ゼンカアクカ短編集
水風船
くじ引き
賭け事が好きなある天使は言った
「おい悪魔、このくじ引きで賭けないか、ルールは簡単だ」
暇を持て余していた悪魔は少々息を荒くして
「やってやろうじゃないか、それでルールってなんだ」
待ってましたと言わんばかりの顔で、天使は悪魔にルールを説明しだした。
「まずこの箱の中からくじを引く、中には紙が三種類入っていて赤色なら人間を、黄色なら天使を、黒色なら悪魔を騙す」
悪魔はデカくて濁っている目をギョロっとさせて「騙す?騙すのは俺の得意なことだ、俺の仕事は主に天使がやらない雑用だからな」
天使は賭けるものを指定した「僕はこの天使の羽の片翼をあげるよ、そのかわりきみはくじを引いてもし騙せなかったらその槍をくれ」
「お前はここで俺が騙してくるのを待ってるんだな、よし分かったくじを引こう」
紫色をした細い腕を箱の中で掻き回して紙を引きずり出した。
「赤色だ、人間を騙せばいいわけだなそんなの余裕だ」
鋭利な歯を剥き出しにしてに悪魔は笑った。
「じゃあさっそく下界に降りていくよ、天使の片翼が楽しみだ」
そう言い残して下界に去っていった。
天使はニヤニヤ笑いながら「槍が楽しみだ、悪魔ほど純粋な奴はいないし、人間ほどひねくれてる奴もいない」
そう言いながら、持っていた箱を逆さまにして下界に紙を落とした、空には全て赤色の紙が綺麗に舞っていた。
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