のストーリークエスト目的地であるアステロイドベルト帯にある放棄された採掘ステーションに向かう。
「あれが目的地の放棄された採掘ステーションかな?」
アステロイドベルト帯の小惑星を避けながらクエストマーカーを目指すと、源三郎達が操縦する宇宙船のメインモニターにボロボロの独楽の形をしたステーションが佇んでいた。
さらにステーションに近づけばあちこち錆びており、デプリであちらこちらに穴が開いていたり、外装がぼこぼこにへこんでいる。
配信視聴者の一人がここに来たことがあるのか、怪しかったから調べたけどなにもなかったとコメントを書き込む。
「ここから見る限りじゃ稼働していないね」
「視聴者さんも調べてみたみたいだけど、クエストマーカーはステーション内部に向かってるね」
源三郎が遠くから様子を伺う限りでは、採掘ステーションは稼働しておらず、人の出入りもなさそうに見える。
「スキャニングしてみたが、外側からはなにも情報を得られんようじゃな」
源三郎のヘカトンケイルが放棄された採掘ステーションをスキャンするが、稼働してないと言う情報しか得られない。
「取りあえずあそこにハンガードッグあるからいってみよう」
船の離着陸できる場所があり、源三郎達はそこに船を停泊させると下船してステーション内部に足を踏み入れる。
「どうやら酸素もなく、電気も通っておらんようじゃな」
ステーション内部に酸素も人工重力もなく、宇宙服のヘルメットからのライトだけが光源となっていた。
「ここに祖父が隠したかもしれない財宝があるんでしょうか?」
同行しているモルガンはステーション内部の荒れ模様に、祖父の隠し財宝が本当にあるのかと疑惑を抱く。
ステーション内部も荒れ果てており、かつては採掘者達で賑わっていたと思われる場所も今は回収するまでもないガラクタなどか空中を漂っている。
「ねえ! このゲートだけ予備電源あるのか、稼働してるし、カードキー差すところがあるよ!!」
クエストマーカーにしたがって採掘ステーション内部を進んでいくと、採掘エリアに続くゲートにたどり着く。
セキュリティスキルの高いノエルがゲートを調べると、カードキーを挿入する場所を見つける。
「………入れてみます」
NPCのモルガンが恐る恐ると言った感じで私設刑務所で手に入れたカードキーを挿入する。
すると、ブゥゥゥンとジェネレーターが再起動する音が響いて錆び付いて軋みながらゲートが開いていく。
ゲートの向こうは下り坂になっており、斜め下に降りるための巨大な搬入用のエレベーターと死に戻り用のクローン施設があった。
そのエレベーターに乗って降りていけとクエスト内容が更新されて、クエストマーカーもエレベーターの操作盤に向かっている。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか、見物じゃのう」
「その前にクローン施設に復活登録しておかないと」
源三郎達はクローン施設に登録をすると、エレベーターを起動させてゆっくりと下層エリアへと向かっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます