#323 落ち葉舞う

 休日の午後。私は子どもを連れて公園に来ていた。家の近くにある、少し広めの公園。子どもも歩くようになって、例のウイルスも収まりつつあることから、こうして公園によく来ている。

 歩く子どもを見ながら、ふと、公園に木々が綺麗なオレンジ色に染まっていることに気づいた。

 ──紅葉が綺麗。

 オレンジと黄色のコントラスト。これが散って仕舞えば、季節は冬へと移り行く。

「ママ〜!」

 紅葉に見惚れていると、子どもが呼ぶ声が聞こえてきた。

「なに?」

 子どもの方を見ると、何かを指でさしていた。

「みてみて〜、おばけさんが遊んでる〜」

 おっと、まさかそんなことを言うとは思わなかった。

 子どもが指差す先には、落ちた紅葉の葉たちが風に舞っている。まさかそれを“おばけ”という言葉を用いてくるとは思わなかった。

「そうだね〜、楽しそうだね」

 私が言うと子どもはとても嬉しそうに笑った。

「うん! !」

 と、その言葉は風で舞う落ち葉たちに向けられている。

 私はゾワリと、背中に嫌な感覚が走った。

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