第57話 お爺ちゃん、大規模戦闘のリザルドをする
「む? ここはステーションか?」
海賊の戦艦に特攻して爆発に巻き込まれた善三郎。
画面が切り替わったような感覚で気がつけばヘカトンケイルのコクピットではなく、ステーションのクローン施設にいた。
「お爺ちゃん、おつかれー」
「全員戻ってきてると言うことは、大規模戦闘は終わったのか?」
「うん、お爺ちゃんがあの戦艦を撃沈させたラストアタッカー」
クローン施設からでてステーションの中央ロビーに向かうと、大規模戦闘に参加していたプレイヤー達が集まっており、源三郎の姿を見た彼方が声をかけてくる。
「大規模戦闘お疲れさまでした。拙い指揮でしたが、皆様のご協力で無事に大規模戦闘を終わらせることができました、ウォーモンガーカンパニー代表として、参加したプレイヤーの皆様に深くお礼申し上げます」
総合チャットルームではウォーモンガーカンパニーの代表であるアドンが締めの挨拶をしていた。
「おう、源三郎のじいさん!」
「お疲れさま」
アドンの挨拶を聞いていたら、リョーマと隼人がこちらにやってきて話しかけてくる。
「おつかれさん。そういえば撃墜数勝負はどうなったのかのう?」
「それなら俺と隼人で話し合ったけどな、戦艦を落とした源三郎のじいさんの勝ちってことで」
「実際ラストアタッカーですしね。おめでとうございます」
源三郎がリョーマ達と行った賭けを思い出して口にすると、リョーマと隼人の二人は戦艦を撃墜させた源三郎の勝ちでいいと答える。
「それよりも、ラストアタックの報酬見せてくれよ」
「ラストアタック? 確かに何か手に入れておるのう」
リョーマにドロップ品を見せてくれと言われて源三郎は自分の戦闘ログとインベントリを確認する。
戦闘ログでは戦艦を撃沈させた時にラストアタックボーナスが支払われた的な事が表記されており、インベントリには見覚えのない設計図があった。
「宇宙船用のユニーク武器の設計図じゃな。あの戦艦が使っていた主砲のようじゃ。アダマンティンを合金にした素材をいっぱい使わないと作れないが」
「宇宙船のユニーク武器ですか、主催者側はイベントキーボーナスとしてテック4の戦艦設計図が貰えたそうですよ」
「アダマンティンとか知らない材料だな?」
源三郎が設計図の内容を確認してその場にいるメンバーに知らせる。
隼人はさすがレイドボス報酬だと感心しながら、今回の大規模戦闘主催であるウォーモンガーカンパニーには戦艦の設計図が手に入ったと伝え、リョーマはアダマンティンを知らないのか首を捻る。
「アダマンティンと言えば最近お爺ちゃんが見つけた鉱石だね」
「へー、どこで見つかるんだ?」
「アノマリー探索ミッションでごく稀に。たただ、テック3ぐらいの採掘船持ってないと掘れんぞ」
「うへ、俺そう言うの苦手なんだよな。戦闘ミッションでドロップしないかな?」
源三郎がアダマンティンが見つかる場所をリョーマに教えると、リョーマはめんどくさそうに愚痴る。
「大規模戦闘はイベント主催者とレイドボスラストアタッカーにボーナスがあるのがわかってよかったのう」
「今後はレア報酬目的に適度に開催されるといいね」
「いつか私達のカンパニーでも主催してみたい」
「大規模戦闘の発動キーはどこで手に入るんでしょうか?」
「今は完全ランダムのようですね。私のカンパニーでもストーリークエストやアノマリー探索ミッションで見つかった貨物コンテナからでたり、戦闘ミッションのMOBからドロップしたり」
彼方達が大規模戦闘のイベントキーの入手方法について話し合っていると、隼人が大規模戦闘のイベントキーをどこで入手できるか教えてくれる。
「んー、あれこれやってるけど、私達は見つけてないなぁ」
「かなり低確率ドロップなのでしょうか?」
「俺はこれまで何度か戦闘ミッションやってて2回手に入れたぜ。バグ修正前で使えなかったから売ったけど」
「それはもったいないことしたのう」
ノエルと鈴鹿がドロップ率の話をしていると、リョーマが大規模戦闘のイベントキーを手に入れた回数を言う。
「以上を持ちまして、大規模戦闘を終了とします。長い時間お付き合いいありがとうございました! お疲れ様です!!」
源三郎達が大規模戦闘のイベントキーのドロップ率に関して話し合っている間も総合チャットルームではアドンの挨拶がつづいており、イベントの閉会挨拶を終えると、大量のお疲れコメントが総合と各自組分けチャットに洪水のように流れていき、各自解散していく。
「大規模戦闘は時間かかるけど儲かるな」
「イベントに参加しただけで100万クレジット、ウェーブ1~3まで戦った敵のドロップ品全部売れば総額で私は500万クレジットになりましたね」
「わしはこのユニーク武器の設計図分儲けが加算か」
リョーマと隼人の会話を聞いて源三郎がインベントリを確認すれば参加費とドロップ品が入っていた。
「それじゃあ俺は落ちるよ」
「私もイベントではしゃぎすぎましたね」
リョーマと隼人がそう言ってログアウトする。
「と言うわけで今日の配信はここまで!」
「皆大規戦闘すごかったよね」
「楽しかったですけど少々疲れました」
彼方達も配信の締めにはいる。
コメント欄では別サーバーのプレイヤーが参考になったと言っていたり、源三郎のラストアタックが格好よかったなどスパチャをつけてコメントしている。
「明日はちょっと配信お休みします」
「たまにはゆっくり遊びたいなと思っててね」
「月曜日からまた配信しますのでお待ちください」
「それでは皆さんお疲れさまでした。私のチャンネルが面白かったならチャンネル登録と高評価よろしくお願いします」
彼方は明日の配信を休むことを告知してお辞儀をして配信を終了する。
「それじゃあ私達もログアウトするね」
「日付変わる前におちれてよかった」
「彼方のお祖父様もあまり夜更かしはいけませんよ」
「おう、おつかれさん。さて、船を回収せんと………」
彼方達がログアウトしたのを見送ると、源三郎は探索船に乗り換えてヘカトンケイルが撃沈した宙域へと向かう。
「わしと同じく破壊された船の回収しとるプレイヤーが多いの」
大規模戦闘があった宙域には破壊された船を回収するプレイヤー達でごった返していた。
「そういえばロボや、確かプレイヤーの船が落とされたらアイテムも落とすのではなかったのかの?」
「お答えします、ユーザー。大規模戦闘など激しい戦闘が繰り広げられるイベントの場合は特別ルールとして撃沈してもアイテムを落としません」
源三郎はふと、チュートリアルの時に船が破壊されたドロップ品などアイテムを落とすと聞いたのに落としていないことを思い出して、サポートロボットのロボに質問する。
ロボは大規模戦闘などのイベントの時はペナルティが軽減されると答えてくれた。
「修理費も高いのう………払えなくないが」
撃沈したヘカトンケイルの残骸をトラクタービームで回収してステーションの修理工場に持っていくと、結構な金額の修理費を求められて源三郎は思わず愚痴る。
「これも時間がかかるのか。大規模戦闘で復帰が間に合わないプレイヤーがいたのも道理じゃな」
「ユーザー、課金アイテムで修理時間を短縮できます」
修理を承諾すると修理完了までの時間が表示され、源三郎が愚痴るとロボが課金ページを表示して修理時間を短縮する課金アイテムを勧めてくる。
「いらん。このままログアウトして明日になれば修理も終わっとるわい」
源三郎はそう言うとログアウトした。
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