第49話 お爺ちゃん、ソロモン自由同盟領域で遊ぶ
翌日、何時ものように朝食と洗濯や掃除を終えた源三郎はギャラクシースターオンラインにログインする。
「さて、せっかくソロモン自由同盟領域にいることじゃし、何かミッションでも受けるかの」
源三郎は惑星デネブの居住地拠点にあるミッション端末で面白そうなミッションがないかとアクセスする。
「デューティーミッション? ロボやこれはどんなミッションじゃ?」
「お答えしますユーザー、デューティーミッションとはミッションを受けたユーザーがキャンセルするまで延々とウェーブ戦闘が続くミッションです。ウェーブ回数が多くなるほど敵も強く、報酬も上がります」
源三郎がミッション端末にアクセスしていると、戦闘ミッションで見慣れない内容とタイトルのミッション名を見つけてサポートロボットのロボに質問し、ロボが源三郎の質問に答える。
「ふむ、物は試しじゃ受けてみるかの………ん? ルーム作成?」
「デューティーミッションはインスタンスダンジョンのような特別なエリアを作ります。ユーザーがルームを作製し、一人で、フレンドと、誰でも途中参加可など設定を選べます」
源三郎がデューティーミッションを受けると、ルームを作製するか、既存のルームに参加するかどちらかを選ぶ画面が表示され、ロボがルームについて説明する。
「出入り自由で開いてるルームがあるのう、ここにお邪魔してみるかの」
「ルームを作製、もしくは参加するとインスタンエリアにワープするゲートが発生しますので、そちらに飛び込んでください」
源三郎が出入り自由のデューティーミッションルームに入室すると、ロボがインスタンスエリアへの入り方を説明する。
ペロペロ:「お、新規さんだ、初めましてー」
たかやん:「もうすぐウェーブ始まるのでお早めに」
コロッケそば:「よろー」
ルームに入室すると、先に遊んでいたプレイヤー達からテキストチャットでの挨拶が飛んでくる。
「初めまして、デューティーミッション始めてです」
「トロールじゃなければNP」
「誰でも最初は初めて」
「俺ドローンヒーラーだからフォローはいれます」
源三郎はワープゲートに向かいながら、チャットで初参加であることを知らせると、他のプレイヤー達はフォローするように温かく迎えてくれる。
「おー、来た来た。てか、グラップラーシップじゃん!」
「スゲー、テック3のグラップラーシップとかはじめてみた」
「ほう、斬鑑刀二刀流だけでなく、オートタレットやミサイルランチャーも搭載ですか、トロールではないようですね」
源三郎がワープゲートを潜り抜けてデューティーミッションエリアに到達すると、先にいた3人のプレイヤーが源三郎の宇宙船を見てコメントを述べる。
「グラップラーシップはダメでしたかの?」
「いや、問題ないよ」
「ちょっと珍しかっただけ」
「効率より楽しむの優先」
源三郎は自分が操縦する船で騒ぐ三人を見て迷惑かと質問すると三人は問題ないと答える。
「次のウェーブ始まるまでまだ時間あるから自己紹介でもしようか。言い出しっぺの俺から、名前はペロペロ、ウォーモンガーカンパニー所属、船はテック3の拠点防御船ウォール。バリア機能を強化してるからそう簡単にはやられないぜ」
ペロペロが自己紹介を始め、船の性能を伝える。
船はハンマーシャークのような形で、拠点防御用と言われるだけあってテック3戦闘船の中では最強の防御力を誇るが、武器スロットと速度が犠牲になっている。
ペロペロはさらにアーマメントで防御力を強化しており三人の中でタンクを担当しており、距離は短いがロック数の多いミサイルランチャーを装備していた。
「次は俺かな? たかやんだ。ペロペロと同じくウォーモンガーカンパニー所属で、テック3の狙撃型宇宙船ウィリアムズに乗ってる」
次に自己紹介をしたのはたかやんと言うプレイヤーで、戦闘機の下腹部にロングライフルが搭載されている宇宙船。
狙撃特化と言ってるだけあってアーマメントもスキャニングとジャミングに特化している。
「俺はコロッケそば、名前の通りコロッケそばが大好きです。船はテック3エイリアンロストシップのゴーラ、ドローン主体でポジションはバッファーかな」
「エイリアンロストシップ?」
3人目のコロッケそばと名乗った人物もウォーモンガーカンパニー所属だった。
そのコロッケそばが操縦する宇宙船は有機体で出来た芋虫のような宇宙船で背中にはフジツボみたいな物が無数にあった。
「アノマリーやストーリークエスト報酬で手に入るエイリアン文明が作った設定のレア宇宙船。テック+1の性能あるけど、デメリットは装備とアーマメント固定、破壊された時の修理費が2.25倍。あとどのタイプの船が手に入るかはランダム」
「ほー、そんな宇宙船があるんですな。ところで申し訳ないですが、トロールってなんですかの?」
源三郎はコロッケそばからエイリアンロストシップについて説明を受けながら、何度か話題に出たトロールについて質問する。
「源三郎さんはネトゲ初心者? トロールと言うのは意図的に全体に迷惑行為を行う行為のスラング」
「無意識や初心者故に迷惑かけた場合はヌープと言って、まあイエローカード的な意味合いかな?」
「他に質問ないならそろそろ準備して。フェーズ始まるぞ」
そんな話をしている間にデューティーミッション開始時間が迫り、コロッケそばが声をかける。
「源三郎さんはグラップラーシップだし、俺が引き付けるからある程度近づいてきたら攻撃してくれ」
「了解じゃ」
「ジャミングドローン射出!」
「エネルギーチャージャー! 一発目は任せろ!!」
宇宙空間に数字が現れデューティーミッションが始まるカウントダウンが開始される。
タンカー役のペロペロが源三郎に指示を出し、コロッケそばがフジツボ部分から生体兵器みたいなドローンを射出していく。
たかやんはロングライフルのエネルギーを溜め込み、銃口にエネルギーの塊が現れる。
カウント0と同時に無数の海賊船が現れて源三郎達に襲いかかってくる。
「たかやん!」
「オッケー!!」
ペロペロの号令を受けて、たかやんのウィリアムズに搭載されたロングライフルからビームが放たれる。
ウィリアムズから発射されたビームは戦闘の海賊船を一瞬で蒸発させ、減退しないまま後方の海賊船を複数巻き込み壊滅させる。
「凄い威力ですな」
「チャージ時間がネックだけど、今回みたいに出てくる場所とタンカーがいればかなり強いぞ」
「すぐに2陣がくるぞ! たかやんはチャージ! その間は源三郎さんと俺でおとす!」
ウェーブ第1陣はたかやんのロングライフル一発目で片付いたが一息つく間もなく第2陣の海賊船が現れる。
「チャージ中は任せましたよ、ペロペロ、源三郎さん」
「おおっ!」
「うむ!」
「ダメージ受けたらすぐもどってくださいね。ドローン出しますから」
チャージ中のたかやんは後方に下がり、源三郎のヘカトンケイルとペロペロのウォールが前進する。
「源三郎さん、やばくなったらいつでも下がっていいからな。下手に落とされた方がこのデューティーミッションだと迷惑になる」
「わかりました」
スピード性能差で徐々にウォールとの距離が離れていくヘカトンケイル。
源三郎はペロペロの通信に答えながらヘカトンケイルに搭載されたレールガンのオートタレットが範囲内に入ってきた海賊船に攻撃していく。
「おして参る!」
源三郎はグラップラーアームを起動して斬鑑刀を抜刀し、ヘカトンケイルのアフターバーナーと斬鑑刀のブースターを起動して海賊船の群を突き破って行く。
「おおっ! グラップラーシップって意外と強いな!!」
「俺のロングライフルと威力同じぐらいか?」
「距離を詰めないといけないけど、ハマると強いな」
源三郎が操縦するグラップラーシップのヘカトンケイルの攻撃を見てウォーモンガーカンパニーの3人が感想を述べる。
源三郎は海賊船の艦隊を突き抜けるとUターンして、生き残りに向けてミサイルを発射していく。
「やっべ、俺の仕事ないかも」
源三郎の暴れっぷりをみたペロペロがそんな独り言を呟いていた。
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