その6 武器をそろえましょう

 仲間を集めた桃太郎とその一行は、鬼を退治すべく、歩き出しました。が、

「このまま行くのもあれだな」

 桃太郎は立ち止まりました。

「まず武器を用意しないとな。宗佑の刀だってまだだし、重火器はほしいところだ」

「なるほど。そうですね」

「なあモモ。重火器ってのは何を用意すればいいんだ?」

「とりあえずマシンガンとガトリングガン、それに手榴弾とロケット砲もほしいところだな」

「な、なんだそれは?」

 桃太郎はここで、そういうばここは江戸時代だったな、と思い出しました。

「まあ、わかりやすく言うとこんなもんだ」

 桃太郎はみんなにわかりやすいように説明をしました。

「そんなもの、作れるのか?」

「あの、わたし、作れるかもしれません」

「ほんとか?」

「わかりませんが、なんとかやってみます」

「お~!さすがはリンちゃんじゃ~!」

「ひぇ~」

「よし、じゃあ銃の方はなんとかなったな。次は宗佑の刀だが……」

「それは俺にまかせてくれ。いいやつを打ってやる」

「それは楽しみですね」

「じゃあ、まずは資材集めと、精製、あと、慣らしとか訓練だな」

 というわけで、桃太郎とリンは銃の製作を、宗佑と源八朗は刀を作り、それから一週間が過ぎました。

 そんなある日、事件が起こりました。

 リンが夜眠っていると、ガサっと音がしたのに気づきました。リンが恐る恐る目を開けると、そこには……

「う~ん。やっぱりリンちゃんはかわええなあ。寝顔も萌え萌えじゃあ~」

 紅潮した顔をゆるめ、息荒く覗き込むは、ぷるぷると手を震わせるおっさん。

「いぃやぁぁぁ~~~、です~!」

 それは、桃太郎が住む屋敷に響き渡りました。言い忘れていましたが、みんなここで寝泊まりしています。

 悲鳴を聞きつけた桃太郎と宗佑は、変態オヤジに向けて刀を突き立てます。

「ちょ、ちょっと待ってくれぇ!」

 ロリコンオヤジの源八朗は首に迫る刃に思わず声をうわずらせました。

 リンはというと、桃太郎の後ろに隠れてすっかり怯えてしまっています。涙がぼろぼろ零れて、ほんとにかわいそうです。

「なにしようとしてたんですか?」

 桃太郎の問いに、源八朗はゴホンと咳払い。

「いやな、このところリンちゃんは根をつめていたようなので、少し心配になって」

「俺はそんなお前の行く先が心配でしょうがないがな」

「おやおや…」

「こ、怖かったです~」

「これじゃ、源八朗さんはリンへの接触を禁止するしかないですね」

「そ、それだけは許してくれぇ。俺の、癒しが、目と鼻の保養が~~」

「どうしますか?この場で斬り捨てますか?」

「家を血の海にするのはやめてくれ」

「じゃあ、外で?」

「ちょっと待てぇ!そこまで話を進めんでも!」

「それじゃあ約束してもらうよ。こういうことはしないって」

「俺はただ、この澄みきった純情を……」

「黒ずんだ不純物だらけの劣情で何を言っても無駄だぞ」

 などなどと、延々と続いたこの騒動も、翌朝には「リンへの一切の物理的接触の禁止」を条件に、なんとか収まりました。

 それから、約一ヶ月の間、桃太郎一行の四人は実践を踏まえた訓練を積みました。ここでの詳しいお話は「桃太郎 外伝」を参照下さい。筆者が書く気があればの話ですが。

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