#334 冬の悪魔

 アラームが鳴る。

 うるさい音。

 むくりと動いて手を伸ばす。手で叩くようにしてアラームを止めると静寂が戻ってきた。

 時刻は朝の6時。起床時間だ。早く起きて支度を始めないといけない。今日は燃えるゴミの日だから、ゴミもまとめないといけない。

 ……けれど、この時期はあの悪魔によって私の行動は阻害されるのだ。

 朝の気温が5度前後のこの時期に、私の体の動きを阻害する魅惑的な悪魔。掴まれて、離されなくて、私の体から力を奪っていく。

 「………布団の悪魔め、私を解放しろ〜」

 なんて潰れた声で言ってみる。布団から出たくない私。

 そこへ


「こら! いつまで寝てるの! 早く起きなさい!」


 悪魔祓いお母さんの声が轟いた。

 悪魔は祓われた。

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