桃太郎 外伝
その6.1 とっくんをはじめよう
さて、桃太郎はリン、宗佑、源八朗という三人の仲間を集め、これから鬼退治に行こうと思いました。しかし、このままでは勝てない。そう思いました。なので、これから強化合宿じゃあ!ってな感じで、現在とある山中にやってきています。
「は~い。しつも~ん」
「はい。どうぞ」
リンは元気よく手を上げ、桃太郎がそれを受けます。
「ついこの間まで桃太郎さんのお家にいたのに、なんでわざわざこんな山まで来たんですか~?」
「うん。いい質問だ」
桃太郎は意気込んで答えます。
「まず、俺の家での作業にも限界があるからだ。製造はともかく実際に動き回るとなると少々家では勝手が悪い」
「なるほど、これから鍛錬を積むにあたって、広大な場所がいる、というわけですね」
柔和な笑みを浮かべるスマイルマン宗佑がそう言うと、筋肉質のいかついおっさん源八朗が訊いた。
「だがモモ。新たに武器を作るときはどうするつもりだ?こんな山ん中で」
「それに関しては問題ない。すべて機材は運んである」
桃太郎が指差すと、その先には小さな洞窟があり、その前には簡易な小屋まで建っています。
「鋳造と鍛造用の機材は揃っている。他の作業もまあ並程度にはできるはずだから問題ないだろう」
「どうやって持ってきたんですか~?」
桃太郎の目がきらりと光った。
「金は天下のまわりものって言葉知ってるか?」
「モモ、自分の経済自慢はもういい」
「む。それもそうだ。で、他に質問は?」
「あ、じゃあ僕もひとつ訊いていいですかね」
「許可しよう」
「なんで今回のタイトルは「桃太郎 外伝」で漢字なんですか?まえは『ももたろう』でひらがなだったのに」
「いい質問だ」
「いい質問か!?どうでもいいだろうが!」
「まあ聞け。いいか。前回の内容はいわば全年齢版だ。つまり小さなお子様から棺桶一歩手前のご老人までが読める作品なのだ。よって、漢字が読めないという事態を避けるために平仮名にしたんだ」
「つーか絵におこしたら危ないもんばっかだった気がしたんだがな」
「しかし、今回のこの話は違う。いわば年齢制限が入る」
「なんだとぉー!?」
源八朗のボルテージが一気に上がった。
「年齢制限。つまり十八歳未満は不可ー!?ってことは、まさか、まさか…」
源八朗は
―――湯気が漂う露天風呂。そこに浸かる一人の少女。
「ふ~。気持ちいいいです~」
そこへ、間違って入ってしまう一人の男。
「きゃー!み、見ちゃだめです~」
「あっ!ご、ごめん。入ってるって、気づかなかったから」
しかし、次第に二人の距離は縮まっていき…
「もっと気持ちいいことしてあげようか」
「あぅ、だめですぅ。そんなところ触っちゃ…きゃんっ」
「もう、我慢できないよ」
「わ、わたしもですぅ」
「リンちゃん…」
「源八朗さぁん…」
ドスっっ 「うごっ」
桃太郎の持つ鞘が源八朗の鳩尾にめり込んだ。
「とっとと現実に帰って来い。この変態オヤジ」
腹を押さえて蹲る源八朗は、現在言葉を発するには酷な状態のようです。
「そこまで年齢を引き上げはせん」
「じゃあ、どの程度にするんですか?」
「まあ、だいたい……R7?」
「それ、あんまり意味ないんじゃないですかぁ~?」
「まあ、そうだな」
「あっさり認めちゃいましたね」
「だって、ホントはただなんとなくだし。つーかさっきの妄想でR15は確実になっちまった」
ここで、突然源八朗が起き上がりました。
「ならばいっそ十八歳までにぃ!」
バスコンっ 「おぅっ」
源八朗、再度撃沈。
「さて、他に質問はないかな?」
「桃太郎さ~ん。源八朗さんはいいんですか~?」
「構わん。どうせすぐ元に戻るだろ」
「信頼してるんですね」
「別に、そういうもんじゃないさ」
「あの~、桃太郎さん」
「ん?」
「桃太郎さんはどうしていつも源八朗さんをいじめてるんですか?」
「別に。あいつがアホしてる限りおれはやめるつもりないがね。まあ、ほっとけないってのもあるんだがな」
「桃太郎さん」
「まだなにか?」
「ツンデレですか?」
ブチッ
「あれ?今なにかぶちって音が・・・」
「なあ、リン」
桃太郎は和やかな笑みをリンに向けました。
「あの変態男と一日密室に閉じ込められたくなかったらそのような発言は慎みなさい」
「あの~、どうしてそんな引きつった笑顔で言うんですか?」
「さあ?どうしてだろうねぇ」
「桃太郎さん、話脱線してますよ」
「おう、すまないな宗佑。じゃあ、さっそく始めるか」
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