第25話 お爺ちゃん、黒幕と会う
「強さに見合ったドロップ品が出てきたの」
モルガンと勘違いされてアイオブヘブンに連れ去られたマルケスを助けるために、アイオブヘブンのアジトがある下水道を探索していた源三郎達。
門番と思われる機械の蠍を倒し、ドロップ品を確認すると、源三郎達はレアリティの高い装備を手に入れる。
「私はアーマーブレイクっていう相手の防御力半減効果のあるショットガン」
彼方が手に入れたのはポンプアクション式のショットガン。
「私は機械エネミーのダメージ軽減がついた宇宙服ですね」
鈴鹿は特定のエネミーからのダメージが軽減される防具の宇宙服。
「うーん、威力は今持ってるアサルトライフルより低いけどラピットショットと言う発射速度アップのサブマシンガン」
ノエルはウージーみたいなデザインのサブマシンガン。
「………どうせなら倒す前に手に入るたかったのう」
「お爺ちゃんは何が手に入ったの?」
源三郎はなんとも言えない顔で手に入れたドロップ品を見ており、彼方が覗き込もうとする。
「バリア無視の日本刀」
「確かにそれは………」
「バリア無視って強くね?」
源三郎は一振の日本刀を彼方達に見せる。
鈴鹿は付属効果の内容を聞いて苦笑し、ノエルはその効果が強くないかと疑問に思っている。
「射撃武器についたらかなり強いかも」
「ともかく門番と思われる敵も倒したし、先に進むかの」
ドロップ品の回収を終えた源三郎達はエンブレムを目印に下水道を進んでいく。
「そう言えば門番だけで、構成員とか出てこないね」
「抗争中って設定だし、全員出ていってるんじゃない?」
下水道を進んでいく途中、彼方が疑問を口にすると、ノエルが予想をたてる。
「ノエルさんの予想が当たりましたね」
更に進んでいくと、詰め所のような小部屋を見つる。
部屋を物色していると幾ばくかのクレジットと、命令書と思われるホログラムペーパーを鈴鹿が発見する。
ホログラムペーパーにはアイオブヘブンが所有していた重要アイテムをグローズに盗まれたから、それを取り戻すためとこれを機会に全面戦争に突入するという内容が書かれていた。
「このアジトもゲイルっていう軍用拠点防御ロボに任せてほぼ全員がではからっていたようです」
「あれ軍用だったんだ………道理で強いはず」
更に部屋を物色していると、あの機械の蠍が軍用ロボであることや最低限のメンバーを残して抗争に参加している情報が手に入る。
「マルケスを助けるのも今なら楽かも?」
「見張りぐらいしかいないかも知れませんね」
彼方と鈴鹿がそんなこと言いながら一行は先に進む。
「くそっ、影武者なんか用意しやがって! もう一度聞く、本物のモルガンは何処だ!!」
「だから何度も一緒に拐われたと言ってるじゃないか!!」
「嘘をつくなっ! あのグローズのアジトにはお前しかいなかったぞ」
下水道の通路を進んでいると、怒鳴り声が聞こえてくる。
「誰かいるみたいだね」
「ここからは慎重に進もう」
「話の内容からして捕らえられたマルケスと、見張りかの」
ひそひそ声で源三郎達は話し合い、忍び足で声がした方向に向かう。
「くそくそくそくそっ! どうするっ!? 影武者を本物と間違えたなんて面子丸潰れだ」
「ひっ!?」
尋問の主はかなりイライラしているのか、物に当たり散らす音が聞こえてくる。
源三郎達が気づかれないように忍び足で近づくとマグロックと呼ばれる強力な磁力で拘束する手錠を後ろ手にかけられ拷問も受けたのかボロボロのマルケスと、ウロウロしながらぶつぶつ文句を言ってるスキンヘッドのゴリマッチョがいた。
「ずいぶんとイラついているようだな、ドロル」
尋問室にある壁掛けモニターに電源が入ったかと思うと、首から下しか画面に映っていないスーツ姿の人物がモニターに映る。
スピーカーから聞こえてくる声は性別を特定できないように変成されてる。
「なっ………ナイル様………」
ドロルと呼ばれたゴリマッチョはイライラしていた様子から一転して青い顔で片膝たちで頭を下げる。
「いやはや………モルガンを捕まえてステーションマスターの財宝の在処を吐かせますと豪語していたので期待していたんだが………まさか捕らえたのは影武者だったとはな」
「なっ、なぜそれを………いっ、いえ、今しばらくお待ちを! こいつから本物の居場所をすぐにでも聞き出します!!」
「だから知らないって………何度も言ってるのに………」
ドロルはナイルが自分の失態を把握していることに驚愕するが、マルケスの胸ぐらを掴むと挽回のチャンスを求める。
「それは無理だな。モルガンは連邦軍に保護された。軍は我々でも容易に手を出せない。それに………ネズミが紛れ込んでる事にも気づかないお前に何を期待しろと?」
ナイルと呼ばれた人物はそう言って源三郎達に気づいているように指をさす。
「なっ!? しっ、侵入者だと! どうやってここに………いや、軍用のゲイルをどうやって突破したっ!?」
ドロルはナイルの指摘を受けて慌てて振り向き、源三郎達の姿に気づくと、近くにあった巨大な斧をもって構える。
「ドロル、この失態どうするかわかっているだろうな?」
「ぐっ………わ、わかっています! 働きをもって忠誠と有能であることを証明します!!」
「期待している」
ナイルは一言告げるとモニター画面が消え、クエストタスクにドロルを倒せと、マルケスを生きて帰すがオプションクエストに表示される。
「やつはわしが相手する。彼方達はマルケスを安全な場所まで下げてくれ」
「わかった」
「お気をつけて」
「無理するなよ」
源三郎は蠍の戦闘ロボゲイルから手に入れた日本刀を構えて、彼方達にマルケスの確保を頼む。
「いくぞおぉぉっ!!」
ドロルは怒鳴りながら斧を振り上げて襲ってくる。
「援護します」
「無駄だぁっ!」
鈴鹿がアサルトライフルで牽制するが、ドロルもバリアを張っており、鈴鹿の攻撃が弾かれる。
「死ねえっ!」
「なんの!」
ドロルは大振りに斧を振り下ろし地面に叩きつける。
源三郎は後ろに跳躍してドロルの攻撃を回避しつつ、握り手を斬りつける。
「ぐうっ!?」
「ふむ、ゲームじゃダメージ与えるだけで指は斬れぬか」
源三郎は日本刀の峰で自分の肩を叩きながら、ドロルの指を確認する。
「相手のバリア本当に無視してる」
「というか、バリア持ちとか運営戦闘バランスおかしくね?」
彼方達の攻撃はバリアに阻まれ、ノエルが運営に愚痴を言う。
「まずは貴様から血祭りにしてやる!!」
「やってみろ」
ドロルは自分にダメージを与えた源三郎をターゲットに決めたのか、横凪に斧を振るう。
源三郎は横凪の攻撃をスライディングで回避しつつ、ドロルの足を斬って背後に回る。
「わしはこっちじゃぞ、小僧」
「死ねええ!!」
源三郎は挑発するように声をかけつつ、マルケスからドロルを離すように移動する。
ドロルの戦闘AIは猪突猛進なのかヘイト値が高い源三郎を執拗に狙うように突撃してくる。
「マルケスさん、ブレイドさんの依頼で助けに来ました」
「あ………ありがとう」
彼方達はマルケスを救出して安全な場所に移動する。
「このマグロック、難易度高いな」
ノエルがデジタルピックで解錠を試みるが、複雑な構造なのかもたつく。
「私と鈴鹿ちゃんはお爺ちゃんの援護を!」
「はい!」
彼方と鈴鹿は離れた場所からヘイト値を調整しながらドロルに攻撃を行い、メインアタッカーの源三郎が大ダメージを与える。
「くっ、バリアがっ!?」
ダメージが蓄積されてついにドロルの見を守っていたバリアが停止する。
「チャンス!!」
「ぐうっ!? こっ、小癪なっ!」
ここぞとばかりに彼方がアーマーブレイク効果のあるポンプアクション式のショットガンで攻撃すると、大ダメージを受けたのかドロルが狼狽する。
「お待たせっ、私も戦うよ! それそれそれ~………あれ?」
マルケスの手錠解錠を終えたノエルも参戦してドロップで手に入れたラピットショットサブマシンガンで攻撃するが、元々発射速度の高いサブマシンガン、ラピットショットで更に加速して秒で弾切れを起こしてしまう。
「くっ、くそ………俺は………俺はこんなとこで終わるわけにはいかないんだよっ!!」
「むっ!?」
ドロルはポケットからガンタイプの無痛注射を取り出すと、首に打ち込む。
「うぐっ………ぐっ、ぐおおおお!!!」
「ドーピングかっ!?」
ドロルの皮膚が赤くなっていき、筋肉が膨張して血管が浮き上がる。
「じぃぃねぇぇぇっ!!」
「ぬうっ!?」
「お爺ちゃんっ!?」
薬で強化されたドロルは一瞬で距離を詰めると斧で源三郎を吹き飛ばす。
「なかなかやりおる」
吹き飛ばされた源三郎は体勢を整えると、チラリと自分の残りヒットポイントを確認する。
「お前から殺してやるううう!!」
ドロルは血走った目で涎を撒き散らしながら斧を振り回して源三郎に突撃してくる。
源三郎は刀を鞘に納刀すると、限界まで身を低くして抜刀術の構えを取り、大きく息を吸う。
「じぃぃいねぇえぇぇえっ!!!」
「閃っ!」
ドロルと源三郎はお互いに交差して、お互い微動だにしない。
「お、お爺ちゃん………」
彼方は息を飲みながら、源三郎に声をかける。
「ふう………久方ぶりだったが、体は覚えていたの」
源三郎が息を吐いて刀を鞘に納めると、ドロルの体がぐらりとゆらいで倒れ、メインとオプションのクエストが達成と更新された。
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