その10 桃太郎はつよかった

 さて、そのころ砦内部はどうなっているかというと、特に述べることはありません。だって、そこには通路で惨殺されてる鬼しかいないんですから。

「それにしても、数だけは多いですね」

「ほんとだな。もう五十匹くらい斬ったんじゃねえかな」

 宗佑は爽やかスマイルを崩さず、桃太郎はいい加減うんざりな様子で通路を進んでいきます。すると、その先に、これで九つめとなる大きな扉が現れました。

 桃太郎が扉を開け放つと、そこは大きな四角い部屋で、中は鬼でいっぱいです。

 鬼たちは桃太郎を見るや一斉に飛び掛ってきましたが、いい加減ホントに飽きてきた桃太郎はさっさと勝負をつけようと思いました。

 鬼の棍棒を避けつつ、桃太郎は刀を抜き、すり抜けざまに鬼たちを斬り捨てていきます。そして、大きく上に跳び上がると、桃太郎の刀にいくつもの切れ目が入りました。その切れ目から刀身がバラバラに離れていきますが、それぞれのパーツは細い糸のようなもので繫がっていて、まるで長いムチのようにしなやかな曲線を描きます。そのムチのような刀は次々と鬼を絡めとっていき、桃太郎は着地と同時にその刀をくいっと引きました。すると、「ぎゃぁぁぁ!」という悲鳴と同時に鬼の体に細かくなった刀と糸のように細いワイヤーが鬼の体にめり込み、ついに体の各パーツを切り落としました。

 宗佑は残った鬼を斬り伏せながら桃太郎に近づきました。

「それにしても、すごいですね、その刀」

「まあな。この“連結刃”はクロスレンジだけじゃなくミドルレンジでも攻撃を仕掛けれらる武器だからな。俺がかつて見ていたアニメからヒントを得た」

 そう言って桃太郎が伸びきった連結刃を振るうと、血肉を払いながらワイヤーは縮まり、元の刀へと戻りました。

「そろそろリンやロリコンが合流するころだとおもうんだが…」

「そうですね。それとも、リンさんやロリコンさんが来る前に終わらせますか?」

「いや、やっぱり最終決戦は全員で臨むべきだろ」

「それも、こだわりですか?」

「定石だ」

 桃太郎と宗佑は先に進んでいきます。すると、もうそろそろ飽き飽きしてきた大きな扉がまた現れました。桃太郎がうんざり顔で扉を開けようとすると、後方からまるで爆風のごとき強風が駆け抜けてきました。後ろを振り向くと、そこには迷彩服の少女とオッサンが立っていました。

「(桃太郎)おう、来たか」

「(リン)はい。只今到着ですぅ」

「(源八朗)いや~、しつこいやつらだった」

「(宗佑)ちょうどいいところに。もうそろそろラスボスですよ」

「(桃太郎)そのセリフ、俺はもうこれで四回は聞いたんだがな」

「(宗佑)大丈夫ですよ。みんな揃ったことですし、もうそろそろボスに出てきてもらわなきゃ収拾がつきませんよ、この話」

「(桃太郎)じゃあ、今度こそラスボスを期待して、開けますか」

 ガコン……、ごぉぉぉー

 扉が開きました。すると、そこに現れたのは、見渡す限りの鬼・鬼・鬼。

「(桃太郎)閉めていいか?」

「(宗佑)それはダメでしょう。開けたからには責任持たないと」

「(リン)でも、すごい数ですよぉ?」

「(源八朗)こういうときは敵の頭を潰せばいいんじゃないのか?」

「(桃太郎)なるほど。指揮官を落とせばいいわけか」

「(宗佑)そうすれば、撤退するというわけですね」

「(リン)でも、経験点貰えませんよ?」

「(桃太郎)大丈夫だ。所詮あいつらは雑魚だ。ちなみに、俺は次のレベルまであと千二百十二だが、この鬼一匹じゃせいぜい三程度だ。やるだけ無駄だ」

「(リン)え~!?鬼ってそんなに経験点貰えないんですか?」

「(宗佑)努力を使えば倍になりますが、たいした差ではないですしね。所詮は低レベルモンスターということでしょう」

「(桃太郎)ならせめて指揮官の首取った方が時間の有効活用というものだ」

「(源八朗)ところで、さっきからお前らわけのわからん方向に話進めてないか?」

「(桃太郎)何を言う。お互いのステータスとプレイ時間を考慮した有意義な時間だぞ」

「(源八朗)だから、その話についていけんと言っている」

「(桃太郎)つまり、俺のステータスを表示するとだな……」


桃太郎 Lv.53

  HP:140

  MP:70

  攻撃:46

  防御:18

  回避:39

  技量:38

  移動力:7

  装備:連結刃(攻撃+28、射程3)

     迷彩服(回避+3)


  未来人Lv.8    SP:136

  切り払いLv.6    集中(10)

  底力Lv.5   ひらめき(10)

  援護攻撃Lv.3   直撃(20)

  見切り        熱血(40)

             覚醒(70)

              魂(60)


「(桃太郎)こうなってるわけだ」

「(源八朗)いろいろ混じりすぎてよくわからん…」

「(桃太郎)ちなみに、これがお前らのステータスだ」


宗助 Lv.52

  HP:106

  MP:68

  攻撃:36

  防御:17

  回避:45

  技量:39

  移動力:8

  装備:蒼穹(攻撃+26、射程1)

     迷彩服(回避+3)


  剣士Lv.8     SP:144

  切り払いLv.8   集中(10)

  SP回復      ひらめき(5)

  援護攻撃Lv.2   直感(15)

  見切り        熱血(45)

             直撃(25)

             祝福(45)


リン Lv.50

  HP:77

  MP:80

  攻撃:18

  防御:7

  回避:40

  技量:56

  移動力:6

  装備:短機関銃(攻撃+30、射程7)

     サバイバルナイフ(攻撃+10、射程1)

     拳銃(攻撃+15、射程3)

     手榴弾(攻撃+40、射程2)

     指向性散弾(攻撃+30、射程3)

     火炎瓶(攻撃+10、射程2)

     迷彩服(回避+3)


  天才Lv.9    SP:190

  撃ち落しLv.7   集中(15)

  発明Lv.7     熱血(30)

  援護攻撃Lv.4   祝福(40)

  見切り        補給(45)

  SPアップ+9    応援(30)

             期待(60)


源八朗 Lv.52

  HP:155

  MP:40

  攻撃:60

  防御:44

  回避:20

  技量:40

  移動力:5

  装備:斬馬刀(攻撃+50、射程2)

     迷彩服(回避+3)


  ロリコンLv.∞   SP:170

  変態Lv.∞     集中(20)

  底力Lv.8     必中(20)

  心の病Lv.9    萌え(5)

  ガード        熱血(35)

            ド根性(40)

             補給(50)


「(桃太郎)とまあ、こんな感じだ」

「(源八朗)おい」

「(リン)わたし、天才ですかぁ?」

「(源八朗)おいってば」

「(宗佑)こうしてみると壮観ですねぇ」

「(源八朗)おーーい!!」

「(桃太郎)なんだ、さっきからうるさいぞ」

「(源八朗)なんなんだ俺のステータスは!?誰がロリコンで変態だ!?しかもなんだあのSPの『萌え』って!?なにがどうなるんだか教えろ!」

「(桃太郎)どうって…なあ?」

「(宗佑)ええ…」

「(リン)…………」

「(源八朗)なんだその反応は!?いいのか?いいのかこれで!?」

「(宗佑)あ、鬼が来ますよ」

「(桃太郎)ちなみに、鬼のステースはこんなかんじだ」


鬼(一般兵) Lv.5

  HP:20

  MP:5

  攻撃:15

  防御:14

  回避:8

  技量:5

  移動力:4

  装備:棍棒(攻撃+10、射程1)

     鬼のパンツ(羞恥心-5)

  鬼Lv.1      SP:60

  切り払いLv.1   根性(20)

  援護攻撃Lv.1  ド根性(40)

  

「(源八朗)つーか弱っ!?俺たちのレベルと比べて弱すぎだろ!」

「(桃太郎)あんまり強かったら倒せないだろ」

「(リン)だからあんなに弱かったんですねえ」

「(源八朗)それになんだよこの『羞恥心』って!?鬼に羞恥心があるのかっていうかなんのパラメーターだこりゃぁ!」

「(宗佑)まあまあ、落ち着いてください」

「(源八朗)落ち着けるか!だいたい、よく見るとリンちゃんの方が鬼より攻撃力あるじゃないか!どういうことだ!」

「(桃太郎)レベルの違いだ」

「(源八朗)納得いくかぁ!」

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