地球ペットショップ
「まるで人為的に造られた物みたいだ」
UFOを愛する青年S君はミステリーサークルの出没場所に来ていた。
そのサークルを背伸びして見たり、しゃがんで見たり、色々な視点で見ようとした。
美しい円が幾つにも重なり合っているようなその形にウットリしている。
意味は無いのだが首に掛けてあるカメラで何も無い空を撮ろうとしてみたりもする。
すると、何も無いハズの空から眩い光が差し込んできた。
「UFOだ、ついに見つけたぞ!」
それは紛れもないUFOだった、夢にまでみたそれはこの世の美を表すような形をしており、S君は数秒だけ意識を奪われた。
その光は一気にS君を覆った、気が付けばUFOの中に入っている。
理解が追い付かないS君は恐怖の感情を間違えて興奮と捉えてしまう。
「やったーUFOの中に入れたぞ、どれどれ宇宙人は何処だ」
しかし宇宙人の姿は何処にも見当たらない、そのことを不思議に思ったのか、船内を探索しだした。
「コンニチハ」
後ろから声が聞こえた、高くて機械的な声だった。
興奮も落ち着きを取り戻し、少々怖さが出てきたころ、S君は恐る恐る振り向いた。
「コンニチハ」
目に映ったのは自分の背丈よりも遥かに低い生き物である。
大きな衝撃と共に恐怖心が芽生えた。
「こんにちは、なぜ僕をここにつれてきたんですか」
襲われるかもしれないという恐怖と好奇心が入り交じった態度で聞いた。
しかし、宇宙人は挨拶してから一度も発することなく平然とした態度で船内にある操縦席へと戻る。
S君は実験台になるのだろうと考えた、自分がとんでもない事をしてしまったと何日も何日も後悔した。
その後数ヶ月経っても数年経っても宇宙船から出れる様子も無く、宇宙人とただ過ごす時が流れている。
食事はサプリメントを飲まされ、たまに身体を清潔にする為の装置の中に入れられる。
ただそれだけの日々がずっと、永遠に続いているのだ。
とあるUFOの中で、宇宙人達はけらけら笑いながら話している。
「人間をペットにしている物好きがいるらしい」
「そりゃあ傑作だ、人間なんて地球の中で最も希少価値の低い生き物だし飼育も面倒だろう」
「地球はペットの宝庫さ、人間程度も飼うほどに飼育がしやすい」
「あいつ、今度はどんな人間を飼うんだろうな」
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