異世界ロボット探査隊

おもちゃ工場のようなエネルギー補給所にロボット探査隊のムーニーがいた。

「人工音声プログラム起動…お…おはようみんな」


ロボットの姿形は皆そっくりであり、唯一見分ける箇所と言えばその一眼レフカメラのレンズのような目の色であろう。


――ムーニーは美しい青い目をしていた。


エネルギーを補給機で蓄えながら、探査隊の一員である緑色の目をしたガバリーが伸縮性のある長い足を伸ばしながら近寄ってきた。


「今回の異世界はまずいらしいぞ、なんせ恐ろしい大魔王が支配しているんだとか」


ムーニー達が所属している異世界ロボット探査隊は様々な異世界を人間ではないロボットが探査して交友関係が結べるかどうかを判断したり、この地球にはない物質や情報などを持ち帰る役割があるのだ。

ムーニーは角張った無機質な腕を組み、隊長への信頼に託すと言い放った。


「驚いたね、ムーニーが隊長をそこまで信頼していたなんて、我々は自我はないが情を感じ取れるのかい」ひどく冷笑的な態度だった、ムーニーは無視をしてエネルギーを補給した。


「異世界に出発する準備は出来たか!」

特殊な装置が無数に置いてある空間の中で隊長の人工的な声が響き渡る。


「各自機械にに自身のからだのプラグを繋げ」

五体のロボットが一斉にプラグを繋ぎ始める。

プラグを繋ぎながらガバリーが

「壊れたくないな」と呟いた


「なにを言ってるんだ君は、我々は壊れて当然の存在なんだ」ガバリーの横でプラグを繋いでいたミリシタが言った。


「そうよ、壊れてこそ我々の存在意義があるんでしょ、もしかしてガバリー故障してるんじゃないの?」女性的な声をプログラムしているナセリフがミリシタに続いた。

ムーニーは沈黙を保ったままプラグを繋いでいった。


プラグを繋いだ五体は轟音が鳴り響くのをゆっくりと待った、次第に意識が遠のいて轟音が去り、その瞬間に異世界へ空間ごと飛ぶという。


十分、三十分、一時間、五時間と待った。

とうとう待ちくたびれた隊長が飾りだけの口を開いた「今日は世界軸の穴が乱れているのか」

ガバリーが嬉々とした様子で「もしやこの異世界は消滅してしまったんじゃないですか」

ムーニーが注意するために人工音声プログラムを起動しようとした時だった。


意識が遠のいていき、頭脳プログラムが利かなくなっているのがわかる、ゆっくりとうねりを見せる白い光が四体のロボットを引き込んだ。


轟音が続く中、一体のロボットは帰還用のプラグを引き抜いた。










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