第41話 お爺ちゃん、孫達とアノマリー探索ミッションする


「それじゃあ、今度はサービスに投資するね」


 彼方は行政サービスに100万クレジット投資する。


「あ、値段が変わったけど………雀の涙程度だね」

「ふーむ………回数をこなせば恩恵もでかいじゃろうが………ロボよ、他のステーションで恩恵受けたい時はどうするんじゃ?」


 彼方がサービスに投資すると、マーケット商品の値段が気持ち安くなった。

 それをみていた源三郎はサポートロボットのロボに質問する。


「お答えします、ユーザー。別ステーションで投資サービスを受けるなら3つパターンがあります。1つはカンパニー本社を目的のステーションに移転させることです」

「ふむ、デメリットは」


 サポートロボットのロボは源三郎の質問に答え、源三郎は質問を続ける。


「はい、デメリットは移転することで、移転前のステーションでの投資効果が一部リセットされます」

「一部?」

「はい、施設投資の商品増加はそのままですが、特殊施設の恩恵は解除されます。また研究投資は完了した研究効果は継続されますが、研究中の物は時間がリセットされます」


 サポートロボットのロボはカンパニー本社を移転した場合のメリット、デメリットを答える。


「ふむ、他の方法は?」

「2つ目は目標のステーションにカンパニー支店を作ることです」

「つまり、バベルステーションが我々の本社所在地で、別のステーションが支店所在地ということか?」

「その認識であってます」


 サポートロボットのロボは2つ目の方法を説明する。


「デメリットは?」

「投資箇所が増えることです」


 源三郎がデメリットに関して質問するとロボはそう答える。


「3つ目は?」

「別のカンパニーとアライアンスを汲むことです」

「アライアンス?」


 源三郎が3つ目をの方法を聞くとロボが答え、話を聞いていた彼方が聞き返す。


「アライアンスとはカンパニー同士が組む同盟です。盟主による許可が必要になりますが、同盟先のカンパニー拠点があるステーションの投資恩恵を受けることもできます」

「支店と違って、同盟したカンパニーが投資した恩恵を受けれるのか。一番メリットが大きく思えるの」

「同盟主の方針にもよるかな? 私達はPVPとかはあまりしたくないなあ」


 ロボから3つ目の方法を聞いて源三郎は髭を弄りながらウンウンと頷き、彼方は同盟先の方針に気を付けないといけないと思っていた。


「研究だけど、最初の投資で研究が始まって、追加の投資で研究時間がどんどん短くなるみたい。あと、前提条件の研究をアンロックしていないと着手できない研究もあるって」

「どれから着手するか悩むね」


 彼方は研究施設投資に関して再度説明し、ノエルは研究施設投資一覧をみて悩む。


「まずは一番上のゼロG研究施設が宜しいかと、こちらを開発すると、今後の研究や生産の必要時間が短縮されますし」

「うーん、それでいいか!」


 鈴鹿が指定した研究プロジェクトに彼方が投資すると、必要時間のカウントダウンが開始される。


 効果は人工的に無菌、無酸素、無重力空間を作り、そこで製造や研究を行うプロジェクトと説明テキストに書かれている。


「もう1回投資すると、そこそこ時間が短縮されたね」


 試しに彼方が追加投資すると、0G研究施設のプロジェクト完了時間がさらに短くなり、残り30分ほどで完了する。


「お爺ちゃんからのお小遣いはまだあるから、残りはどれに投資する?」

「私は施設かな? 取引量が増えるのもいいし、追加アイテムが気になる」

「私といたしましては、他の研究プロジェクトに投資するべきかと」


 彼方、ノエル、鈴鹿の3人はどの部門に投資するか話し合い、残りの資金をそれぞれの投資に注いでいく。


「取りあえずカンパニー投資についてはこんなところかな?」

「カンパニーの方向性で何処にどれだけ投資するか悩みますね」

「取りあえず、テック3船が販売されるようになったのは大きいね」


 源三郎から貰った資金でバベルステーションに投資していき資金が尽きる。


「今後はストーリーミッションだけでなく、金策とかしないといけないね」

「いつまでも彼方さんのお爺さんに頼ってばかりではいけませんし」

「あと、カンパニーや私達のハウジングルームも飾りたいよね」


 投資を終えたあとはまったり雑談タイムが設けられ、彼方達が今後の活動方針を話し合う。


「取りあえず残りの時間はお爺ちゃんが教えてくれたアノマリー探索ミッションに挑戦してみよう!」


 ある程度話し合いが終わると、まだ配信終了時間までまだ余裕があり、彼方がアノマリー探索ミッションに挑戦することを提案する。


「なにそれ?」

「正式サービスで追加された探索ミッションだって」

「でも私達、探索系の船持ってませんよ?」

「そこは大丈夫、お爺ちゃんが持ってる。だよね?」

「うむ、フレンドさんから売って貰ったやつじゃが」


 軽く配信視聴者にアノマリー探索ミッションがどんなものか彼方が説明すると、早速端末からミッションを受領限界まで受けていく。


「それじゃあ、早速しゅっぱーつ!」

「おーっ!」


 彼方の元気な号令に返事して源三郎達はチームを汲んで最初のアノマリー反応があった座標へと向かう。


「貨物コンテナか………」

「外れ?」

「中身によるな」


 アノマリー探索ミッション1回目の発見物は、宇宙空間に漂う貨物コンテナ。


「鍵がかかっておるの」

「じゃあ、私の番だね」


 源三郎がスキャニングすると、貨物コンテナには鍵がかかってることがわかる。

 ノエルの船が貨物コンテナに近づき解錠を試みる。


「オッケー、開けたよ。中身は交易資源だね」

「私はクレジット」

「うげっ、私は密輸品………」

「わしも交易資源じゃな」


 解錠が成功した貨物コンテナにそれぞれがアクセスすると、別々のアイテムを手に入れる。


「そういえば、密輸品のクエストもあったね」

「あ、密輸用の装備したらまた会いに来いって言ってたやつ?」

「その密輸用のアーマメントも今なら買えますね」


 彼方は貨物コンテナから密輸品が出てきたことで、バベルステーションの密輸クエストのことを思い出す。


「そのクエストも着手しないと。とりあえず今回は密輸装備ないからこの密輸品は諦めて次の座標へ行こうよ」


 その後も貨物コンテナばかり発見していく。


「収支はプラスだけど、貨物コンテナばかりじゃつまらなーい!」

「そうは言ってもこいつはギャンブルじゃからのう」

「次で私達が今回受けたアノマリー探索ミッションは最後です。残り物には福があるといいますし」

「まあ、儲かってるしいいじゃん」


 またアノマリー反応があった場所には貨物コンテナが漂ってるだけで、彼方が不満を述べて、源三郎達が宥めながら最後のアノマリー反応があった座標へと向かう。


「次は期待できそうじゃぞ」

「ほんとにぃ~?」


 次の反応座標が宇宙空間ではなく、タスケン星系にあるガス惑星をの周囲を周回する衛星の1つが座標が示す位置だった。


「ユーザー、この星にある亀裂は自然に出来たものではありません」

「ほう?」

「どういうこと?」


 アノマリー反応があった衛星へと向かうと、衛星の地表に巨大な亀裂が縦横無尽に走っていた。


「あの亀裂、なんとなく文字に見えません?」

「言われてみればそう見えるかも?」


 亀裂を見ていた鈴鹿が指摘すると、配信のコメント欄でも文字に見えると書き込まれていく。


「ここで見ていてもわからんし、亀裂に近づいてみないか?」

「ちょっと怖いけど、ワクワクしてきた」


 源三郎達は衛星に下降していき、亀裂の中に入る。


「ユーザー、この亀裂はやはり自然に出来たものではありません! 地質学スキルがあればより詳しいデータがわかるかと思われます」

「あ、私持ってる」


 サポートロボットのロボが地質学スキルの話をすると、ノエルが手を上げてスキルを持ってることを知らせる。


「あー………レベルが低くて解析に時間がかかるって」

「あらら………」


 意気揚々とスキルの所有を宣言していたノエル。

 だが、肝心のスキルレベルか低くて解析に時間がかかるようだった。


「仕方ない、答えはまた次回じゃな」

「えー、気になるよー」


 源三郎が配信を切り上げようとすると、彼方が不満を漏らす

 

「そうは言うても、もう落ちる時間じゃぞ?」

「あ、本当だ」

「このゲームしてますと、時間の経過があっという間ですね」


 源三郎がリアル時刻を伝えれば、ノエルと鈴鹿が驚いた声を漏らす。


「うーん、この亀裂が気になるけど続きはまた次回。今日の配信はここまでです。御視聴ありがとうございました」

「今回の動画が面白かったならチャンネル登録と高評価宜しくお願いいたします」

「明日は定期メンテナンスだから、メンテが終わるまでまったねー!」


 彼方は配信を切り上げて締めの挨拶とスパチャの返事をしていた。


 

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