#322 脱獄! 食欲!
食欲が脱獄した。
脱獄したのは朝。なんの前触れもなく、なんの予告もなく、いや、脱獄に予告がないのは当然か。
とにかく、食欲が脱獄したのだ。
びっくりする。食欲が脱獄などするとは思ってもいなかった。これまで、脱獄の気配があったことにはあったが、実際に脱獄することはなかった。
それが、今回は本当に脱獄した。
初めての事態に戸惑うしかない。行き先などわかるはずもない。手がかりがあるはずもない。
どうして脱獄した? 昨日はしっかりいた。仕事もしたし、仕事が終われば牢に戻った。
わからない。食欲が脱獄したせいで、俺は飯が食えない。食べ物を見ても、食欲が脱獄した今では、何も感じない。
はあ、とため息が出る。
食欲は脱獄するし、好きな子には振られるし、これはもう今日一日最悪な日になるだろうな。
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