第47話 お爺ちゃん、エイリアン言語学者を助けにいく


 行方不明になったエイリアン言語学者を探し、ソロモン自由同盟領域にやってきた源三郎達はエイリアン言語学者がいたと言われるクノックス星系の惑星ゼノスへと降り立った。


「あ、あそこに建物があるよ!」

「ふむ………エイリアン言語学者さん達の前哨基地かの?」


 六輪式装甲車両ウォーカーで惑星ゼノスの荒野を走っていると、遠くに壁に囲まれた建物が見えてくる。


「ゲートが閉じておるの」

「誰もいないのかな?」


 建物に近づくと正面ゲートが閉じたままで、源三郎達が乗るウォーカーが近づいても建物側からは何のアクションもない。


「クエストマーカーはこの建物の中っぽいよね?」

「キャノンでゲートを撃つわけにもいかんしのう………」

「ゲートの脇に勝手口みたいなのあるし、そっち調べてみない?」

「ここにいても進展無さそうですし、調べてみましょう」


 源三郎達はウォーカーから下車すると、ノエルが言う勝手口にむかう。


「鍵かかってるけど、私のセキュリティスキルで開けれるね」


 ノエルが勝手口を調べると、ドアには鍵がかかっている。

 ノエルはデジタルピックを取り出して勝手口のドアを解錠して、前哨基地の中をドアの隙間から覗き込む。


「見える範囲には誰もいないよ」

「ふーむ………全員遺跡にいるのか?」

「取りあえず手がかりがないか調べようよ」

「そうですね、お邪魔します」


 源三郎達は前哨基地の中に入る。

 前哨基地内部は右手に建物、左手に資材置場と言うシンプルな場所。


 武器を構えて建物へと近づき、源三郎は入り口から内部を確認する。


「うっ………これは最悪な事態かもしれんのう」

「全員レーザー系で殺されています」


 建物の中は凄惨と言う言葉が似合う状況だった。

 何者かの襲撃を受けて建物にいた人達は全員殺されており、建物内部も荒らされており、死体を確認していた鈴鹿がレーザーで撃ち殺されたと伝えてくる。


「ここの遺跡に関するデータがほとんど奪われてるよ。残っていたのはこの惑星の別地点だと思われる座標データだけだね」


 建物内にあったパソコンなど調べていた彼方がそう言うと座標地点へ向かえとクエストが更新される。


「無事な貨物コンテナからアイテム回収したら向かうとするかの」


 死屍累々の建物内で源三郎が貨物コンテナや死体からドロップ品を回収していく。


 配信のコメント欄ではゲーム的には問題ないけど、絵面が追い剥ぎに見えないとか書かれていた。


 ドロップ品を回収した源三郎達はクエストマーカーに従って次の目的地へとむかう。


「あっ! お爺ちゃんあれみて!!」

「宇宙船はこちらに気づいてないのか去っていくのう」

「でもクエストに変化はありませんね」

「とりあえず、進もうか」


 彼方が目的地方面から大気圏外へと飛び去る

蓑虫型宇宙船を目撃して指をさす。

 源三郎達は装甲車両を止めてどうするか話し合うが、クエストに変化がないので先へと進む。

「あの山が目的地みたいだね」

「ふむ、山の中に遺跡があるのかの?」


 クエストマーカーに従って進んでいくと、遠くに山が見えてくる。


「警告! ミサイルが来ます!!」

「なんじゃとっ!?」


 去っていく宇宙船を目撃した源三郎達がクエストマーカーゴール地点と思われる山に向かうと、ウォーカーの電子音声が警告を発し、同時にミサイルが飛来してくるのが見えた。


「おっ、お爺ちゃん回避っ!!」

「全員しっかり捕まれ!!」


 バック走行でミサイルから逃げながらガトリングで弾幕を張る源三郎。

 弾幕の壁に阻まれてミサイルは撃墜されて爆発する。


「いったいどこからっ!?」

「あそこ!」


 彼方達がミサイルがどこから撃たれたか探していると、ノエルが指を指す。

 山の入り口のトンネル前にバリケードなどで陣地を構築した武装集団がいて、その中の一人がミサイルランチャーを担いでいた。


「キャノンで蹴散らす!」

「お爺ちゃんやっちゃえ!!」


 ウォーカーのキャノンでトンネル前に構築された陣地を破壊する。

 陣地にいる武装集団も負けじと銃で応戦したり、ミサイルランチャーをまた構える。


「ミサイルがまた来るよっ!!」

「キャノンは再装填中で撃てませんっ!!」

「全員しっかり捕まってろ!!」


 源三郎はブースターを点火してガトリングを乱射しながら敵の陣地に突っ込む。

 バリケードを突き破り、ミサイルランチャーを構えてた敵を撥ね飛ばす。


 装填されていたミサイルランチャーは撥ね飛ばされた勢いで発射され、敵側の陣地の一部に着弾して爆発炎上する。


「応戦するぞ!」

「はい!!」


 ピストルポートと呼ばれる車内から外を攻撃出る穴から応戦する彼方達。


「推して参る!!」


 後部ハッチからメタルヒーロー姿になった源三郎が刀を片手に飛び出し、武装集団に突撃する。


「相変わらずお爺ちゃん、地上戦では強いなぁ」

「周囲の瓦礫やバリケードを利用して遮蔽をとりながら斬っていきますね。RTPが高くても真似できませんよ、あれ」

「彼方のお爺さんだけ、無双ゲームっぽいよね」


 装甲車両内から応戦している彼方達が、八面六臂の活躍をする源三郎をみて感想を述べる。

 彼方達が言うように源三郎は武装集団の攻撃を瓦礫やかろうじて残っているバリケードを利用してしのぎ、這うような独特の走法で近づくと、急所部分を刀で突き刺し倒していく。


 源三郎の無双は配信の視聴者的には好意的で盛り上がり、スパチャもどんどん振り込まれていく。


「ふう、これでぜんぶかの?」

「お爺ちゃんお疲れー」


 山の前にいた武装集団を壊滅させると、源三郎は髭を弄りながら生き残りがいないか死体に刀を二度刺して死んでることを確認していく。


「どうやらこいつら、自由同盟側で暴れてる海賊達じゃの」


 武装集団の死体からドロップ品を確認していると、命令が書かれたデータパッドが出てくる。


 命令の内容はこの遺跡で見つかったエイリアンの遺物と言語学者を拐ってこいと言う内容だった。


「あの船追いかけないといけないか?」

「ううん、こっちの通信ログを調べたら言語学者さんは遺跡に籠城していて、遺物だけ先に送ったみたいだよ。まだクエストマーカーも動いてないし、クエスト内容も更新されてないもん」


 命令書をみた源三郎は宇宙船が飛び去った方向を見ながら無意識に刀の血糊を払う仕草をする。


 陣地にあった通信機を調べていた彼方がエイリアン言語学者がまだこの惑星にいることを知らせる。


「それよりもこの武器誰が使う?」

「ミサイル関連のスキルを持ってるノエルさんが使うのがよいかと」

「でもこれそんなに弾薬ないんだよね」


 ノエルはドロップ品から手に入れたミサイルランチャーを片手で持ち上げて聞き回り、ミサイルランチャーの性能と必要スキルを確認したした鈴鹿がノエルに勧める。


「取りあえずこの山のトンネルは車では進めないようじゃな。徒歩でいくかの」

「はーい!」


 山のトンネル前に陣取っていた海賊達を倒し、源三郎達はトンネルを進んでいく。


「下に降りるエレベーターか………」

「クエストマーカーはこの下っぽいね」


 トンネルの執着地点に建築現場などで使われるタイプのエレベーターが設置されており、下におりれるようになっている。


「本来は何処かに向かって電源を復旧させないといけないようでしたが、私のスキルで再起動できました」

「スキルの有無でクエストショートカットできるのいいよね」


 エレベーターを調べていた鈴鹿の報告を聞いて彼方が配信視聴者に話しかける。


「よし、進むぞ」


 源三郎達がエレベーターに乗り込み、地下へとおりていく。


「周囲の風景が変わってきたね」

「ここがエイリアンの遺跡エリアでしょうか?」


 最初は土を掘って出来た穴の中を降りていたが、徐々に人工的な壁に変わっていき、エイリアンの言葉と思われる記号が彫られたレリーフやこの惑星にいたエイリアンかと思われる顔の像がちらほらと見受けられる。


「これがエイリアンか? 鳥人間に近いのう」


 エレベーターを降りる途中で見かけた像をみた源三郎が感想を述べる。

 像の顔の形は鳥の頭に人間の体を付け足したような造形だった。


「ぬおっ!?」

「きゃっ!?」


 エレベーターの操作盤がスパークしたかと思うと、中途半端な位置でエレベーターが止まる。


「エレベーター壊れちゃったね」

「この高さなら降りれるじゃろ」

「いや、さすがに高いよ」

「わたしもちょっと………」


 彼方は煙が吹いてるエレベーターの操作盤を弄るが反応しない。

 源三郎はエレベーターのゲートを開けて下をのぞきこむと飛び降りるのを提案するが、彼方達3人は無理だと首を横に振る。


「わしが先に降りて受け止めてやろう。このままここにいても埒があかんじゃろ」


 源三郎はそう言うと先に飛び降りて、苦もなく着地する。


「ほれ、降りてこい」

「じゃあ、私から。えいっ!」


 彼方が飛び降りると源三郎がお姫様抱っこで受け止めておろす。

 同じように飛び降りてきたノエルと鈴鹿を抱き止めて下ろし源三郎達は遺跡の奥へと進んだ。

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